映画に使われたジャバ人形の、数少ない現存するパーツのひとつ、あのジメジメと濁った目と
『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は、『スター・ウォーズ』シリーズに登場するジャバ・ザ・ハットの小ネタを語る。

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不気味な場面がたくさん存在する『スター・ウォーズ』シリーズの世界の中でも、トップクラスの気持ち悪さを誇るジャバ・ザ・ハットの宮殿のシーン。『ジェダイの帰還』のこのシーンは、カーボンフリーズされたハン・ソロの姿やボバ・フェットの存在感、そしてレイアのビキニ姿が有名ですが、見返すたびに薄気味悪い発見があります。オススメの小ネタ4選を紹介します。

ジャバは巨大なナメクジのようなヌメヌメの体でおなじみの「ハット族」の一員。体長3.9m、体重1t以上の巨体で、自力で動くことさえ厳しい。そんなジャバがぐで~んと寝そべる玉座の真後ろに、そこそこの大きさの肉を丸焼きできるような豪華な回転グリルが設置されています。ソファに横になりながら、リモコンや飲み物もすべて手が届く位置にあるのが最高に幸せな私にとって、すぐそこにあんな立派なバーベキューのセットがあるのは理想中の理想。目指せ、ジャバ流自堕落。以前、デザインのベースとなるコンセプトアートを見る機会がありましたが、ジャバの回転グリルは装飾も凝っている上、垂れた肉汁がいい感じにかかる野菜の薫製調理スペースもついており、ビジュアルだけじゃなく機能性も優れているものだとわかりました。やるぅ。

続いては、私的不快さナンバーワン、道化師のサレシャス・B・クラム。70㎝もない小さな猿×トカゲ的な彼は、甲高い笑い声で常に周りをばかにしてジャバを楽しませていました。ジャバがレイアに殺され、ジャバへの恐怖心から解放されたほかのメンバーがすぐさま撤収するなか、クラムはC-3POの目をほじくり出して食べ始めます。無害な道化を演じながらジャバの秘密をすべて目撃し、ジャバなき後も狂気的な行動を続けたクラム、侮れません。ちなみに彼は、ジャバの船の爆発に巻き込まれて死んだことになっていますが、うっかり生きていないか、小学生の頃から注目しています。

ジャバお気に入りの青い象っぽいミュージシャンが、あの爆発を生き延びたことも最近判明しました。ジャバ亡き後のタトゥイーンを描く新シリーズ『ボバ・フェット』にて、クラブで演奏している姿が何度か確認できます。単に同じオートランという種族なだけかと思いましたが、クレジットで名前がマックス・レボだとわかり、生存およびファンが広めた名前が公式になったことが確認されました。先日、再び爆発に巻き込まれてまた生存不明ですが......。ちなみにフィギュアなどでは、本編では見えない足元が表現されていますが、キャラデザインではそもそも足がない種族だったらしく、玩具メーカーが勝手にキーボードの下に足があると思い込んでそう作ってたそうです。昔ぬいぐるみを持ってましたが、だまされた気持ちです。

最後は、ランコア飼いのおじさん。気に入らない人の処刑に使われていた大怪物ランコアをルークが殺し、牢ろうから脱出するというアクションが見せ場のシーンですが、ランコアの世話係らしきおじさんが遺体を前に大号泣するのが一瞬映ります。それぞれの人物にそれぞれの正義や立場があるのを感じさせる好きな場面です。

●市川紗椰
1987年2月14日生まれ。愛知県名古屋市出身、米デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』が好評発売中。レイア役のキャリー・フィッシャーが実際に映画で着用したビキニを見たとき、あまりのウエストの細さにハリウッドの恐ろしさを知った。
公式Instagram【@sayaichikawa.official】

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