上野オークラ劇場ではほぼ毎月1回、出演女優の舞台挨拶を行なっている。『聖なるボインもみもみ懺悔室』では伊織涼子(左)、折原ゆかり(中)、加山なつこ(右)の3人が登壇!

劇場の閉館が相次ぎ、衰退が危惧される業界で年間36作もの新作ピンク映画を製作し続け、唯一の砦(とりで)となっているのが大蔵映画だ。

その気概と理念、企業努力について前回記事(「閉館が続くピンク映画館…製作会社も存続の危機で『扱えないテーマも怖い物も何もない!』」)では伝えたが、旗艦劇場である上野オークラ劇場の上映情報をTwitterで更新するのはもちろん、ほぼひと月に一度は新作映画に関する監督と女優の舞台挨拶や握手会&撮影会を行なっている。

特にその舞台挨拶が行なわれる日はほとんどが館内満員御礼ということで、7月16日に新作『聖なるボインもみもみ懺悔室』の舞台挨拶を訪れてみた。

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この日は劇場の支配人である斎藤豪計(ひでかず)氏と劇場のマスコットガール、朝倉ことみちゃんが司会進行役として登壇、主演女優の加山なつこ折原ゆかり伊織涼子の3人に監督、俳優陣とトークを展開。加山さんら3人は人気の熟女女優で、“3boins”のトリオとして全国各地を巡り、トーク&ファンイベントを精力的に行なっているだけあって、その喋りには絶妙なコナレ感が。

司会の朝倉さんが「さすが3人のトークは面白いですぅ」と言えば、伊織さんが「いえいえ、トークよりも、くわえたり脱いだりのほうが得意です」と返し、朝倉さんが「今回はシスターですが、次作はどんな役に挑戦したいですか?」と問えば、加山さんは「寝たきりの役か九官鳥みたく同じセリフ繰り返す役がやりたいです!」と発言し、会場爆笑。

さらにこの後、作品中でも使われた“幸せの黄色いパンティ”を生脱ぎ&パンティ投げ! さすが熟女の皆さんはサービス満点でしたぁ。

劇中で使ったパンティをガバッと見せた後、生脱ぎですよ!

生脱ぎからのパンティ投げ! 場内大盛り上がりでした!

そしてイベント後、劇場の事務所で3人に独占インタビューを敢行。

―いや~、さすが、会場ドッカンドッカンきてましたよ!

加山「まー、我々は伊織さんがTwitterで3boinsの活動をツイートするのが得意な広報部長的で、折原さんが企画屋タイプ、私が盛り上げ隊長って感じで役割分担ができてますから!」

―AV撮影とピンク映画の撮影では苦労する点は違いますか?

加山「今回の『聖なる~』の撮影では台本を当日に渡されたんです。AVの現場でもよくありますが、ピンク映画はほぼ全編ドラマだしセリフを覚えるのに必死でした。なので、観ててヤバいシーンがあっても笑って許してほしいです(笑)」

折原「あとやっぱり、実際に濡れ場の撮影では感じてるフリをするわけなので、撮影中はAV以上にヤリたい気持ちになるかも。女性だったら特にムラッとくると思います。なので、マンネリ化した彼女とのデート等にもオススメです」

伊織「そうですね。ちょっと、そこまで絡むフリするなら先っちょだけ入れて、みたいな(笑)」

ピンク映画普及のためにもっと攻める!

劇場前はポップ等を飾って楽しい雰囲気に、入口もガラス張りにして店内が見えるようになっており楽しげな雰囲気。「劇場のTwitterなどにも舞台挨拶の様子を投稿する等、宣伝はもちろん“暗くて怖い場所ではないですよ”というアピールでもあるのです」と斎藤氏。

―先っちょも入れませんよ! 3人共演は今回が初めてなんですか?

加山「いえ、今年1月に『ボインのお宿 熟女大宴会!』という作品に3人で出ました。シリアスなシーンでも笑いが起きたりと、やっぱり私達が出ただけで笑いが出ちゃうのかなと」

折原「3人で2本も出させていただいて嬉しい限りです。温泉もの、教会ものときたので、次は熟女の戦隊モノとかですかね!」

伊織「あっ、広報部長から宣伝入りまーす。『ボインのお宿』に関しては9月1日にテアトル新宿で3boinsとして舞台挨拶もさせていただきますので、是非いらしてください」

そう伊織さんも語る通り、実はこの夏、大蔵映画はある新しい試みにチャレンジしている。一般映画館である東京・新宿の「テアトル新宿」と新しいプロジェクト「OP PICTURES+」を展開。8月20日から9月2日まで連日2本立てのレイトショーを行なうのだとか。上野オークラ劇場の支配人・斎藤氏にも聞いた。

―テアトル新宿とのコラボ企画はどういう経緯で?

斎藤「実は昨年もテアトル新宿さんとピンク映画のレイトショーを企画し、大成功を収めたもので、今年も是非やろうということで。ピンク映画の夏フェスですよ! 15歳以上の方がご鑑賞できるR15作品を全9作品、連日2本立てで上映するという企画です」

―そこで加山さんたち『ボインのお宿』も上映されると。

斎藤「そうです。9月1日の上映後にイベントを企画しております。他の上映日も土曜日曜とサービスデーである水曜日はほぼ毎晩、上映後にイベントを行なう予定です」

―一般館でそこまで展開すれば若者層にも広がりそうですね!

斎藤「はい。我々としては、ピンク映画の普及のためにもっと攻めていくつもりですので。もっとやれることはあるはずですから」

さすが、日本でピンク映画の新作を作り続ける映画会社として攻めの姿勢を感じる。では業界としての展開は今後どんなものがあるのだろうか?

ピンク映画情報誌・月刊『ぴんくりんく』を発行しつつ、京都のピンク映画館『京都ほんまち館』に務める太田耕耘キ(おおた・こううんき)氏に、改めてピンク映画の魅力と今後の展望を聞いた。

―実際、現在は日本国内にピンク映画を流す映画館は何館くらいあるんですか。

太田「現在も成人映画を上映しているのは全国で46館です(2016年8月現在)」

―今では新作の制作は大蔵映画が作る年間36本がほとんどを占め、これらの映画が全国で順次上映されている、ということでしょうか。

太田「そうです。ただ、ピンク映画といっても、成人映画のみを上映する映画館はもちろん、一般映画館でだって流すことは可能なわけです。僕らの幼少期は一般映画館でも平日はピンクを流して、休み期間中だけ「東映まんがまつり」等の映画を流すところとか、結構ありましたよ」

園子温や行定勲がポルノ映画を撮る!?

―懐かしい…! そもそもピンク映画って、今もヌクための映画なんですか。

太田「その昔はピンク映画館でヌキに来るって目的があったでしょうけど、昔も今もね、ピンク映画といえど本当に面白かったり泣ける、ほんまに悲しい物語なんかもあるんですよ。公害問題を扱った作品なんかはヌクどころか萎(な)えるくらいインパクトの強い物語もあったりね…」

―公害問題まで! それはどんな作品ですか。

太田「髙橋伴明監督の『歓びの喘ぎ 処女を襲う』って作品ですね。工場廃水で汚染された魚を食べ、白痴となった娘と父親の精神、肉体ともに疲弊しきった禁断の濡れ場などは戦慄しますよ。

やはり70年代になぜピンク映画が盛り上がったかといえば、全国ロードショーでは扱えない学生運動等、政治的なテーマもかなり扱っていたために、映画として非常に見応えがあったのだと思います。ちなみにこの作品は修行中だった周防正行監督が助監督を務めているのも意外なのではないでしょうか」

―他にオススメの監督さんや作品を教えてもらえますか。

太田「若松孝二監督や足立正生監督の映画はかなり社会的、政治的な要素の多い作品が多いですね。そして、美保純や可愛かずみ、東てる美など、後にスター女優となる彼女たちのデビュー作を手がけたことで知られる渡辺護監督作品は、ひたむきな女の生き様を描いています。実は今年7月から11月まで『ゆきてかえらぬ渡辺護 官能の映画旅』というレイトショーを東京都杉並区の映画館“ラピュタ阿佐ヶ谷”で開催中なので、是非観ていただきたいですね」

―渡辺監督のどんな作品を上映するのでしょうか?

太田「1965年のデビュー作『あばずれ』はもちろん、情事の時だけカラーになる“パートカラー”という技法が用いられた『おんな地獄唄 尺八弁天』(1970年)とか、元祖SM女王様『谷ナオミ縛る!』(1977年)などピンク映画15本と渡辺監督の自伝的ドキュメンタリーも上映しますので、ピンク映画入口にはよいのではないかと」

―最後に、ピンク映画の魅力ってナンですかね?

太田「まー、クソつまらなくて燃やしたろかと思うようなヒドい作品もありますし、そこは一般映画と同じだけど、ピンク映画はホラ、確実にオッパイが観られますから。それ観られたらまだ許せるって思えるじゃないですか!」

―最近は女性客もチラホラとピンク映画館に来るそうですが、その背景は?

太田「そこはやはり映画好きなのはもちろん、サブカル層やピンク映画に出演する女優目当ての女性達が注目しているのではないでしょうか。有名どころでは女優の橋本愛ちゃんが2年前に閉館した『新橋ロマン劇場』に通い続けていたと自身のInstagramに投稿していましたし」

―では、今後のピンク映画の展望は…。

太田「今年で日活ロマンポルノが製作45周年ということで『日活ロマンポルノリブートプロジェクト』なるものが発表され、園子温監督や行定勲監督などがポルノ映画を撮ると発表されています。ここでよりビッグな女優、それこそ前田●子ちゃんあたりが脱いでくれれば大注目間違いなしなのですが…っ!」

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ちなみに、日活ロマンポルノはすでに150タイトルがDVD発売され、初ブルーレイ化するなど全80タイトルが発売開始されていたり、最近ではDMM等でも注目作となったピンク映画が配信サービスされていたり、CSやWOWOWでもピンク映画を流す番組があったりと、再び身近になって見直されているのは確かなようだ。

『日活ロマンポルノリブートプロジェクト』では現在、第1作目となる塩田明彦監督の『風に濡れた女』(主演女優は間宮夕貴)が第69回ロカルノ国際映画祭に出品され、日活ロマンポルノとしては初の若手審査員賞を受賞。2作目以降からは、どんな女優がその肌を魅せてくれるのか…期待したいところだ。

(取材・文/河合桃子)

■「ゆきてかえらぬ渡辺護 官能の映画旅」「ラピュタ阿佐ヶ谷」にて7月23日~11月14日までレイトショー。詳細は公式HPにて! http://www.laputa-jp.com/