小ぶりなサイズで食べやすいルーマニア風ロールキャベツだよ!

今回の「旅人でも簡単に作れるおうちで世界飯」第35回は、前回に引き続きウクライナ周辺国から、ルーマニアの伝統料理「サルマーレ」を作りたいと思います。

ルーマニアは東欧に位置する共和制国家。日本の本州と同じくらいの大きさで、ウクライナ、モルドバ、ブルガリア、セルビア、ハンガリーなど複数の国に囲まれています。体操選手コマネチの出身地であることや、ドラキュラのモデルとなったヴラド3世が実在したことなどが有名です。

旅人の間では首都ブカレストの治安が「ヤバイ」と評判で、私の旅友(日本人女子)もバスに預けたバックパックを盗まれ、見事にウエストポーチのみの状態となりました。他にもぼったくりタクシーやスリ、偽警官に睡眠薬強盗など、旅人を狙った犯罪が多いとのことで、私も相当ビビっての入国となりました。

2018年、すでにアルメニアでスリに遭っていた私は悪名高い首都ブカレストは避けることにして、第2の都市ヤシへ向かうためモルドバのキシナウからミニバスに乗り込みました。

「ルーマニアは土さえ踏めれば満足です! 危険なことに遭いませんように!」

警戒しまくりでピリピリしている私とは裏腹に、ヤシの街は太陽の光を浴び穏やかそう(に見える)。親切なミニバスの運転手さんが文化宮殿まで連れて行ってくれて、全く期待していなかった観光を少しだけ体験できちゃいました。

第2の都市ヤシのランドマーク、ネオゴシック様式の文化宮殿

文化宮殿の美しい内部

そして気付けば私は昨夜から何も食べていませんでした。運良く宮殿の隣にショッピングモールがあったので駆け込むと、大きな施設のわりに人は少なくガランとしていて、唯一スタバにお客さんがチラホラ。

私は20米ドルだけ両替して、フードコートにあるルーマニア料理を食べることにしました。

人の少ないショッピングモール

メニューにはママリガやサルマーレなどモルドバとほぼ同じような食べ物が並んでいました。両国の料理はよく似ています。結局、前日モルドバでも食べたサルマーレを再び注文。ちなみにモルドバでは餃子くらいで小ぶりでしたが、ルーマニアではいなり寿司くらいのサイズ感でした。

日本のロールキャベツにも似ているそれを口に運ぶと、素朴で親しみのある味になんだか日本を思い出し、故郷を恋しく思うのと同時に少しだけ不安がほどけたような気がしました。今思えば、あの時のサルマーレは心細い私の心の支えになってくれたような気がします。

ルーマニア料理の店「Casa Traditiei」

ルーマニアで食べたサルマーレ。マッシュルームとママリガのクリームを添えて

サルマーレの中身は肉や米などが入ってます。モルドバではスメタナ(サワークリーム)を添えて

お腹を満たした私は再び戦闘モード。空港へ向かうタクシーにぼったくられないよう、まずは適正価格を調べ、次に慎重にタクシーを選び、運転手に運賃を確認した上で手持ちの残金を伝え、車に乗り込みました。最後の最後まで怯えていたけれど、タクシーの運転手さんは優しく、運賃もオマケしてくれました。

滞在時間たったの4時間のスーパーショートな旅でしたが、なんとかルーマニアをやりきったという気持ち。常に神経を尖らせていた中で、一瞬ですが旅人の胃と心を満たしてくれたサルマーレはルーマニアでの一番の思い出です。それでは、さっそく作りたいと思います。レッツクック!

材料:キャベツ、水、玉ねぎ、ニンニク、生米、塩胡椒、パセリ、トマトピューレ、挽肉。あればローリエ、ベーコン、ザワークラウト。他トッピングなど

<材料> 4人分

 ・キャベツ...6枚程度(まるごと茹でる)

*タネ

 ・挽肉...180g

 ・玉ねぎ...半分

 ・ニンニク...1片

 ・生米...大さじ1

 ・塩胡椒...適量

 ・パセリ(ディルでも可)...適量

 ・トマトピューレ...大さじ2

*スープ

 ・水...400ml程度(具がヒタヒタになるくらい)

 ・塩胡椒...適量

*あればスープに追加

 ・ローリエ...1枚

 ・ベーコン...適量

 ・ザワークラウト...200g程度

*トッピング...サワークリーム、パプリカパウダー、パセリなど

<ワンポイントメモ>

・本場のサルマーレはキャベツの酢漬けを使いますが、今回は茹でたキャベツで作ります。スープの方にザワークラウトを入れて味を近づけました。

・シンプルな味わいなので塩胡椒はしっかりめに! スープにコンソメを入れてもOKです!

<調理>

1.米は洗って水に浸けておく。

2.玉ねぎ、ニンニクのみじん切りをフライパンで炒め粗熱を取ったらボウルに入れ、挽肉、米、トマトピューレ、刻んだパセリ、塩胡椒を混ぜてタネの出来上がり。(炒めるのを省略し、全てをボウルで混ぜるだけでもOK)

3.キャベツの芯をくり抜き、塩少々(分量外)を入れた鍋で丸ごと5分ほど茹でたら粗熱を取る。

4.キャベツを1枚ずつ剥がし、芯の部分を切り取る。葉の部分は2、3等分にカットし、具を包む皮を作る。

5.キャベツの葉にタネを乗せて俵型に包む。(包み方は自由。クルクル巻いて端を押し込んだり、プレゼントのように包むなど)

6.鍋底に余ったキャベツや芯を千切りにして敷き(あればザワークラウトも)、その上に包んだ5を並べる。

7.具が浸るくらいの水、あればローリエ、ベーコンなどを入れ、中火にかける。煮立ってきたら蓋をして弱火で40分煮込み塩胡椒で味を整えたら出来上がり!(もっとトマト感が欲しければスープにトマトピューレを追加してね!)

★YouTubeで実際の料理シーンも見てみてね!

<実食>
"彼女に作ってほしい料理"としても人気のロールキャベツ。今回はザワークラウトも追加したので、酢漬けのキャベツのテイストやトッピングのサワークリームでルーマニア風に仕上がりました。いつもよりちょっと手間のかかった料理に達成感を覚えながら、いざ実食です。

トッピングはサワークリームやパプリカパウダー、パセリなど!

ホクホクと湯気を揚げるサルマーレを口に運ぶと、ホロリ! クタクタのキャベツの中から肉がほどけ落ちてきます。小ぶりなのでパクパクと何個も食べられます。

「食感ナイス! 酸味も良いし食べやすい! でも、ちょっと味薄かった!」

塩胡椒はもう少ししっかりするべきでした。今回はシンプルな味付けでしたが、コンソメなどを入れても美味しいと思います。酸味が特徴的なので、リンゴ酢などを入れても良いですね!

ルーマニアでは伝統行事や祝い事に欠かせない料理。ぜひ皆さんもサルマーレを食べてみてくださーれ!

2日目はスープにコンソメとトマトピューレを追加しました!

●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ) 
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。2014年より『旅人マリーシャの世界一周紀行』を連載。Twitter【marysha98】 Instagram【marysha9898】 YouTubehttps://www.youtube.com/channel/UCe2ihHJ1MXHEZgpdmglzWew

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