ドゥカティ ムルティストラーダV4 価格:288万~347万円 発売:2021年3月13日 3月13日に日本での販売が開始されたドゥカティの新型車「ムルティストラーダV4」は、世界トップの自動車部品メーカー「ボッシュ」とコラボして安全運転支援システムを開発!

輸入バイクが激アツだという。二輪では世界初となる先進安全装備を施したマシンから、二輪トップの大排気量を誇る怪物マシンなどが勢ぞろい! 今、どれを狙うのが正解? 『週刊プレイボーイ』でおなじみのモーターサイクルジャーナリスト・青木タカオがガツンと解説する!

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■BMWがクルーザーセグメントに殴り込み

二輪車初の安全運転支援システムは、バイクが自動で加減速する。前走車がいなければ運転手が設定した速度で走る

――イタリアが誇るドゥカティから衝撃の新型車が出たらしいスね? ズバリ狙い目?

青木 はい。ドゥカティが新発売したムルティストラーダV4はヤバいです。テストコースでたっぷり乗りましたが、前車を自動でピタリと追従するんです。

――自動運転に近い?

青木 いや、あくまでも安全運転支援システムで、ハンドルから手を離したまま車線の中央を走ったり、停止時までブレーキをかけ続けることはありません。そもそもハンズオフ運転は二輪だと本当に危険ですから(笑)。

――ふうむ。だったら、その安全運転支援システムは具体的にどんな機能なんスか?

青木 バイク初となる前後レーダーセンサーを搭載し、アクセルやブレーキをバイクが自動で操作してくれます。対象物から離れたら自動的に加速し、接近したら減速する。そして一定の車間距離を保ち続けます。

――後方のレーダーの働きはどうなってんスか?

青木 側面および後方車両との車間距離や車速の差を測定し、死角となる後方側面に車両を検知した際は、ライダーが方向指示器を操作すると、ミラーに内蔵された警告灯が点滅し注意を促してくれます。

――走りはどうです?

青木 高速バンクを使ったテスト試乗もしましたが、片手で素早く上げ下げできるウインドシールドで、時速180キロ以上でも余裕のクルージングができます。もちろん、オフロードも難なくこなしてくれました。

V型4気筒の1158ccエンジンは最高出力170馬力と実にパワフル。完全新作のモノコックフレームとの相性も抜群です。ちなみに先代よりエンジン単体で1.2kgの軽量化も実現しています。

ぶっちゃけ、新しい電子デバイスにアレルギーを感じるライダーもいるかと思いますが、ライディングの楽しさはそのままに、より安全に、より快適に仕上がっています。

BMW R1250RT 価格:307万円 発売:2021年3月8日 BMW自慢の大型ツアラー「R1250RT」の2021年モデルは3月8日より受注開始。新型はアクティブ・クルーズ・コントロールを装備し、話題を呼んでいる

――BMWも注目のマシンがあるそうですね?

青木 そうなんです。実はR1250RTも前走車との距離を自動で保つアクティブ・クルーズ・コントロールを新型で搭載しているんです。さらに操舵方向へヘッドライトの照射を自動で移動させるアダプティブヘッドライトも新採用しています。

BMW R18 価格:254万7000~297万6500円 発売:2020年5月14日 BMW史上最大の排気量となる1801ccの空冷ボクサーエンジンを搭載するアメリカンタイプの大型クルーザー。BMWがぶっ放した完全新作のマシンだ

――ほかにもスゴいモデルがある?

青木 はい。BMW史上最大となる1801ccの新作ボクサーエンジンを心臓部にしたR18です。コイツはハーレーの十八番であるクルーザーセグメントに殴り込んできたわけですが、同じ2気筒搭載でもVツインのハーレーは荒々しく大味なのに対し、R18はジェントルに小気味よく回るエンジンです。

まぁ、大きな声では言えませんが、BMWはクルーザーセグメントに進出し、失敗した過去があるんですよ。それが1997年のR1200C。独自の先進スタイルが斬新すぎまして......。ただ、今回のR18はファン垂涎(すいぜん)の戦前モデルR5をオマージュし、クラシックムード満点で推せます!

■あのハーレーからアドベンチャー登場!

トライアンフ ロケット3R 価格:271万5000~291万5000円 発売:2020年1月18日 2.5リットルの超巨大な直列3気筒エンジンを搭載するロケット3Rは167馬力。ボディは318kgと超ヘビー級。もはやクルマと全然変わらないスペックを誇る!

――なるほど。ちなみにイギリスの名門トライアンフがとんでもないマシンをブッ込んでいるってマジ?

青木 市販車世界最大排気量となる2458ccを積むロケット3Rのことですね(笑)。

コイツは見た目こそ超ド級ですが、スポーツ車が採用するフロント17インチホイールや片持ち式スイングアームでコーナーも意外なほど軽快に曲がる。水冷直列3気筒は鼓動感豊かなツインの心地よさと、高速で伸びる4気筒の良さを併せ持ち、最高出力は167馬力です。

ちなみにネオクラシックやアドベンチャーなど幅広くラインナップするトライアンフは、日本での販売が絶好調。現在、輸入ブランド3位に立った注目のメーカーでもあります!

――欧州勢ツヨ!

青木 いやいや、やっぱり日本で強いのは米ハーレーですよ。昨年の輸入二輪車のシェアはハーレーが約37%でトップ。続く2位のBMWは約26%ですから、けっこうな差があります。

昨年末にハーレーダビッドソンジャパン新社長に就任した野田一夫氏。日本人がハーレーダビッドソンジャパンの代表に就任するのは2011年以来9年ぶりとなる

ちなみにハーレーダビッドソンジャパンの野田一夫新社長に強さの秘密を聞いたところ、「われわれには圧倒的なブランド力と、熱き魂を持つスタッフがいる。その充実した販売体制が大きい」と語っていました。

ハーレーダビッドソン パンアメリカ1250 価格:231万~273万1300円 発売:2021年2月24日 ハーレー初となるアドベンチャーツーリングモデル。エンジンは新開発の水冷1250㏄のVツインを搭載する。早く試乗してぇ~

――今、新型も話題ですね?

青木 ええ。ハーレー初のアドベンチャー「パンアメリカ1250」がついに登場しました。水冷化された完全新作Vツインエンジンや、オフロードも駆け抜けられる脚の長いサスペンションを備えて、上級仕様のS(スペシャル)では、シート高やサスペンションを自動調整する先進的な電子制御までブチ込まれています。

――輸入車クソアツいスね。 

青木 まだ話せませんが、"隠し玉"もありますから。今年は輸入車に注目ですよ!

●青木タカオ 
モーターサイクルジャーナリスト。YouTubeチャンネル『バイクライター青木タカオ【~取材現場から】』。著書に『図解入門 よくわかる最新バイクの基本と仕組み』(秀和システム)など。現役の二輪専門誌編集長だ