1月10日から再開した全国旅行支援で行くオススメ旅プランは?1月10日から再開した全国旅行支援で行くオススメ旅プランは?

昨年、コロナ禍で落ち込む観光需要を喚起した全国旅行支援が帰ってきた!! でも、どうやら改悪が施されパワーダウン......。いったい何が起こった? どうすればおトク?

航空・旅行アナリストの鳥海高太朗(とりうみ・こうたろう)氏、旅行クーポンサイトを運営の宮内真人(みやうち・まさと)氏、旅行・旅館コンサルタントのタイガ氏のプロたちに聞いてきました!!

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■全国旅行支援の人気が低下したワケ

昨年12月27日に終了した全国旅行支援。40%という高い割引率で、国内の観光需要を喚起した。そんな全国旅行支援が1月10日から制度変更を伴い再開した。

具体的にどのような変更点があったのか。航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏に解説してもらった。

「最も大きい変更点は割引率が40%から20%に下がったことです。割引の上限額も交通付きのプランは8000円から5000円に、宿泊のみのプランも5000円から3000円に減額されました。さらに、旅行先のお土産屋などで利用できる地域クーポンも、平日だと3000円もらえていたのが2000円に減ってしまいました」

この変更にはどのような背景があったのか。

「大まかに分けるとふたつの理由があります。ひとつ目は予算の関係。全国旅行支援が始まった際の予算は8300億円で、昨年投入したのがそのうちの5600億円でした。残りの2700億円で多くの人が利用できるよう、やりくりをした結果が今回の割引率変更だったのでしょう。

ふたつ目の理由は、全国旅行支援が終わる際にソフトランディングさせるため。割引率が高いままだと、全国旅行支援が終わる直前に駆け込みの利用者が殺到し、何かしらトラブルが起こる恐れがあるので。コロナ前のような、キャンペーンが何もない状態に戻すための準備段階に入ったということかと」

こうした制度変更を受けて、反響には変化があったのか。

「利用している人は少なくないですが、昨年ほどの盛り上がりは確実になくなっていますね。20%の割引率でも十分すごいと思うんですけど。Go To トラベルの最大2万円引き、変更前の割引率40%と見比べると、どうしても物足りなく感じてしまうんだと思いますよ。

もともと旅行を計画していた人が使う感じで、かつてのように全国旅行支援があるから旅行に行くという人は多くないでしょうね」

再開後の全国旅行支援には、割引率以外にも変更点がある。YouTubeチャンネル『旅行コンサル「タイガ&まよ」』を運営し、宿泊施設へのコンサルティングを行なうタイガ氏はこう語る。

「まず、地域クーポンが原則電子のみになりました。昨年までは、紙クーポンが各宿泊施設に配布されていて、施設側がその紙クーポンをお客さんに渡していましたが、今年はQRコードで読み取る電子クーポンに変わりました。紙は1000円単位でしか使えませんでしたが、電子だと1円単位で使えるなど、少し便利になったとは思います。

一方で、多くの地域ではSTAYNAVI region PAYというシステムでユーザー登録やクーポン発行が必要になる場合があり、面倒くささを感じる人はいるかもしれません。

ほかには、事前予約が全国旅行支援の対象外になりました。昨年はキャンペーン開始前に取った予約も、開始後に割引を適用できたんですけどね。今回は割引を適用させたければ、自分で予約をキャンセルして取り直す必要があります。

今回の制度変更は総じて、利用者目線で言ったら、ただ使いづらくなったという感じでしたね」

このような〝改悪〟の理由を旅行情報サイト『旅行クーポンサイト』運営の宮内真人氏はこう説明する。

「今回の制度変更は国や事業者側の事情で行なわれた側面が強いです。事前予約が対象外になったのも、国や事業者側の事情からです。事前予約をできるようにして、開始前に満室になったり、予算が尽きたり、大混乱が起こった昨年の反省が背景にはあります。

開始日に大量の予約や事前予約への制度適用の情報が集中したため、その情報伝達を担っていた観光業界の心臓ともいえるシステムがパンクしたトラブルもありましたね。あのときは、本当に多くの宿泊施設が頭を抱えていたと思いますよ」

電子クーポンも、事前予約の制度変更と同様に、国や事業者側の事情から変更になったのだとか。

「国としては非接触、デジタル化を推進しています。宿泊施設も紙クーポンに有効期限を記入し、ハンコを押し続ける作業に苦しめられていました。今回の電子クーポンへの変更によって、業務量は改善されたと思います。

でも実際のところ、デジタルになじみのないご高齢の方々などには、QRコードの入った紙を宿泊施設が印刷して渡している。はんこを押す必要はなくなったとしても、結局は紙を印刷する手間が増えているので、なんともいえないですね」

■プロに聞くトク旅のススメ

利用者目線では、完全に改悪されてしまった全国旅行支援をおトクに活用する方法について、宮内氏が解説してくれた。

「全国の自治体が独自で行なっているキャンペーンと全国旅行支援を併用することで、よりおトクに旅行ができます。

今年に入り、新たに独自の上乗せ割引を行なう自治体も増えてきていて、各自治体が誘客に力を入れています。おそらく、全国旅行支援の割引率が下がったので、その分おトクじゃないと感じている人のためなのではないかと。

市町村のキャンペーンは、全国で100以上ある。それぞれのルールを調べて申請するのは大変ですけど、おトクなキャンペーンは多いですね。調べるのが面倒な人も、旅行の行き先が決まったときに、そこで自治体のキャンペーンがないか調べてみると思わぬ収穫があるかもしれません。

割引額の大きさを見ると長野県松本市『まつもと冬割キャンペーン』(~3月18日)、愛知県名古屋市『名古屋に泊まろうシャチ泊』(~2月28日)、愛媛県松山市『まつやまに泊まろう割』(~2月28日)あたりを全国旅行支援と併用すると、1泊で最大1万円安くなるのでオススメです」

タイガ氏は加えてOTA(オンライン宿泊予約サイト)の活用を推奨する。

「OTA各社でも、全国旅行支援と併用できるクーポンが発行されています。自治体のキャンペーンと比べると、ルールが複雑で上級者向けですが、本当にトクしたい人は絶対に活用するべきです。

OTAは国内に数多くありますが、特にオススメしたいのは『楽天トラベル』『じゃらん』。どちらも、全国旅行支援と宿泊施設ごとのクーポン(施設負担で割引)、自治体ごとのクーポン(前述の自治体キャンペーンとは別で、各自治体が発行してOTAに掲出)、OTA負担の独自クーポン、合わせて4種類あります。その中から最大3種類まで併用できるので、とんでもなくおトクです。

楽天トラベルは5と0のつく日に宿泊代金を5%引きにするクーポンを発行。上限額もないため思い切って高い部屋に泊まってみるのもアリ!楽天トラベルは5と0のつく日に宿泊代金を5%引きにするクーポンを発行。上限額もないため思い切って高い部屋に泊まってみるのもアリ!

さらに、どちらも数ヵ月に一度、特大セールを行なっていて、タイミングが合えば、もっとおトクになります。『楽天トラベルスーパーSALE』は昨年12月に終了したので、しばらく開催されませんが、『じゃらんスペシャルウィーク』は1月18日から31日まで開催されています。

このセールがすごいのは3種類のクーポンに加え、4種類目としてスペシャルウィークプランという5%オフを重ねられるところです。細かいルールはたくさんあって、ややこしい面もありますが、それを差し引いてもおトクすぎるセールだと自信を持ってオススメできます」

さまざまなキャンペーンを使いこなすことのほか、トクするためには旅行時期も考える必要があると鳥海氏は語る。

「これまでの傾向を見ると、3月は旅行代金が跳ね上がることが予想できる。理由は春休みシーズンで国内の観光客が増えるのと、おそらく桜を目当てにしたインバウンドが増えるから。

具体的には、3月17日(金)から春休み需要、第3週の25日(土)からはインバウンド需要が高まります。この時期になってしまうと、だいたい3~4割は料金が上がる。全国旅行支援やいろいろなキャンペーンをうまく活用しても、1、2月の値段と比べて、トントンかちょっと損するといったイメージですかね。

今年は、1月21日から27日が中国の旧正月休みなので、本来であればそこも旅行代金が高くなる可能性がありましたが、中国の観光客はまだ制限されている状態なので、1、2月は閑散期。おトクに旅行をするなら、狙い目はここらへんだといえるでしょう」

■雪景色から南国まで全国各地でトクできる

最後に、お三方にオススメの旅行プランを聞くと、鳥海氏の狙い目は石川県だという。

「全国旅行支援と併用できる、市町村のキャンペーンが強い。輪島市は割引率が50%で、金沢市の『五感にごちそう金沢冬期宿泊キャンペーン』(~2月28日)は、平日6000円以上の食事付き宿泊が3000円引きされますよ」

続く宮内氏は鹿児島の離島を推す。

「鹿児島県の全国旅行支援は目的地が離島だと割引額が増えるんですよ。奄美大島や与論島、屋久島、種子島とか。交通付きのプランだと8000円の割引と、平日3000円のクーポンで最大1万1000円引きになります」

タイガ氏はイベント割を組み合わせたプランを提案。

「東京ディズニーリゾートやユニバーサル・スタジオ・ジャパンのチケットに、割引率20%で最大2000円引きの『イベント割』を使うのがオススメです。大阪府は3000円、千葉県は2000円の追加クーポン(平日)がもらえるので、普通の旅行も楽しめます」

●鳥海高太朗(とりうみ・こうたろう) 
航空・旅行アナリスト、帝京大学理工学部航空宇宙工学科非常勤講師。テレビなど、メディアでの旅行に関する情報発信でおなじみ

●宮内真人(みやうち・まさと) 
『旅行クーポンサイト』を運営。年間100泊する旅行マニアで、旅行キャンペーン情報を365日チェックする"トク旅の鬼"

●タイガ 
YouTubeチャンネル『旅行コンサル「タイガ&まよ」』を運営。宿泊施設へのコンサルティング業務も行なっている