今回の公道試乗は東京と千葉を往復。「オーラという名前はヤリすぎな気がするが、日産の意図はわかる。室内にも走りにもオーラがあるよ」と小沢氏

ノートの上級車として誕生した新型ノート オーラが売れに売れている。いったいなぜ? そこで自動車ジャーナリストの小沢コージ氏が公道ガチ試乗! その人気の秘密にガッツリ迫ってきた。

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■本革シートの上質さを味わえ!

日産 ノート オーラ 価格:261万300~295万7900円 発売:2021年8月 値引き:15万円 リセールバリュー:C フロントはオーラ専用のデザイン。小さなVモーションと薄型LEDヘッドライトを採用。上級感のある顔面だ

注目のクルマに公道試乗してきたぜ。ソイツの名は日産ノート オーラ! 快進撃を続ける日産の電動コンパクト、2代目ノートe-POWERの高級車版である。

日本では高級車=大型セダンのイメージが強すぎるのか小さな高級車が成功したことはほとんどない。しかし、ノートe-POWERをベースに外観、内装、走りのすべてを上質化したオーラは発売3週間で受注1万台を突破! それも1台300万円前後の高額車が、だ。果たしてどこが人気のポイントなのか?

ボディサイズは全長4045mm×全幅1735mm×全高1525mm。3ナンバー化した

リアのポイントは左右のテールランプをつなげたデザイン。ワンランク上の存在感がある

見た目で大きいのは全幅を4cm拡大した専用エクステリアだろう。国産コンパクトでは貴重な完全3ナンバーサイズだが、これ見よがしなワイドフェンダーなどは装着していない。上品な塊感を持つノートがよりダイナミックになった印象だ。同時にグリルの網目模様がより緻密になり、ヘッドライトもアダプティブライトシステム搭載の超薄型LEDに!

ウインカーも流れるタイプに変わった。さらにテールランプの進化にも注目だ。左右がつながったトレンディなモノになり、デイライトで全面的に光る。コイツは日暮れから存在感を発揮するはずである!

全車オーディオレス状態が標準となっている。ちなみにナビ画面は9インチと大きい

ドアを開けた瞬間、ハッとさせられたのがインテリアだ。ベースのノートでも本革シートは選べるのだが、オーラの本革シートの質感はワンランクどころかツーランクは上がっている!

選択肢はざっと2種類。ハーフファブリックシートを使ったGと、本革シートを採用するGレザーエディションだ。共通するのは高品質なウッド調パネルと自動車用としてはおそらく初めてであろうツイード調生地。もはや自動車とは思えないホームファニチャー的世界観を醸し出しているのだ。

特に10以上の工程と手間をかけて作られたウッドパネルのツヤ感と触感がイイ。開発者が実際に触って細かな凹凸を吟味しながら作り込んだ代物だ。ツイード調生地も海外製スーツに負けないマテリアル感にこだわったというし、オーラの標準グレードにはないグレーの本革シートの色合いもイイ。本革には30mmのソフト層が加わり座り心地も良く、オザワはこのGレザーエディションを推す!

1.2リットルの発電用エンジンにモーターを組み合わせる。静かで力強い走りが自慢だ

走りは意外な方向に進化した。そもそもe-POWERは1.2リットルエンジンを発電専用に使い、加速をモーターのみで行なうため、加減速がピュアEV並みに滑らかで上質になる。さらにオーラはパワー&トルクを136PS&300Nmに強化しているため、てっきり発進加速を強調した"ビックリ電動感"で勝負してくると踏んでいた。

しかし予想は外れた。コンパクトカーでは使われないラミネートガラスの採用により静粛性をアップ。さらに中間加速や高速の伸びはノートと別物の上質さで、コイツはマジで小さな高級車に仕上がっている。

オプションのBOSEサウンドシステムは、ヘッドレストにスピーカーを備える。画期的

オーラ専用の12.3インチ大型ディスプレイや、セットオプションで選べる国内初のヘッドレストスピーカーを備えたBOSEの「パーソナルプラスサウンドシステム」も実にユニーク。まさに上質化手法のテンコ盛りである!

ちなみにオーラの価格は261万円スタート。本革シートや日産自慢の先進安全、プロパイロットのセットをオプションでつけると300万円を超えるが、輸入車を買うと思えば、納得の充実ぶりである。

●小沢コージ 
自動車ジャーナリスト。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのCARグルメ』(毎週木曜17時50分~)。YouTubeチャンネル『KozziTV』

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