シャワーフルーツが気持ち悪い方は、「なんでもランキング」の遊びをぜひ
『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は、市川紗椰が発見したフルーツの食べ方について語る。

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最近、仲間内ではやっている遊びが「なんでもランキング」。好きな洋食メニューやコンビニアイスなどのトップ5を発表し合い、「そうきたか!」とか、「ナイスチョイス!」とかをただ言い合うだけの遊びだけど、これが妙に盛り上がるときがあります。そして先日、好きなフルーツトップ5の発表の際に気づいたことがありました。私のランキングでは、単なる味の好き嫌いだけでなく、食べやすさや面倒くささが大きく結果を左右していたんです。 

例えば、スイカはそれなりに好きだけど、手がベタベタするからいや、イチゴもベタベタするからおいしさとのバランスが取れない、ブドウは手がベタベタしない種なしのもののみをチョイス、一番好きな種がないデラウェアは手がベタベタしないように皮ごと食べる......。

もうお気づきでしょう。私はどうやら、フルーツで手がベタベタするのがとってもいや。さらに言うと、口の周りがベタベタするのも苦手なので、カットされたフルーツもちょっと面倒くさい。みずみずしい果汁がウリなんでしょうに、それを煩わしく感じてしまう貧しい感性の私。そんな私の救いになる食べ方を発見しました。ベタベタが苦手でフルーツを避けている人がほかにひとりでもいると信じ、お話しします。

用意するのは、フルーツと広い心。オススメのフルーツはオレンジやミカン、桃など、皮が手でむけて、丸かじりできるもの。皮ごと食べることに抵抗がないのであれば、リンゴや梨もいい感じだと思います。フルーツを選んだら風呂場に移動し、脱衣してシャワーからお湯を出し、熱々のシャワーを浴びながら、フルーツを食べるだけ。その名も、シャワーフルーツ(名前募集中)。

豪快にかぶりついても、果汁は飛び放題・垂れ放題。唇から滴り落ちる果汁で、お風呂場が果汁100%ジュースのCM現場に大変身。そのまま洗い流せるのでベタベタするデメリットがないのはもちろん、シャワーの蒸気でかんきつの豊かな香りが充満し、ナチュラルアロマテラピー効果という思わぬ利点も(「風呂場で食べる? 気持ち悪い」と思いながら読んでいるあなた、これはラグジュリアスな体験です)。

それだけではありません。ミカンを食べるときって、両手が奪われるので、同時にほかのことができないのがネック。しかし、シャワーフルーツだと、体を洗う+食べるが同時進行できてマルチタスクが実現。高効率~。

冗談2:本気8なのか冗談8:本気2なのかどうかは皆さんのご想像にお任せしますが、ダマされたと思って試してください。全裸で物を食べる妙な開放感と、食べ物で遊んだ童心に帰る感覚がクセになるかもしれません。上記のフルーツはもちろん、キウイやメロンも素晴らしかったです。ココナツも試したいけど、風呂場にハンマーを持ち込む勇気はまだありません。

ちなみに、10代の頃から好きなアメリカのとあるコメディ番組では、主人公の愉快な隣人が、お風呂に入りながら物を食べるのにハマった結果、お風呂場に生ゴミ処理器を設置していました。私は持ち込んだポリ袋に種や皮を入れていますが、いつかレベルアップしたいです。

●市川紗椰
1987年2月14日生まれ。愛知県名古屋市出身、米デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』が好評発売中。かつては忙しさにかまけてお風呂に漬かりながら夕飯を食べていたが、さすがにもうしてない。公式Instagram【@sayaichikawa.official】

『市川紗椰のライクの森』は毎週金曜日更新!