性的嗜好は十人十色だが、理解に苦しむの「寝取られ」(以下、NTR)の世界だ。近年、“他人棒”に貫かれる妻の痴態を夫が自ら撮影し、その写真をネットの画像掲示板で公開する夫婦が増えているという。

一体どういうことなのか? とにかくドスケベな世界であるのは間違いないのだが、その心理がさっぱりわからない。

日本最大級のNTR系サイト『妻と勃起した男達』の管理人に訊(き)いてみた。

「私も最初は超マニアックな世界だと思っていました。しかし、考えてみれば文学の世界では非常に古典的なテーマでもあります。谷崎潤一郎が自分の妻・千代子と友人である作家・佐藤春夫との三角関係の果てに妻を佐藤に譲ると申し出た『細君譲渡事件』はあまりにも有名ですよね。映画の世界でも『わらの犬』や『卒業』などNTRをテーマにした作品は少なくありません」

『妻と勃起した男達』は2003年に開設され、今では1日数十万のアクセスがあるという。「画像投稿」「体験告白」「交際専用」など17の掲示板があり、NTR夫婦と他人棒が知り合う場所でもある。

NTR写真を掲示板で公開するに至る過程は、たとえばこんなパターンだ。夫が妻のヌード写真を掲示板にアップし、それを見た人たちからの「たまりません!」といった書き込みを見て、妻は「見られる悦び」を知り、覚醒。サイトで知り合った男性と実際に会って触らせるなどのライトなプレーを経験した後、最終的に他人棒の挿入、夫による撮影、そして公開……に至るのである。

普通の夫婦がNTRにハマるきっかけとは?

普通、結婚して数年も経てば夫婦間の性生活は冷えきってしまうものだが、NTR愛好家にはアツアツの夫婦が多く、夫婦間のセックスも頻繁(ひんぱん)であるという。なぜなのか?

『寝取られ夫婦に離婚なし』という格言がありますよ」

そう語るのは作家・本橋信宏氏だ。『なぜ人妻はそそるのか?』(メディアファクトリー新書)で市井(しせい)の人妻たちのセックス事情を活写している本橋氏は、NTRについても取材経験が豊富である。

「やはり人間の男もオスだということです。オスは本能的にほかのオスに対して敏感。通常、その感覚は“嫉妬”や“ライバル心”という形で表れますが、NTR愛好家はそれを性的興奮のために利用している。嫉妬は“最高の前戯”というわけです。その意味では、動物的であると同時に、NTRは高度に知的でもあります」

また、本橋氏は普通の夫婦がNTRにハマるきっかけとして、次のようなケースを指摘する。

「ある日、いつものように買い物に出かけた妻が、街で見知らぬ男に声をかけられる。要するにナンパですが、家庭で異性として見られなくなっていた奥さんとすれば、女として見られたわけでまんざらでもない。家に帰って夫に『男の人に声をかけられちゃったッ』と報告します。夫は妻が女として見られたことを知ると、目の前の女房がなにやら急にいい女に見えてくる。ここにあるのも嫉妬心なんです」

多くの夫婦に訪れる倦怠期は「嫉妬心の欠如」によるもの。その嫉妬心をNTRでかき立てているのだ。そして、そこには想像を絶する性的興奮が待っている。この心理的メカニズムがNTR夫婦たちのアツアツぶりにつながっているというわけだ。

「NTRは特別新しい世界ではないけど、現在のように多くの夫婦が楽しむようになったきっかけは、やはりインターネットの普及。そして、NTRを楽しむ夫婦が他人棒の候補を探すときに重要視するのが、最初にメール等で交わす言葉の質。デジタルコミュニケーションのマナー理解度が必要だし、そのためにはITリテラシーの高さが必要です」(本橋氏)

NTR愛好家は痴的であるばかりでなく、知的だったのだ。そして、精神的ゆとりがある。いまだ理解できたとは思えないが、奥深い世界であることは間違いない。

(取材・文/田中茂朗)

■週刊プレイボーイ31号「“他人棒”に妻を捧げる夫たち」より(本誌では、NTRにハマる夫婦たちの実像も追跡ルポ!)