祝AV生誕35周年! おなじみの監督たちがAV界をプレイバック!!

これまで80年代、90年代のAV界のトピックスをトークしてもらった両監督。そして、2000年代中盤はAV女優の大量発生により、リスカ常習者やセルフメイク詐欺女などトラブルメーカーが続々出現したとか?

松尾 前回、メーカーとリリース本数の激増によって、単体、企画問わずAV女優が大量発生したっていう話をしました。今回はまず、それがもたらした負の部分っていうのを確認しときたいんですよ。

―負の部分?

松尾 端的に言うと、困ったAV女優たちの話ですが、被害例を交えながら説明しますね。まずはメイク技術ですよ。アイプチとかツケマで目を盛るコ、増えたでしょ?

山下 あー、確かに。

松尾 メイクさんに目元を絶対にイジらせないんです。自分でアイプチやらツケマを使いこなして目元を完璧に作っちゃう。で、目が細かったコがパチッとしたスーパー美形嬢に…って、詐欺ですよ、いい意味でも悪い意味でも(笑)。

山下 俺が撮ってるような熟女でも撮影のメイクで大変身するんだけど、それが嬉しいみたいで。セックスよりメイクが楽しみだって。

松尾 昔だったら一生、AVには縁がないだろうっていう層の女のコがアイメイクの進化によって自信を持って業界の門を叩くようになったよね。

―ビジュアル的なハードルが下がってしまったと。

山下 ビジュアルだけじゃなくて、動機や覚悟の部分もそうですね。全体的に薄くなった印象ってない?

松尾 まあ、よく言えば、ゆるふわな女というかね。

山下 親公認の女優がぼちぼち出てきた頃だからかなぁ。

松尾 親自身がAVを見て育った世代だからか、娘がAVに出演しても怒らなくなったんです。聞くと、母親に応援してもらってたりとか…。

山下 かつては親バレって脅威だったのに、バレてなお友達みたいな親子関係を築いてるって不思議だよね。

樹海行って自殺志願者を逆ナンしろ

松尾 あと、ガチで困ったのはリストカット娘たちね。

山下 今もたまにいますけど、00年代中盤の一時期、AVに来るコのリストカット率がスゴかったんですよ。でも理由を聞いても切羽詰まった感じがなくて。まあ、理由をうまく伝えられるコは、それはそれで手首切んないだろうけど。

松尾 山ちゃん、リスカのコ撮ってなかった?

山下 04年に『逆ナンパしちゃった!? 青木ヶ原樹海編』(ナチュラルハイ)で松波朋花っていう、リストカット癖のあるゴスロリ娘を撮ってるね。死体フィギュア集めが趣味で、いつもヴィヴィアン・ウエストウッドの服を着てたよ。

松尾 なんでまた、そんなコを樹海に連れてったわけ?

山下 「心の痛みを体の痛みで癒やすことで、生きてることを実感する」つって、自傷行為を繰り返してる女だったんだけど、「死ぬつもりがあればなんだってできる!」って抜かすわけ。じゃあ、死ぬつもりで樹海行って自殺志願者を逆ナンして、自殺を思いとどまらせてみろ!って、まあ、そういうコンセプトで所々絡みを入れつつ…。

松尾 むちゃくちゃだね(笑)。でも当時、自殺者の増加って社会問題化してたしね。

山下 調べたら青木ヶ原樹海って一年に100体近い死体が出るらしいと。単純計算で3日に1体。樹海に数日間張り込んだら、自殺志願者に遭遇するんじゃないかってね。

松尾 そのゴスロリ娘は作品内でもリストカットしたの?

山下 いや、撮影前日にリストカットして救急車で搬送されて、生々しい縫い痕のままやって来て。注射器使って自分の血を抜いちゃうところも見せてくれたりしたよ。

松尾 つうかさ、男優はそんな女でちゃんと勃起したの?

山下 全然ダメ。男優だけじゃなくて、スタッフ全員チ○ポ勃(た)たなかった。さすがに。

男優が勃起しないトンデモ状況とは?

松尾 で、どうしたの?

山下 彼女がね、誰もチ○ポ勃たない状況に「勃起しないって仕事になんないじゃん! ちゃんとしてよ!」ってキレ始めて。

松尾 その怒りは正しいけどね。結局、自殺志願者には巡り合えたの?

山下 いや、志願者じゃなくて、死体と会っちゃった。

松尾 そこで絡みを?

山下 死体の前に行ったけど、やっぱ男優のチ○ポがピクリとも反応しないんだよね。それでまた彼女キレて。

松尾 生き生きしてるじゃん。

山下 最後は精神安定剤かじりながら、樹海の中でマンガを読み始めて。

松尾 はぁ……。

山下 何も結論は出なかったけど、リスカのゴスロリは萎(な)えるということだけはわかったよね。

松尾 00年代中盤は、監督面接や現場で会う女優の言動も変わってきたんですよ。

―どう変わったんですか?

山下 生い立ちだの男性遍歴だの、とうとうと自分語りするコが急に増えてね。

松尾 80年代、90年代はインタビューしても女が口を割らないから大変で。けど、00 年代中盤はこっちが黙ってても女が勝手に喋るようになった。

山下 都合のいいとこだけ喋るから、薄く感じちゃうんだよね。

松尾 面接すると、「私、スケベです」とか「私、変態です」とかね。別にセックスのポテンシャルで撮る撮らないを決めるわけじゃないのに。

女のスケベ化が大進行!

山下 でもさ、この頃から女が極端にスケベになってきたのは間違いないでしょ?

松尾 女がすげぇセックスしてたよね。ヤリマン化したというか。ネットの出会い系が盛り上がって、合コンとかヤリコンが全盛期だったでしょ。

山下 早稲田のスーパーフリー事件もこの頃だよね。

松尾 そう。だって俺もこの頃、飲み会で知り合った女子大生と仕事抜きでヤッてますから(笑)。某大学で講義した後に、学生主催の飲み会に誘われてね。たまたま隣にいた地味なコだったけど、耳元で「キミってエッチなの?」って囁(ささや)いたんですよ。そしたら全身クネクネさせて「いや~ん♪」って。速攻で飲み会抜けて一発ヤリました。カンパニー松尾、初の素人経験です。

山下 (無視して)女がヤリマン化したっつうか、異変を感じたのは、『変態志願!! これが街で噂のヤリマン女!!』(05年、ナチュラルハイ)を撮ってた時かな。自称“変態女”ばっか集めたAVで。

―具体的にはどういう?

山下 露出狂、ビンタ好きのドM、我慢フェチっていう変態が公園のジャングルジムから全裸で放尿したり、浣腸(かんちょう)ブチ込まれてフェラしたりっていう、ヒドい女たちの―。

松尾 いやいや、違うじゃん。

山下 何が?

松尾 俺も現場行ってたからわかるんですけど、とにかく山下がヒドくて。露出狂の女はなんて言ったんだっけ?

山下 えーっとね、「むちゃくちゃにして~」って。

松尾 次の瞬間、山下が女を蹴っ飛ばしながら公衆便所の便器に顔を押しつけて、「むちゃくちゃにしてって、こういうことか!」って迫るわけ。

山下 したら、女に「違う!」って怒られてね。

松尾 露出狂なんだから話の筋的にはSM方面の調教ですよ。なのにこの人、本気でむちゃくちゃするからね。

山下 変態とかヤリマンの解釈って難しいよね。

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(構成/黒羽幸宏 撮影/井上太郎 取材協力/HMJM アリスJAPAN マックス・エー ナチュラルハイ)

●カンパニー松尾1965年生まれ、愛知県出身。87年に童貞のままV&Rへ入社し、翌年に監督デビュー。代表作は『私を女優にして下さい』シリーズ。『劇場版テレクラキャノンボール2013』『劇場版 BiSキャノンボール2014』が社会現象的大ヒット

●バクシーシ山下1967年生まれ、岡山県出身。大学在学中にAV業界へ。90年に各方面で物議を醸した『女犯』で監督デビュー。以降、社会派AV監督として熱い支持を受ける。『ボディコン労働者階級』ほか代表作多数。著書に『セックス障害者たち』(幻冬舎)など