今年の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を決定する第一次選考会で、全35台のノミネート車の中から最終選考会に進む上位10台の「10ベストカー」が選出。時計回りにジープ・ラングラー、BMW3シリーズセダン、マツダ・MAZDA3、ホンダ・N‐WGN/N-WGN Custom、ニッサン・デイズ、ミツビシ・eKクロス/eKワゴン、ダイハツ・タント/タントカスタム、トヨタ・カローラ/カローラツーリング、メルセデス・ベンツ・Aクラス/Aクラスセダン、ジャガー・I‐PACE、トヨタ・RAV4

12月6日(金)に最終選考が行なわれる「第40回 2019 ー2020日本カー・オブ・ザ・イヤー」。11月26日には最終選考に残った10台の試乗会が静岡県の富士スピードウェイで開催され、選考委員の小沢コージがねっちょり&がっつり試乗。令和初の戴冠モデルを大予想したぜぇ!

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いやいや、今年もどれにするか最後まで迷いそうな「日本カー・オブ・ザ・イヤー」!(以下、COTY)

前回まで2年連続で輸入車のボルボが大賞を獲っていた混迷気味のクルマ賞レースだけど、今年は順当かも。「10ベストカー」に残ったのはひっさびさに国産車が多い上、意義あるクルマが目白押しだからである。

そもそもCOTYは、単純にその年1番売れたクルマが獲るわけじゃない。もちろんそこも影響しているけど、ヘリクツをコネたがるウルサ型選考委員(オザワも入っているが)が投票して決めるだけに、なんだかんだで理屈の立つクルマが獲る。要するに「超カッコいい」とか「スゲー技術が入っている」とか「そのジャンルを創った」みたいな強い理由ね。

ざっと言うと、予選たる「10ベストカー」で選ばれたのは、ダイハツ・タントトヨタ・カローラトヨタRAV4日産デイズ&三菱eKクロス(兄弟車)ホンダN‐WGNマツダ3BMW3シリーズジャガーIペースジープ・ラングラーメルセデス・ベンツAクラスの10台で、内訳は国産車6台、輸入車4台と数的には国産車が有利!

正直、オザワは500万円以上の輸入車なんて、売れて年間1万台以下なので獲る資格全然ないと思うが、その理屈は最近通らず輸入車が獲ってしまう。

なかでも今年強いのは、世界同一プラットフォームとなり、販売も好調のかつての国民車、12代目トヨタ・カローラ! オザワ的にはコイツが大本命だと思っていたが、昨年ハッチバックが出て、すでに投票済みの人がいるので難しい。そこでトヨタ本体が推しているのが、今年ニッポンに復帰し、意外と売れちゃっているミディアムSUVのトヨタRAV4。

オザワ的には売れないと思っていたが、バカ売れ(笑)。実はコイツ、年間80万台以上も売れている世界最多販売SUV。全ジャンルの販売では、年間100万台超えのカローラの方が売れてはいるが、カローラはセダン、ワゴン、ハッチバックの合算。しかしRAV4はボディ1車種で稼いでるのだ。コイツはマジでスゴい!

とはいえ、ソレに続くというか、実は今回の大本命と睨んでいるのがマツダ3だ。マツダはご存じ2012年からデザイン、骨格、エンジンすべてに関わる"スカイアクティブ革命"を敢行しており、内外共に評価が非常に高い。事実最近はCX‐5、デミオ、ロードスターと4年間で3回もCOTYを戴冠。

さらに新型マツダ3は"スカイアクティブ革命第二幕"ということでデザインから中身までガツンと一新! 当然、前評判は高いのだが、細かく見ると、「移ろい」をテーマにしたエクステリアは文句ナシの高評価だが、超希薄燃焼の「スカイアクティブXエンジン」は国内で12月まで販売されない上、乗った評価は今ひとつ。数年前とは勢いが微妙に違うのだ。

それから本来侮れないのは第3の候補、 ホンダN‐WGN。ご存じ、オザワも買った今や月間2万台前後も売れる新国民車・2代目N‐BOXとプラットフォームを同じくする軽ハイトワゴンで、クルマの出来がすこぶるよろしい。シンプルかつ印象的なデザインは、もちろん乗り心地、走り共に申し分なく完璧に軽を超えた「新世代軽」たる出来だ。

このように、本来的にはマツダ3やカローラに匹敵する存在感なんだけど、ニッポンのCOTYには「軽は格下」という根強い偏見が存在する上、現在電動パーキングブレーキの納入遅れで、販売が遅れているという欠点もある......。よって今回はツラいとみた! クルマはマジでいいんだけどねぇ。残念でやんす。

というわけで、オザワ的にはマツダ3とRAV4のタイマン勝負だと断言しよう。ちなみに伏兵輸入車勢は、今回メルセデス・ベンツAクラス、BMW3シリーズ、ジープ・ラングラーとあるけど、3シリーズはクルマはいいけど価格が高めな上、ジープもクロカン4WDと趣味性が高すぎる。オザワ的に可能性があるのはAクラスだと思う。

さて、どうなるか? まさか日本車が9割以上売れるニッポンで、3年連続輸入車が戴冠ってことはないと思うけど......。今年も荒れるのか? 実力者が勝つか? 12月6日(金)の結果発表に注目だぁ!

COTY選考委員のオザワ。「10ベストカー試乗会」にて

小沢コージ 
1966年生まれ、神奈川県出身。青山学院大学卒業後、本田技研工業に就職。90年、自動車誌の編集者に。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、ボルボ・カー・ジャパン社長の木村隆之氏との共著『最高の顧客が集まるブランド戦略』(幻冬舎)。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのCARグルメ』レギュラー出演中。日本&世界カー・オブ・ザ・イヤー選考委員