家族写真を残すように自分の体を残せるようになればいいと願望を語る花盛。「家族全員ヌードでも面白そうかも(笑)」

「男性誌のグラビアとか見ていると『はぁ~そうきますか』『そんなポーズさせますか』『男の人は意味わからんな』と思いますよね」

そんなグラビア否定、男性否定とも思えるような発言をするのは、2014年に写真集「寝起き女子」が話題となったフォトグラファーの花盛友里だ。

しかし、彼女はこれまで女性が楽しめる、女性のためのヌードと評判の「脱いでみた」シリーズを撮影してきた。今月16日(火)からはこれまで撮り溜めた作品を集めた個展「脱いでみた」(~21日[日]、東京・LE DECO渋谷にて)を開催。

一体、彼女はどんなヌードを撮るのか。そして冒頭の発言の意味とは――。

花盛 いやいや、そんなつもりはないんですよ! 男性が性的な目線でグラビアやヌードを楽しむのもいいと思うし健康的だと思いますよ!

―じゃあ何がイヤなんですか!?

花盛 「それだけが女のコの魅力じゃないよ」って言いたいんですよ。私だって女のコの体、大好きですから!!

―えっ、マジっすか?

花盛 ホントホント。「あー、めっちゃきれいな体!」って銭湯とかで見たりしますもん。

―あれ、話が合いそうですね。

花盛 大きくもなく小さくもない、おわん型のおっぱいは理想です。うつぶせになってちょっと潰(つぶ)れてふっくらしたおっぱいの曲線もいいですよね。あと、お尻のプリッとした感じとか。

自他共に認める“変態”が撮るヌードとは

撮影した作品を前に女性の体の魅力を熱く語る花盛。美容院やラブホテルなどでも撮影。モデルに合わせて花盛が企画して場所も決めるが、場所ありきでモデルを選ぶことも

―そうそう! 最高ですよ!

花盛 鎖骨の凹(へこ)んでいる感じとか、うなじの下の骨とか、いいなぁってたまらんです。お尻の上に出るえくぼや浮き出た背骨もそうだし、おへその形も…。

―…かなりレベル高いっすね。

花盛 いろんなフェチのある変態だなって自分でも思います(笑)。でも、だからこそ股を広げさせたり、おっぱいを強調したり、そんなことをするのは関係ないと思うんですよ。「なんでそういう風になるかな」って。

―ん~なるほど、“エロ”とはまた別に女性の魅力はあると。

花盛 そうです、そうです。そういった形でしか女子の良さを知らない、そういう目線でしか見られないんだ、と思うと悲しくなるんですよ。もちろん私は好みじゃないけど、それはそれでいいんだと思いますけどね。

―なんか気を遣わせてスイマセン。では花盛さんの求めるヌードとは?

花盛 私の撮るヌードのコンセプトは「いちばん、自然。だから、いちばん綺麗。」。つまり、自然体の美しさです。男性には「全然エロくないじゃん」って言われますよ。エロい演出はもちろんポーズの指示もしないし、アザとかも残したままにします。それでも女性には「自分はこれでいいんだ」って受け入れられる感じがあるみたいですね。

―グラビアとは対極ですね。でも、花盛さんはなぜ女性のヌードを撮っているんですか?

花盛 脱がせていると楽しいというのもありますけど(苦笑)、そもそも、本当は女のコってすごい“脱ぎたい欲”があるんですよ。自分の体を残しておきたいって気持ちが絶対あって。だからいつかはヌードを撮りたいって思っているんです。

自らも脱いで撮影!?

今回の個展ではヌード以外に下着姿も。女性にとって、下着はお守り的なもので、お気に入りを着けていると気分やモチベーションが上がるものだそう

―えっそうなんですか。最近ではマタニティヌードとかも聞きますけど。

花盛 今回の個展では一部、モデルの女性を募集したんですけど、『この機会に撮ってほしい』という応募が多かったです。

―へー意外な気がしますね。実際、モデルの方は皆、ノリノリで撮影されるんですか?

花盛 最初は緊張してますね。そういう時はシャッター押さなかったり、カメラを構えずに撮ったりとか、いろいろと工夫してリラックスしてもらいます。最初は私も脱いだほうが対等になれるかなって、ちょっと頭をよぎりました。変態過ぎるんでやめましたけど(笑)。

―それはやらなくて正解ですね(笑)。でも花盛さんのように女体好きでなくとも、女性にとって人の裸は見たいものなんでしょうか?

花盛 だと思いますよ。男性って下着に興味ないですよね。でも女性ってお気に入りの下着を着けているだけで、すごい幸せになるから本当は見せたいし、見たいんですよ。女のコのいいと思ってる部分の共有をしたいんです。裸もそれと同じだと思います。

―そうなんですね。花盛さんの作品を見れば、女性の思うヌードの美しさや女性の気持ちがわかるかもしれないですね。

花盛 個展に来たら「この人、おっぱい見に来たんだ」って思われちゃうかもしれないですけど(笑)。そしたら「俺、めっちゃアーティスティックです」って顔で来れば大丈夫なはずです(笑)。

花盛友里(はなもり・ゆり)フォトグラファー 。大阪府出身。女性誌や音楽誌、広告などで主にポートレートの撮影を手がける。2014年には女性が映す女性の魅力を捉えた写真集『寝起き女子』が発売され、話題に。詳しくは公式サイトにて  http://www.yurihanamori.com http://qreators.jp/qreator/hanamoriyuri

(取材・文/週プレNEWS編集部 撮影/五十嵐和博)