全国を代表する風俗の“性地”といえば吉原。だが最近では知らない若者も増えているらしい。いまだソープ密集地帯として面目躍如なるも、ゴージャスな超高級店は激減、ここ数年は激安店まで台頭し格差サバイバルが熾烈(しれつ)だという。

■ゴージャスの極み、高級志向が様変わり!

遡(さかのぼ)れば江戸時代の遊郭を発祥とする歴史ある歓楽街。現在その地名は通称で地図にもなく、住所でいえば東京都台東区千束(せんぞく)のあたりになる。今も100軒以上のソープランドが営業し、その数も密集度も全国では飛び抜けて断トツ。上は有名人がお忍びで利用したり企業の接待に使われる超高級店から、下は大1枚強で気軽に遊べる格安店まで存在する。

だがバブル全盛時、吉原のソープ店は2時間のプレイで総額大6枚という高級店が主流で、支払う金額に見合うだけの濃密サービスが行なわれていた。

上野や浅草など最寄り駅までの送迎には黒塗りの超高級外車や国産最高級車を使用。店内に入って案内される待合室は外国製の革張り高級ソファはじめ豪奢(ごうしゃ)なインテリアが置かれ、酒やドリンク、たばこも無料とVIP待遇の至れり尽くせり。

もちろんルームでのサービスも充実。接客するソープ嬢(泡姫と呼ぶことも)は容姿端麗な女性が多く接客態度も丁寧。客のニーズに合わせて若い女のコが多い店やベテランを中心にしっかりとしたサービスをウリにする店など特徴を持っていた。

室内に案内され汗を流す前に口技からベッドでのプレイとなる「即尺即ベッド」から始まり、通称“スケベイス”と呼ばれる股間部が大きく空いたイスを使っての「イスくぐり」、女性器に両手の指を一本ずつ入れる「壺(つぼ)洗い」……。広々とした浴槽に入浴すれば、お湯の浮力を利用し下半身を持ち上げて口でのサービスを行なう「潜望鏡」。大型のエアマットとローションを使った「マットプレイ」などさまざまなテクニックで悦楽へ誘ってくれる。

これぞオ・モ・テ・ナ・シなサービスを提供する吉原の高級ソープは「風俗の王様」と呼ばれていた。

車もサービスも省エネ、省力化?

一方、入浴料とサービス料がそれぞれ大1枚、小2枚の「ワンツー」と呼ばれる大衆店も若いサラリーマンを中心に大人気。こちらは平均90分の入浴時間でマット&ベッドプレイを楽しめるシステムだった。

ところが長らく続いた不況の影響や性風俗産業の多様化、特に若い男性の嗜好(しこう)の変化などにより、じわじわと吉原でも客足が衰えていく。特に高級店では来店者が激減する店が多くなり、「出勤してもまったく客がつかないソープ嬢も出てきました」(某ソープ店長)という。

経費削減もあって送迎用の高級車はすっかり姿を消し、代わりに小排気量車やミニバンタイプの車を導入。駅への送迎サービスも客が一定数になってから一度に済ませるなど省エネ省力化を行なう店も増えている。

経営難から営業権が売られ、看板が掛け替えられることもしばしば……。かつて名を馳(は)せた高級店のいくつかはなくなり、リーズナブル感を打ち出す店が増加。高級店並みの120分という長いプレイ時間ながら料金は大4枚程度と、準高級店ともいうべき店が台頭している。

遊びやすくなって垣根が低くなったと喜ぶべきだろうが、よき時代を知る常連からは、「吉原ブランドの幻想がなくなってほかと変わらないツマらない街になった」(47歳・建築) といった嘆きも聞こえる。

そんなリーズナブル路線に拍車がかかり、風俗専門誌やウェブで割引チケットを入手し事前予約すれば、さらに割引料金で遊べるといったお得感を演出する店も登場。客足を戻すための企業努力といえば涙ぐましいがますますグレードは低下?

「高級店ならではのプライドが失われてサービスの質もマンネリ化してる感じ」(39歳・営業)

吉原の吉原たる存在意義が揺らいでいるともいえる昨今なのだ。

時間帯で交代、「1店舗2経営」も

■新サービスに活路を見いだすも栄華は遠く?

ここ十数年、需要と供給の必然もあってか危機感を抱いて新たなサービスを打ち出す店も生まれている。それが日の出とともに営業を始める格安〝早朝ソープ〟人気となった。

某グループ店が始めたもので、早朝からの数時間はヘルス並み料金でベッドサービスが受けられるシステム(ただしプレイ時間もヘルス並み)。在籍する女のコは20代前半が中心で高級ソープのような特別なサービスはないが、手軽な料金で遊べるため夜勤明けや出勤前に立ち寄る男性で活況を呈した。

吉原では昼12時開店の店が主流だったが、開店前の店舗を別の経営者が利用し後追いする店も増えた。在籍女性を一般営業の時間帯と総入れ替えする「1店舗2経営」のシステムまで生まれ、風営法で深夜24時以降の営業ができないゆえのシフトとしても有用。

残念なことに、いち早く早朝格安を始めた某グループは現在すべて店舗を閉鎖。店外でのプレイを行なうなどイキすぎた過剰サービスが問題となり取り締まりを受けたためだが、それでもいまだ盛況だという早朝の吉原に向かってみた。

午前6時前。この時間帯に開けている店舗は10軒ほど。1年ほど前には30軒以上が早朝営業をしていたはずだが、一気に激減?

店の前に立つボーイに話を聞いたところ、「7時くらいから開店するところが多くなりましたね。でも全体的に数は減っています」

女のコを系列姉妹店で使い回し!

客足の減少も確かで、グループ化している店舗間で早朝営業。1店舗に入ると姉妹店の女のコまで写真紹介し客を逃さない戦略のようだ。

あちこち店舗を見て歩かずに済むので楽だが、とある店舗に入り写真を見せてもらうとボーイが出してきた写真は14枚。だが全員がすぐに接客可能ではなかった。

「このコとこのコはまだ出勤していません。予約待ちのコと系列に行っていただくコも……」

結局、系列のコに決めて店舗間を車で送迎されるも、そこで今度は指名したコが「今日は休みでして……」。

おいおい!と心の中でツッコミが入る。性格やサービスの良しあしを聞きながら別のコを10分ほどでご案内となるも、出迎えてくれた彼女の写真と実物の差は……今どきデジタル加工の技術が素晴らしいことはわかっているものの、再び心の中でツッコミが。

「あれは2年前に撮ったんだよね。今、ジム通いをやめたから筋肉が落ちちゃって」

服を手早く脱ぎながらカラッと彼女が答えるが、問題はそこじゃない。とはいえ、サービスには満足。40分で大1小6なのでベッドだけかと思いきや「ソープの醍醐味(だいごみ)はマットでしょ」と、テキパキとマットを用意。

短時間だが堪能(たんのう)させてもらい、格安ながらソープらしさも楽しめる体験ではあった。

しかし未来はやはりここにはないような……。吉原ならではのゴージャスな魅力が復活してほしいのは、もはや無い物ねだりなのだろうか?

(取材/オフィス五稜郭)