1995年の創業以来、多くのヒットシリーズを生み出し、AV業界を支えたSOD

もうすぐ20周年を迎える大手AVメーカー「ソフト・オン・デマンド(SOD)」。近年、メディア露出を控えているといわれる“SOD総帥”高橋がなり氏との接触に週刊プレイボーイが性交……もとい成功した!

「全裸」「マジックミラー号」など数々のヒットシリーズを手がけてAV界を牽引(けんいん)した高橋氏。2005年に社長を辞任し、農業ビジネスに携(たずさ)わっていたが、昨年末からSOD社主として、再び陣頭指揮を執り始めた。彼がAV界を留守にしている間に、SODはどう変わったのか。そして、ネットにはびこる無修正動画によって大苦戦が続くAV業界に明るい未来はあるのか。写真撮影NGの条件の下、SOD本社にて、久しぶりの熱~い“がなり説法”を聞いてきた!

■あんな作品に負けるなら、俺の時代は終わりだ!

――7月1日発売のDVD『SODおかげさまで、もうすぐ20周年記念作品』(注1)の監修をされています。率直な感想から教えてください。

高橋 ……明らかにウチの連中のレベルが下がっています。

――えっと、どういうところが?

高橋 作品というのは「気合い」なんですよ。金がない、時間がない、イイ女がいない――そんななかでどういいものを作るか。手を抜かず、必死に取り組んでいれば、必ず見えない力が降ってくるものなんです。神の力という名のアイデアが。ところがですよ!

――はい。

高橋 (今回の作品は)時間も、予算も与えたのに、情熱が感じられない作品ばかりだったんです!そういう作品は全ボツですよ! そんなボツにした作品だけで2000万円の損になってしまいました(笑)。沖縄でロケした作品も、平気で撮り直しさせてるんで(笑)。

注1:SODの過去の名物企画を、全編撮り下ろしで完全リメイクした11作品を収録

「二度と制作に口を出さない!」とまで宣言!

――では、旅費などすべてムダに?

高橋 ええ。何度も何度もやり直しさせました。今回の件は……まあ、ウチの制作のコたちが気合いを入れ直すきっかけになったと思います。入社12年目の社員監督も降格させたくらいですから。

――今回の作品は、日本中のAVメーカーが参加するコンテスト「AV OPEN」に出品するものでもあるそうですね。

高橋 ウチは人気女優を前面に押し出しただけの作品にはしたくないし、そういう作品に負けたくない。私が監修したSODの「20周年記念作」が負けるようなことがあったら、俺の時代は終わったということで、私は二度と制作に口を出さない! それくらいの心構えで何度も撮り直しさせましたよ!

――すごい決意ですね!

高橋 今回、私が監修した『20周年記念作品』の中で、特に力を入れたのは、実はある番組を本気でまねた「SODスイッチ」(元ネタは某公共放送)。この作品だけネットにアップされているので(注2)、ぜひ多くの人に見ていただきたいのですが、たぶんどこのメーカーも、思いついても実際に制作なんかしない類(たぐ)いのものだと思います。

――確かに、それくらいバカバカしい作品でした(笑)。

高橋 しかしそれを実行に移してしまうのがウチなんです! もっと言えば、忠実に再現するだけでなく、さらに独自の味つけもする。それこそがSODの流儀ですよ!

私が現役の頃はそれを面白がってくれるお客さんがいっぱいいたんです。今は……ウチのそういう姿勢が支持されなくなっているんです。

――確かに、今は企画モノより、きれいな女優が出るほうが売れる。

高橋 そう。しかしだからといって、元芸能人がセックスしているだけのAVが、俺の監修した作品よりも人気があるという結果が出るのならば、もう俺が出る幕はないな、と。名前の売れてる女優がセックスしているだけの、全面的に女優に頼った作品をウチは絶対に作っちゃいけない。アイデアがないとダメなんですよ!

注2:このしょうもなさは、他に類を見ない。「SODスイッチ 胸Ver.」は、【https://www.youtube.com/watch?v=i0lOabSDzlA】にて。「YouTube SODスイッチ」で検索せよ!

SOD凋落の原因とは?

■「女優は刺し身」ではいけない

高橋 今回の『20周年記念作品』には、まったく満足していません。何度やり直させても100点満点にはなりませんでした。それがウチの現状ですね。

――どうすればいいんでしょうか?

高橋 どれも、「足りないものを足そう」とする制作者の情念が作品に出てないのが問題なんですね。例えばロケ場所ひとつ取ってもそう。AV撮影御用達の場所を使うなんて作り手の怠慢ですよ。自分の足を使ってどうして新しい場を見つけてこないのか。そりゃボツばかりにもなる……デマンドの凋落(ちょうらく)ぶりを強く感じましたよね。

――“凋落”とは厳しい表現です。

高橋 いいんですよ。反省して、こっからもう一度やり直しますんで。昔のやんちゃな環境を必ず取り戻そうと思ってますから(笑)。

――具体的には?

高橋 社員には失敗しろ、と言ってます。普通のAV監督にとって、いい女優は刺し身なんです。へたに味つけをすると刺し身の価値が消えてしまう。だからA級の女優に対して企画を足そうとせず、女優のセックス=刺し身だけを出す。失敗するのが怖いから企画を上乗せしないんですよ。それではどこにも進めないでしょう。

――しかし、誰でも失敗するのは怖いものです

高橋 それを乗り越えないと進歩もない。もちろん失敗を許す環境も必要なので、SODはバカな企画や挑戦的な作品をやりたい監督、グループメーカーが手を挙げれば、内容を精査し補助します。そのために、年間数億円の企画補助金の設定もしました。

2,3年後には無料動画に勝つAVを!

――今、大半のAVが一本当たり数百万円以下で作られていることを考えると、相当な額ですね。

高橋 AVの市場規模は相当小さくなってきている。そんななかでは、普通にしてたら手堅い作品しか出てこない。損をすることはないけれど、話題にもならない作品ですよね。私がSODを立ち上げた頃なんて、作品の当たり外れなんか考えたことはありませんでしたよ。とりあえず面白そうだからやってみよう、ただそれだけで。今、そういうバカな企画に挑戦したい人間がいるなら、ウチが責任を持って制作費を出します。要は、私がAV界を留守にしている間にSODがため込んだ金は全部吐き出す、ということです。

――ためたお金を失ってでも欲しいものがあるわけですか?

高橋 私が欲しいのは今までにない新しいエロを表現してくれる人間。それを撮る自信があるなら、迷いなく私はその人に権限を与える。ウチの制作部は新人にも監督になるチャンスを与えています。もともとテリー伊藤の下で育ちましたからね。天才って苦労しなくていいと強く思うんです。私はAD時代が長かったのですが、現場の苦労は天才の独創性を奪ってしまうような気がします。

――AV界を取り巻く現状は非常に厳しいものがあります。

高橋 若い世代はネットで無料動画を見ています。AVの作り手は、その世代をどう振り向かせるかを死に物狂いで考えるしかない。

――ずばり、無料動画サイトに勝てるんですか?

高橋 今は無料動画でも見ていてください。お金を払わないと楽しめないAVをこの2、3年の間に必ず作りますから!

■高橋がなり(たかはし・がなり)1958年生まれ、神奈川県出身。テレビ制作会社IVSに入社。テリー伊藤氏の下、テレビマンとして活躍。95年にSODを設立し、03年度の年商は84億円。05年に身を引き、農業界へ転身した

(取材・文/20周年でシコり隊 撮影/Alamy)