かつて一世を風靡(ふうび)、まさに時代を象徴し謳歌(おうか) した一大風俗エリアが超新星爆発のように一瞬の輝きをもって消失してから10年余り……。

90年代末、まだ風俗が華やかなりし頃、〝NK流〟と聞くだけで男が元気に反応するほど、そこはエロく楽しい街だった。

西と川口の頭文字から取ったNK流といえば、本サロが売りで、お手頃価格で最後までできるとあって、「いざ、埼玉!」「いざ、西川口!」とばかりに京浜東北線に乗り込んではお世話になったものだ。

だが、2004年頃から新宿・歌舞伎町で始まった「風俗浄化作戦」の波は県境を越えて西川口にも到達。吉原を超えた!?という、200軒とも300軒ともいわれた本サロの風俗店は軒並み摘発を食らい壊滅状態に……。

それでも、看板の派手な絵柄だけなくし明かりだけ点灯させる白看板にして隠れて営業するなど、NK流の〝企業努力〟によって男たちの憩(いこ)いの場はしばらくは続いていた。

しかし、06年になると風営法の改正により締めつけがさらに厳しくなり、いくつか残っていた本サロも閉店に追い込まれてしまう。

摘発後の西川口は、まさにゴーストタウンと呼ぶにふさわしく、ビルやマンションの1階店舗はシャッターが下り、夜の路地を怪しく照らしていたネオンや看板はすべて撤去され、その枠だけが残るため、よけいに街の雰囲気を寒々しくしていた。

当時、西川口にいくつかあったグループの中でも上位に入る大型店で本サロ嬢たちのプロフィール写真を撮影していたカメラマンと摘発後の西川口を歩いたことがある。

「毎月、すごい数の女のコたちを撮ったなぁ。従業員もみんないい人ばかりで、ギャラも良かったし楽しい仕事だった。でも最後はみんな捕まってスタッフもバラバラ。ほら、あのマンションの上に事務所があってさ、下の階はほとんどがプレイルームだったんだよ」

それでも、駅の西口を出て右へ向かった一角に立ち並ぶソープランドは合法営業を続けており、そこから一本路地を入った裏手の寂れた雰囲気とソープのネオンとのギャップが不思議に思えてならなかった。

その後、何年も西川口目指し京浜東北線に乗ることはなかったが、その後の街を見届けるべく6、今回7年ぶりに訪れた。

怖がって誰も近づかない街の裏側で…

改札を出て西口方面の階段を下りると、平日の夕方とあって帰宅する人の流れもあり、にぎやかに感じる。すると、駅前でものすごく短いスカートをはいた中国人とおぼしき整形顔のかわいい女のコがビラを配っている。ガールズバーのビラだった。

西口近くのソープランドは相変わらず健在だが、客引きの話によれば、ここ数年で価格は大幅に下がったという。以前は90分で大2小5枚が相場だったのが、今では50分で大1小5枚ほどで遊べるという。値頃感はあるが、やはり格安競争に?

以前は本サロで栄えた裏路地を行くと、1階に看板を出す店があるので入ってみると……。

「うちはデリヘルです。NK流? いつの話ですか、それもうないですよ。西川口もソープ以外は本番なしですから」と、スタッフに鼻で笑われた。

店の外に出ると、「お兄さん、今日はどう?」と声をかけてくる上下ジャージ姿のオジサンがいたので、いろいろと聞いてみると……。

「デリヘルも3、4軒あるくらいかな。違法なことやると、いまだにすぐ摘発されるから、お客さんも怖がって来ない。お兄さん、警察関係じゃないよね」

やはり、NK流は跡形もなくなっていた。そんな残念な顔を見越してか、オジサンが続ける。

「でも、ソープもあるし、ウチみたいなホテヘルはあるよ。どう、45分大1小5枚で。安いでしょ。ウチはレベル高いよ」

ということで、引き連れられた近場のラブホに入り、女のコを待つ……。結局、男の性(さが)むき出しの流れになってしまった。

「(コンコン)こんばんは!」

おっ、超かわいい! NK流なき後も色濃い街ではあるようだがーー。

(取材・文/トントン)