一般道だけでなく、アネスト岩田ターンパイク箱根でも試乗を敢行。俊敏なハンドリング、静粛性、乗り心地の良さは先代を軽く上回る

プレミアムセダンの代表的なモデルであるメルセデス・ベンツのCクラスがフルチェンして話題を集めている。そこで、神奈川県の箱根で開催された試乗会に自動車ジャーナリストの竹花寿実(たけはな・としみ)氏が特攻、その走りと実力に迫ってきた!!

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■Sクラスの装備がテンコ盛り!

5代目メルセデス・ベンツ Cクラス 発売:2021年8月 価格:654万~705万円 リセール:B 値引き:10万円 今回の試乗モデルはC200アバンギャルド。ベーシックパッケージ、AMGラインなどのオプションを装着

――今回、箱根でメルセデス・ベンツの新型Cクラスを試乗したわけですが、なぜこんなに話題なんスか?

竹花 先代モデルはセダンとステーションワゴンだけで世界で約250万台、日本国内でも約10万台を販売。日本市場では2015年から5年連続で輸入車Dセグメント部門で首位に輝いた大ヒット作なんです! 当然、7年ぶりに5代目へと進化した新型にも大きな期待が集まっています。

――ズバリ、5代目はどんなクルマ?

竹花 ひと言で言えば"プチSクラス"です。プラットフォームは、新型Sクラスにも採用されているMRA-2(モジュラー・リアホイールドライブ・アーキテクチャー2)で、パワートレインやシャシー、エレクトロニクスなど、あらゆる面で新型Sクラスに準じたものになっています。先代より若干大きくなったボディのデザインも、ひと目見て新型Sクラスの流れを汲(く)んでいるのがよくわかります。

内装で目を引く液晶メーターパネル&縦型の11.9インチディスプレイ。どちらも未来感がハンパない

――確かに。

竹花 インパネもSクラスとうりふたつでセンターにはSクラスと同様に、正方形に近い11.9インチの大きなタッチスクリーン式メディアディスプレイが備わっています。Sクラスでは真正面に向いていますが、新型Cクラスではドライバー側に6度傾けてある。このあたりにSクラスよりドライバーズカーとしてのキャラクターが表れているなと。

ちなみに「ヘイ、メルセデス!」でおなじみの自然対話式音声認識機能「MBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・インターフェース)」は、Sクラスと同じ新世代のもの。指紋や音声による生体認証機能も搭載しています。

ボディサイズは全長4785mm×全幅1820mm×全高1435mm。車両重量は1700kg

――走りはどうです?

竹花 さすがにSクラス並みではありませんが、快適性は先代からはっきりと向上しています。今回の試乗車は、204PSと300Nmを発揮する新開発の1.5リットル直4ガソリンターボに、20PSと208Nmを発揮する電気モーターを備えたISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)と9速ATを組み合わせたマイルドハイブリッドのC200アバンギャルドで、18インチタイヤを履いたAMGライン装着車だったのですが、静粛性や乗り心地は先代よりワンランク上! 特に高速道路での快適性はクラストップです。

エンジンは新開発の1.5リットル直4ターボにマイルドハイブリッドを組み合わせた。走りはスポーティ

――見た目同様、走りもスポーティ?

竹花 先代の1.5リットルモデルよりエンジン自体もパワーアップしていますし、ISGも追加されたので加速は格段にパワフルで、しかもスムーズ。

また、時速60キロまでは後輪が前輪と逆位相、60キロを超えると後輪が前輪と同位相になり最大2.5度切れるリア・アクスルステアリング(オプション)のおかげで、とても俊敏なハンドリングが楽しめます。こちらもSクラスに採用されている技術です。

リアにはSクラス譲りの2分割型のリアコンビネーションランプを採用している

――スゴい商品力ですね!

竹花 プレミアムDセグメントセダンとしての商品力は、格上のEクラスがかすんで見えるほどで文句ナシですが。

――なんか歯切れ悪いスね?

竹花 個人的にはメルセデスのセダン系モデルは、ここまでスポーティでなくてもいいかなと。今後、ディーゼルとPHEV(プラグインハイブリッド)が日本市場に導入される予定なので、購入を検討される場合は、追加モデルと比較してからのほうがいいかもしれません。

●竹花寿実(たけはな・としみ) 
自動車ジャーナリスト。自動車雑誌の編集者などを経て2010年に渡独。ドイツ語を駆使し、現地で自動車ジャーナリストとして活躍。活動拠点を日本に移してドイツの自動車メーカーの最新動向などを発信中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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