ポーランド料理といえば「ビゴス」!

ジェンドブレ! こんにちは、旅人マリーシャです。

「旅人でも簡単に作れるおうちで世界飯」第31回はポーランドをはじめ、リトアニア、ベラルーシ、ウクライナで親しまれている伝統的な煮込み料理「ビゴス」に挑戦したいと思います。

ポーランドはヨーロッパ東部に位置し、ロシアの飛地、リトアニア、ベラルーシ、ウクライナ、チェコ、スロバキア、ドイツなど複数の国に囲まれています。地理的な理由もあり幾度となく侵略や戦争を経験し領土を奪われ、一時は国がなくなるという歴史もありました。

現在ポーランドは、ロシア侵攻によるウクライナの避難民をおよそ200万人以上受け入れていますが、その寛容な姿勢は「戦争の残虐さを知っているから」と語られます。

ポーランドの第二都市クラクフには、中世の街並みが残る

都会的なクラクフ中央駅

2016年、私はポーランドの京都とも言われている第二都市クラクフを旅しました。「クラクフ歴史地区」はなんと世界で最初の世界遺産12件のうちのひとつ。1978年に登録されました。中世の面影が残る街並みはあいにくの天気でどこか寂しげにも見えましたが、とても美しい場所でした。

クラクフ中央駅は旧市街とは異なり都会的。ここからバスで1時間半、ポーランドに来たら必ず訪れるべき「アウシュビッツ強制収容所」に行きました。第二次世界大戦中、ヒトラー率いるナチス・ドイツが人種差別的な大量虐殺(ホロコースト、ジェノサイド)を行なった史上最悪の惨劇が起きた「負の遺産」を前に、私は言葉を失いました。

「働けば自由になる」と記された「アウシュビッツ強制収容所」のゲート

壁に描かれたバンクシータッチのアートが何かを訴えかけているような雰囲気

苦難の時代をたくましく生きてきたポーランドの人々ですが、彼らの食生活は伝統的になんと1日5食だったとか。現代では1日3食と変化もあるそうですが、強い精神と肉体作りの源となっていたのではないでしょうか。

今回紹介する「ビゴス」は、ザワークラウトというキャベツの酢漬けを肉やソーセージ、野菜やきのこ類と煮込んだもので、名前には「狩人のシチュー」という意味があります。

かつては軍隊の遠征で大鍋のビゴスが持ち運ばれたり、貴族の狩猟では夕暮れに締めのビゴスが食べられていたそう。またレシピは各家庭によって異なりますが、ポーランドの「おふくろの味」とも言われているそうです。

私がワーキングホリデーでオーストラリアに住んでいた時、ルームメイトでポーランド人のアントニーがビゴスを自炊していたことで初めてこの料理を知りました。その後、彼とはクラクフで久々の再会を果たし、ランチへ行くことに。

「やっぱりポーランドといえばビゴスだよね! ビゴス食べたい!」

と私が言うと......、

「え? ヘヴィーじゃない? 大丈夫?」

たしかにビゴスはお肉がゴロゴロ入った煮込み料理で腹持ちも良い。私は結局「ピエロギ」という餃子のようなダンプリングで軽く済ませましたが、あの時本場のビゴスを食べておかなかったことを少し後悔。そのリベンジも兼ねて、ビゴス作りスタートです。レッツクック!


材料:ベーコン、ソーセージ、お好みの肉、ザワークラウト、キャベツ、たまねぎ、ニンニク、乾燥ポルチーニ、プルーン、ローリエ、トマト缶(ほか、塩胡椒)

<材料> 4人分

 ・ベーコン...2枚ほど

 ・ソーセージ...100g

 ・豚肩などお好みの肉...200g

 ・ザワークラウト...200g

 ・キャベツ...200g

 ・玉ねぎ...1個

 ・ニンニク...1片

 ・乾燥ポルチーニ...5g

 ・プルーン...3つ程

 ・赤ワイン...100ml

 ・トマト缶...200ml

 ・ローリエ...1枚

 ・塩・胡椒...少々

<ワンポイント>

・本場のビゴスは煮たり冷ましたりして長時間煮込みます。2、3日目がより美味しくなるんだとか!

・簡単に作りたい人は炒める作業を省略して、具材を全部鍋に入れて煮込むだけでもOK!

<下準備>

・ザワークラウトを水洗いし水分を絞っておく。

・ニンニクと玉ねぎは粗めのみじん切り、キャベツは粗めの千切り、お肉は食べやすいサイズに切る。

・乾燥ポルチーニはお湯で戻してから小さくカット(戻し汁も使います)。プルーンも小さくカット。

(左上)ザワークラウト、(右上)キャベツ、(左下)お湯で戻した乾燥ポルチーニ、(右下)乾燥ポルチーニとプルーン


<調理>

1.鍋に油をひき、ニンニク、玉ねぎを炒めたら、肉類も加え炒める。

2.残りの具全て(ザワークラウト、キャベツ、乾燥ポルチーニと戻し汁、プルーン、ワイン、トマト缶、ローリエ)を加え、塩胡椒で味を整え、弱火で1時間以上煮込む。

★YouTubeで実際の料理シーンも見てみてね!

<実食>

できあがり! 1時間煮込まれクタクタになったビゴス

見た目は正直ぐちゃっとしてますが(表現ごめんなさい)、まぁそういうもんです。ブレッドボウル(パンでできた器)に入れて提供されることも一般的で、その場合もう少し映えるように思います。個人的にはパセリでも散らせば良かったかな。

しかし味は見た目ではありません。しっかりと煮込まれた具材たちの旨味や栄養が鍋の中で混ざり合い、クタクタに煮込まれたザワークラウトをまとったお肉たちは満足度高め。パスタソースにしたりご飯のお供にも良さそうです。私はこれにチーズをかけてみましたが、ナポリタンのような味わいでどこか懐かしさを感じました。

お皿に盛られたビゴス。パセリを散らせば良かったかも!

ビゴスはワイルドな男飯的要素もありますが、ザワークラウトはキャベツを乳酸発酵させた発酵食品なので腸活にも効果あり! みなさんもビゴスを食べて、ワイルド&ビューティーな体を手に入れましょう!

PRAY FOR PEACE!

●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ)
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。2014年より『旅人マリーシャの世界一周紀行』を連載。Twitter【marysha98】 Instagram【marysha9898】 YouTubehttps://www.youtube.com/channel/UCe2ihHJ1MXHEZgpdmglzWew

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