7月9日にタイで初公開されたトヨタの新型SUVカローラクロス。日本導入の公式アナウンスはまだないが......

ヤリスクロスに続いてカローラクロスがタイで衝撃デビューを飾り、早くも話題沸騰だ。ニッポン市場への導入は?

カローラクロスの最速情報とトヨタ怒涛のSUV攻勢の背景を自動車ジャーナリスト・小沢コージが解説!

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■カローラシリーズにSUVが登場!

現行カローラシリーズとほぼ同じ造形のインテリア。SUVだけにアイポイントは高い

これぞ割れ鍋にとじぶた。隙間にピタリとハマるニューモデルの登場だ! そいつは7月9日にタイで発表されたトヨタの新世界戦略コンパクトSUVカローラクロス。

昨年11月登場のライズ、6月のハリアーとRAV4PHV、そして8月31日に発売となり早くも大人気のヤリスクロスに続くトヨタの量販SUVだ。

余裕のある室内空間。ラゲッジスペース容量はクラストップレベルの440~480リットルを確保

現時点でカローラクロスの日本市場導入は明らかにされていないがオザワの読みでは間違いなく導入される! 過去にも海外マーケットに先に出て、その後にニッポンで発売された人気モデルは山ほどあるからだ。

マジな話、カローラクロスはまさに待望のサイズ。ヤリスクロスとハリアーの間にハマる実用的かつスタイリッシュなトヨタのSUVだ。

ライズ 価格:167万9000~228万2200円 5ナンバーサイズのSUVで販売絶好調。ちなみにダイハツからのOEMで姉妹車はロッキー

ハリアー 価格:299万~504万円 7月の登録車の販売台数ランキングで4位に登場。ちなみに月販目標台数3100台の3倍を超える9388台を売って話題に

それにしてもトヨタのSUV攻勢はスゲー。ライズは5万8000台超を売り上半期の登録車トップ! ハリアーは発売1ヵ月で4万5000台を受注。月販目標は3100台なので1年分の受注を集めた計算になる。

RAV4PHV 価格:469万~539万円 航続距離1300km以上。システムの最大出力は300PS以上で、時速100キロ到達は6秒。超快足モデルでもある

RAV4PHVは発売直後に受注が殺到して今年度の生産分はすでに完売。そしてヤリスクロスも絶好調の滑り出しらしい。とにかく今、トヨタSUVの進撃がハンパないのだ!

ただし発売から4年が経過するC-HRの販売は頭打ちになっている。当初は国内SUV販売でトップに躍り出たが最近は勢いが弱まり販売台数が2000台を切る月も。造りもスタイリッシュすぎて全長の割にリアシートは狭くラゲッジ容量も320リットル以下。

その点、カローラクロスはスタイリッシュかつ間違いなく実用的だ。資料を読み込むと骨格はもちろん最新世代のGA-Cプラットフォーム。現行カローラセダンやカローラワゴンと同じで、当然、走りや質感は間違いなくいいはずだ。

何よりサイズが絶妙。全長4460mm×全幅1825mm×全高1620mmとC-HRよりひと回り大きく幅広い。

C-HR 価格:238万2000~314万5000円 8月4日に一部改良を実施。「緊急時操舵支援機能」など先進安全装備をアップデート

さらに最近のSUVにはない、わかりやすい大型台形グリルと膨らみを帯びたふくよかな造形がいい。C-HRのようなナルシスト気味なスタイリッシュさはなく、前後のマッチョなブリスターフェンダーがカッコいい。

サイズから考えてリアシートは間違いなく広いし、ラゲッジも400リットル以上はあるだろう。パワートレインは現状カローラシリーズに搭載済みの140PSの1.8リットルガソリンか、122PSの1.8リットルハイブリッドから選べる予定だ。

どちらもパワーは十分だし、特にハイブリッドは大きめのSUVボディでもWLTCモード燃費で20km/リットルを超えるはず。

唯一の懸念は乗り心地と価格帯。資料によるとリアシートは現行カローラのダブルウィッシュボーンではなく、シンプルなトーションビーム。そのままでは若干バタバタした硬めの走りになるかもしれないし、スタートプライスがもしや250万円以上だとすると少々お高いと感じるかも!?

だが、日本仕様のみリアサスを変えてくる可能性もなくはないし、現状カローラクロスはタイ生産だけにそのまま輸入すれば価格は抑えられる。

もうひとつの注目は国内販売のサバイバル化だ。今年5月から国内のトヨタ販売店は全車種併売となり、トヨタ店もトヨペット店もカローラ店もネッツ店もすべてのトヨタのクルマを取り扱っている。

ヤリスクロス 価格:179万8000~281万5000円 ハイブリッド車ではクラス世界トップレベルの低燃費を実現(2WDでWLTCモード30.8km/リットル)。軽快な走りも魅力

店ごとの食い合いが起きているし、ここにカローラクロスが登場したらサイズがかぶるC-HRはもちろん、ヤリスクロスやRAV4の客も食う。販売現場はもはやグチャグチャなはず。

その理由を考えると、コロナで販売が落ちた分を死に物狂いでトヨタ全体として取り戻そうとしているし、一方で増えすぎた販売店を選別する意味もあるだろう。あえて食い合うネタを投入して販売店の力を試している意図があるのかもしれない。

いずれにしても、続々登場するトヨタSUVはユーザーからすると、正直、どれにすべきか迷うはず。しかし、サービス競争は望めるし、決して悪い話ではない。オザワも早くカローラクロスに乗り「トヨタ内SUVバトル」の記事を書いてみたい。

ということでカローラクロスの年内ニッポン導入希望。遅くても来春には試乗したいぜ!