ベースのノートから車高を25㎜ほどリフトアップし、SUVの風味がしっかりまぶされている。価格は253万7000~279万6200円
2021年10月7日に発売開始となった、ノートオーテッククロスオーバー。2020年に登場した現行ノートをベースに、内外装と足回りに手を入れたコンパクトクロスオーバーモデルである。日産車として10年ぶりに日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたノートシリーズだが、そのなかで異彩を放つチョー個性派を、自動車ジャーナリストの小沢コージ氏が公道試乗した。

■実にお手軽なクルマ

日産としてはリーフ以来、10年ぶりに日本カー・オブ・ザ・イヤーを戴冠したノートシリーズだが、自動車ライターやマニア筋の間で「コイツをクロスオーバーSUVと呼んでイイのか?」と話題を集めているモデルがある。ズバリ、ノートオーテッククロスオーバーだ。ぶっちゃけ、ムリクリ感がチト強いクルマなのだ。

ただ、クロスオーバーSUVは流行りのモデルでありコンパクトカーの定番ではある。例えば、トヨタの先代アクアにはクロスオーバーモデルが存在したし、現行モデルにも登場しそうな予感が漂う。ちなみにホンダのフィットにもクロスターと呼ばれるクロスオーバーモデルがある。

今回、そんなノートオーテッククロスオーバーを公道に引っ張り出して試乗したが、実にお手軽なクルマではあった。そもそも内外装を豪華に合皮張りにしたノートオーテックがあり、ぶっちゃけると、それの背高SUV版がノートオーテッククロスオーバーなのである。

内装は、人工皮革の「レザレット」を使用。専用シートやブルーのステッチが施されたステアリングホイールなどを特別に装備している

ボディ鉄板部分はハッチバックとまったく変わらず、内装もオーテックと同じ。外装は車高を25㎜ほど上げ、大径16インチタイヤと専用ホイール、樹脂フェンダーモールとルーフモールド、あとは前後に専用エンブレムを付けただけ。340リットルのラゲッジ容量はもちろん、前後シートのスペースも変わらない。

SUVっぽいのは上下のモール系だけだ。パワー&トルクもノートオーテックと同じ。当然、走った感じもほぼ変わらない。

一応、車高が高い分、足回りが変わってはいるが、担当エンジニアいわく、「あえてハッチバックとの違和感を出さないようにした」とのこと。

外観はルーフレールの効果もあり、意外と車高が高くなった印象を受ける。実際、クルマに乗るとアイポイントは確実に高くなっていた。要するに、ノートオーテッククロスオーバーの見た目はSUV風だが、そんなにかまえずスッと乗れるモデルに仕上がっている。逆に言えばそこが売りのクルマだ。正直、本格的なSUVだと乗り降りに神経を使うし、乗り心地の面でどうしても揺さぶられ感が出てしまう。また、横幅が大きくなり日常の使い勝手で若干苦労することもある。

だが、ノートオーテッククロスオーバーはノーリスクで乗れる〝プチSUV〟だ。普段着でサクッと乗れるのが魅力なのである。 

★試乗して解説してくれた人 
小沢コージ Koji OZAWA 
自動車ジャーナリスト。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのCARグルメ』(毎週木曜17時50分~)。YouTubeチャンネル『KozziTV』