スズキ GSX-R1000R ABS 価格:215万6000円 現行モデルは2017年にフルモデルチェンジ。スズキが世界に誇る最強のびんびんスーパースポーツマシンだ

昨年、二輪免許の新規取得者数が14年ぶりにプラスに。最高峰の大型二輪免許の取得者も増。てなわけで、話題の大型マシンをジャーナリストの青木タカオがガチ試乗。その魅力と実力に迫った!

* * *

■最新スーパースポーツは少し前のF1マシン!?

――昨年、14年ぶりに二輪免許の新規取得者がプラスに。大型二輪免許の取得者も増えました。

青木 (拳を突き上げて)これから空前絶後のバイクブーム到来ですよぉぉぉ!

――(無視して)なんか大型バイクに注目のモデルが続々登場らしいスね?

青木 そうなんです! 7月30日にスズキ創立100周年を記念し、GSX-R1000Rに限定カラーモデルが発売されて早くも話題です。

車体は軽量化と剛性バランスを徹底的に突き詰めた。ちなみに現行モデルは6代目となる

――ポイントは?

青木 ロードレース世界最高峰のモトGP参戦マシンであるGSX-RRのカラーリングをモチーフにしているんですよ。ファン垂涎(すいぜん)です!

――走りはどうスか?

青木 現行モデルは2017年に登場していて、サーキットでも一般道でもガッツリ乗りましたが、その走りをズバリ言うと速いのに扱いやすい。コーナーではフロントからグイグイ向きが変わっていき、フルバンク中もタイヤにしっかりとした接地感があって安心感が高い。

その上、精密な電子制御に守られているからサーキットでのアグレッシブなライディングも余裕を持って楽しめるモデルですね。

フル液晶ディスプレイにはスピードメーター、タコメーター、平均燃費計などを表示

ショーワ製のサスペンションにブレンボ製のフロントブレーキキャリパーを装備する

――200馬力近く出るバケモノなのに乗りやすい!?

青木 ひと昔前ならパワーバンドっていうのが明確にあり、乗り手はそこを外さないように操作しなければいけなかった。でも、最新GSX-Rは全域でパワフル。仮にトップギヤ6速で1500rpmまで落としてもギクシャクせず滑らかに加速するんです。

本来、6速1500rpmってハーレーみたいな大排気量クルーザーじゃないと絶対に使えない領域なんです。そのスゴさをぜひ一度味わってほしいです。

ホンダ CBR1000RR-R FIREBLADE/SP 価格:242万円~278万3000円 2019年11月に開催されたバイクの見本市「EICMA」でご開帳されると、世界中の男たちが大コーフン!

――続いての注目は?

青木 最高出力218馬力を誇るCBR1000RR-Rです。ホンダがモトGPマシンと同じボア81mm×ストローク48.5mmの直4エンジンを新開発! 3月20日に発売されるとファンが殺到した逸品です!

――ちなみに218馬力って世界最強なんスか?

青木 違います。現行モデルで最強はスーパーチャージャー付きのカワサキニンジャH2カーボンが231馬力でトップ。続いてドゥカティのスーパーレッジェーラV4が224馬力で2位。3位もドゥカティのパニガーレV4Rの221馬力となります。CBR1000RR-Rは4番手です。

――なるほど。

青木 ただし! 車両重量÷最高出力で算出するパワーウェイトレシオは数字が小さいほどに運動性能が高いとされています。昔はF1や世界GPマシンのみが1.0切り。公道マシンでは夢とされていたんですが、CBR1000RR-Rは驚愕の0.920を記録しているんです。もはやバイクの最新スーパースポーツはちょっと前のF1マシン並みの動力性能なんですよぉぉぉ!

液晶ディスプレイは5インチのフルカラー。最新の電子制御システムをサクサク操作できる

――そんなスゴい数字を達成できた理由は?

青木 CBR1000RR-Rは高回転化を実現するセミカムギアトレインや軽量なナットレスチタンコンロッド、高強度アルミ鍛造ピストン、DLCコーティングカムシャフトなどを直4エンジンに採用。カウルには加速時のフロントリフト抑制とブレーキング時の安定感を向上するウイングレットも装備。サーキットで効果的にダウンフォースを発生します。要するにモトGPで培った最新の技術がブッ込まれている。

オーリンズ製の電子制御NPXフォークを採用。ブレーキキャリパーはブレンボ製

――218馬力のぎんぎんマシンは公道だとハードすぎない?

青木 確かにCBR史上最強のマシンですが、コイツは公道で乗っても本当に楽しい。圧倒的な安定感とグリップ力で路面に張りつくようにして曲がる。車体のピッチングが少なめで乗り心地もいい。前後サスペンションは短いストロークの間でよく動きます。

――エンジンはどうです?

青木 走りだすときの超低回転域のトルクが薄めに感じますが、6000rpmあたりからの吹け上がりとダッシュ力は強烈そのもの!

――スズキとホンダ、ズバリ推しはどっち?

青木 1000ccのスーパースポーツはエキスパートライダーがたどり着く、かなりとがったクラスです。オラオラ乗ってヒィヒィ言わせたいならGSX-R。超最先端のライディング希望ならCBR!

モトGP直系のウイングはハンパない安定感を生み出す。ちなみに灯火類はフルLED