今回は山下監督(左)の処女作、そしてブルセラ、Q2のトーク!

まもなく生誕35周年となる日本のAV界。そのトップを走るふたりの監督、カンパニー松尾とバクシーシ山下が歴史の裏を語り尽くすシリーズ連載を現在、『週刊プレイボーイ』本誌にて掲載中だ。

これまでAV創世記の80年代を語り、そして90年代の1回目ではカンパニー松尾監督の童貞喪失トークまで公開。続いて、今回はバクシーシ山下監督のデビュー作のお話だ!

―山下さんのデビュー作は、90年の『女犯(にょはん)』ですね。この作品は当時、リアルなレイプ描写が物議を醸(かも)しましたが…。

山下 実は、リリースからしばらく経って婦人団体から抗議がきたんですよ。「事前に了承を得ているにせよ、レイプという行為自体がひどい。女性の心が傷つく」と。こっちとしてはあえてひどいと思われるように作品として撮ってるから、そう言われてもピンとこなくて。「あれが本当に演出なら、あなたは黒澤明で女優は大竹しのぶだ!」とか、よく意味のわからない批判も受けまして。

―よほど強い偏見を持ってたんでしょうね。

松尾 山ちゃんの作品に世間が反応したのは、宮﨑勤の事件があってAVに対する風当たりが強くなっていたのも関係してると思いますよ。

―結果的にこれ以降、山下さんには「鬼畜監督」というイメージが定着して…。

山下 いろんな媒体から鬼畜監督として取材を受けました。

松尾 でも、当時の山ちゃんはまじめに理路整然と反論してたよね(笑)。

山下 それで逆にガッカリされてね。後から考えると、中指立てて舌出して「どんどん餌食(えじき)を出してやる」とか言ってれば、もっと話題にはなったでしょうね。

―ちなみに鬼畜監督が在籍しているV&Rのイメージって、業界的にはどういう?

松尾 アダルトビデオ見本市みたいなのが91年頃にあったんですね。有名AVメーカーは1コマ30万円するブースを5、6コマとか平気で借りて、売れっ子単体女優のイベントをやってたんだけど。

山下 ウチは?

松尾 1コマ。で、草敷いてロバ置いといた(笑)。

山下 獣姦でおなじみのね。

松尾 そしたらそこに大メジャーメーカー芳友舎(現在のh .m .p)の専属女優、星野ひかるが見学に来ちゃって。

山下 誰が対応したの?

松尾 俺とライト柳田(笑)。

山下 柳田は飲尿好きの変態男優というか、“犯罪者”ですね。

松尾 で、星野ひかるが「ロバさんカワイイ。触ってもいいですかぁ♪」って。そしたら、今でもはっきり覚えてるけど、同じ芳友舎の女優だった仙葉由季(せんば・ゆき)と藤本聖名子(みなこ)がもう血相変えて飛んできて、星野の脇をガッてつかんで、「このメーカーは絶対ダメ! 危ないから逃げて!」と(笑)。それで、脇を抱えられた星野ひかるがそのままズルズルーって引きずられていきました。

普通の女子大生が週末はAV嬢に!

―この頃から、星野ひかるをはじめ美少女が普通にAVに出るようになりますよね。

松尾 超A級単体はアイドル顔負けの美少女が増えましたよね。まあ、星野ひかるは別格でしたけど。

山下 AV1本が1万5千円もする時代に3万本も売ってねぇ。

松尾 いわゆるAVバブルの到来ってやつです。白石ひとみ、浅倉舞、伊藤真紀とか立て続けにデビューして。

山下 『ギルガメッシュないと』(テレビ東京系)も始まって、AV女優の登竜門みたいなノリになってたしね。

―『an・an』でもセックス特集が定期的に組まれるようになって、そこにもAV女優が登場してましたし。

松尾 女のコが発情を隠さなくなったんですよね。AVでも自分から本番を選ぶコが増え始めてましたから。

―80年代はフ○ラや手マンすら「疑似」だった女のコが、なぜまた急に本番を?

山下 セックスに対する意識がはっきり変わってきたんですよ。企画AVでも90年代初頭からは普通の女のコの出演が増えていった印象ですね。それまでは社会から外れた人が出るのがAVだったのに、TVや雑誌の影響で明るい大学生がやってきた(笑)。

松尾 急に増えたよね。

山下 時代的な部分もあると思う。例えば、91年にダイヤルQ2の人気が爆発して、でもその内実、Q2は児童買春の温床にもなってたでしょ。つまり、未成年の女のコが電話をかけてウリをやってたんです。もはやAVよりもAV的な現実が日常にあったっていう。女性誌なんて、もうダイヤルQ2の広告で埋め尽くされてましたからね(笑)。

―すごいですね、それ。

山下 まあ、どっちかっていうと地味な女のコがQ2や伝言ダイヤルで男あさりして、アッパーな素人さんはボディコン着てディスコ行って、ナンパ待ちしてた印象ですね。

松尾 ブルセラショップの摘発も始まった時代ですからね。パンツや唾液を売るブルセラ女子高生も山ほどいたし。

山下 で、世間が女子高生を追っかけ始めたら、それまでチヤホヤされてた女子大生がAVへやってきてね。有名なとこだと、朝岡実嶺(みれい)が現役女子大生でしたね。

松尾 けど普通のコは平日に学校や会社があるんで、撮影は土日しかできない。だから週末はスタジオと男優の奪い合いが起こってましたよ。

●この続きは『週刊プレイボーイNo.41』でお読みいただけます。さらなるAVトークが全開! こちらの連載は毎週本誌に掲載中です。

※この対談のバックナンバー、最新記事はこちら!

(構成/黒羽幸宏 撮影/髙橋定敬 写真/時事通信社 アフロ 取材協力/ハマジム h.m.p V&Rプランニング)

●カンパニー松尾1965年生まれ、愛知県出身。87年に童貞のままV&Rへ入社し、翌年に監督デビュー。代表作は『私を女優にして下さい』シリーズ。『劇場版テレクラキャノンボール2013』『劇場版 BiSキャノンボール2014』が社会現象的大ヒット

●バクシーシ山下1967年生まれ、岡山県出身。大学在学中にAV業界へ。90年に各方面で物議を醸した『女犯』で監督デビュー。以降、社会派AV監督として熱い支持を受ける。『ボディコン労働者階級』ほか代表作多数。著書に『セックス障害者たち』(幻冬舎)など

イベント開催決定!!週刊プレイボーイ連動企画『なぜAV女優は憧れの職業になったのか?』「カンパニー松尾×バクシーシ山下 公開ナマトーク VOL.2」

【日程】 2015年10月26日(月曜日)【時間】 開場18:30/開演19:30【会場】 阿佐ヶ谷ロフトA【出演】 カンパニー松尾、バクシーシ山下ほか、ゲストあり!【料金】 前売2500円/当日3000円(共に飲食代別)

【問い合わせ】 阿佐ヶ谷ロフトA (03-5929-3445)

【イベント内容】週刊プレイボーイで好評連載中『カンパニー松尾とバクシーシ山下のAV史講義1981-2016』の内容に沿い、その当時のAVをカンパニー松尾とバクシーシ山下がナマプレビューする大好評トークイベント第2弾!!

今回はオタクやギャル、テレクラ、エンコー、風俗など、時代の流行を取り込んだ企画もの全盛期である90年代中盤から00年代前半までを松尾&山下両監督が腕をふるったh.m.p作品群を中心に振り返ります。