湊莉久(左)、大槻ひびき(右)など相変わらず人気のキカタン女優たち。彼女たちならではのハードプレイは欧米ポルノ的なのか?

毎年恒例となった国内最大のアダルトイベント「DMM.R18アダルトアワード2016」。昨年1年間を通して最も売り上げがあり、ファンの人気投票も多かったAV女優に送られる“最優秀女優賞”を大槻ひびきちゃんが獲得した。

彼女はSM、ぶっかけ、中出し、素人男優との絡みなど、ハードファック路線を得意としており、メーカー専属ではないキカタン女優(企画単体女優)として現在も大活躍している。

あれ? 2015年の最優秀女優賞の受賞者も同じくハード路線でキカタン女優だった湊莉久(みなとりく)ちゃん。そして2014年の最優秀女優賞に輝いたのは、言わずと知れたNGナシ女優の上原亜衣ちゃんだったわけで、もしかして日本のAVってこのままハード路線で欧米ポルノ化の一途を辿るのか?

「そんなことはないと思います。世界的に見ても日本はAVの先進国ですし、独自の企画、独自のエロ視点を持っているので、ポルノ化するということはないですよ」

そう語るのは国際ジャーナリストで、世界のアダルトメディアに深い見識を持つアンドリュー・S・ブラウン氏。

「今、欧米やアジアでは日本のAVはすごい人気を博しています。その理由は、まず美人女優が多いこと。アジア人であれば、似通った容姿に親近感を抱きますし、欧米人にはまさに東洋の神秘という魅力があります。

特に欧米の場合では、ネットの出現で既存のアダルト産業が衰退化し、スタイルの良い女性、美人な女性をポルノに出演させるのすら予算がままならないという状態です。そうした内需の低下が質の高い日本のAVを求める要因にもなっています」

欧米のポルノといえば、ハードロック調のBGMに乗って延々とパツキン女優とマッスルな兄ちゃんが絡んでいる作品が多い。それに比べたら日本のAVはバラエティに富んだ企画、さらに『恵比寿マスカッツ』を始めとするAVから派生したアイドルユニットなどアダルトの世界だけに留まらない進出をしている。

「男女500人で一斉にセックスし出したり、彼女のアソコを当てなきゃ罰ゲームでAV男優に彼女が犯されたり、こんなにも面白いコンテンツを作っているのは世界広しといえど日本だけ。これらの作品はアメリカ版の“2ちゃんねる”と呼ばれる“4chan”という巨大掲示板サイトでも、毎日のようにスレが立って盛り上がってます」

2008年に『恵比寿マスカッツ』としてデビューした、一般&アダルトアイドルの混合ユニット。現在は第二期に進化しグループ名も★入りの『恵比寿★マスカッツ』となっている

次に海外ではねるAV女優は?

上原亜依、波多野結衣に続いて海外での人気が急上中のJULIA。デビュー6年目のベテランで、彼女もハードコア路線がウケている

東アジア圏では上原亜依や波多野結衣が人気ですが、欧米ではどうなんでしょうか?

「4chanで特に人気なのはハーフ女優・小澤マリアです。欧米の場合、日本で人気があるアイドル系や清楚系といった女優よりも、やはりセクシー系の女優が人気があります。

現在、日本人離れしたダイナマイトボディを持つJULIAが欧米で注目されているのも、そういった理由からですね。変わってアジアでは蒼井そらから続くアイドル系の人気が強く、どちらかといえば日本人が好きな女優に似ている傾向にあります」

アンドリュー氏いわく、JULIAに続いて徐々に欧米で人気を博してきているのは、やはり同じようにダイナマイトボディを持つ神咲詩織ちゃんなのだとか。彼女は「スカパー! アダルト放送大賞2012」の作品賞を受賞しているベテラン女優だけに、そのエロさと人気は国内でもお墨付きである。

ちなみに、「DMM.R18アダルトアワード」のようなアダルトイベントは欧米にもあるのだろうか?

「アメリカのアダルト専門誌である“AVN”が手掛ける『AVNアワード』という一番大きなポルノイベントがありますね。3日間開催されるもので、その中ではもちろん大槻ひびきさんが受賞したような最優秀女優賞のような授賞式もあります。言うなれば、ポルノ界のオスカー賞やアカデミー賞みたいなものですね」

さすがアメリカ! 是非とも週プレNEWSでも一度取り上げてみたいものだが、アンドリュー氏は「それでも日本のAV界のほうがすごい!」とリスペクトを唱える。

では、あえてアンドリュー氏に聞きたい。そこまで日本のAVがすごいのなら、この先、日本のアダルト産業が世界に打って出ることはできるのだろうか!?

「人気は間違いなくあります。商品としての価値という意味では世界に通用するかもしれません。しかし、AV自体を流通させるのは非常に難しいともいえます。まずアジア圏では法的にAVを販売することができない国が多くあります。そして欧米の場合では一番のネックはモザイクの処理でしょうね。いわゆる無修正が当たり前の欧米人にとっては、『なんで隠されているの?』というレベルの問題ですから、モザイクが謎でしかないんです。

そうすると、もちろん興奮も阻害されてしまいますし、商品として売るには難しいかもしれません。またレイプというジャンルは多くの国々で反感を買う可能性があります。そうしたジャンルの整理や映像自体の構成を世界各国に向けた仕様でまずは制作しなくてはいけないかもしれません」

ただのエロ話のはずが、経済ニュースばりに小難しい話になってしまったが、日本のAVが世界に誇れるものだということは間違いなさそうだ。

●ANDREW・S・BROWN(アンドリュー・S・ブラウン)国際ジャーナリスト。著書に産業スパイの研究本「The Grey Line」などがある。自作は「ニッポンのAV」をテーマに執筆予定。

(取材・文/HIROTAX 撮影/佐賀章広 高橋定敬)