安倍政権が選挙中に触れていない公約はたくさんあったが、選挙が終われば国民にウケが悪い法案や政策を動かすはず!?

残業代ゼロ、解雇規制の緩和、年金減額……。安倍政権が選挙中にほとんど触れていない話題はたくさんある。しかし選挙が終われば、国民にウケが悪い法案や政策だって動かすに決まっている。

例えば、労働法の改革だ。

「日本を世界で一番、企業が活動しやすい国にする」

安倍首相が施政方針演説でそう表明しているだけに、現政権は労働規制の緩和に熱心だ。緩和で雇用が流動化すれば、企業は働く人を雇ったりクビにしたりするハードルが下がるからだ。

現在、議論されている主な労働規制改革は次の3つ。

(1)残業代ゼロ法案 (2)解雇の金銭解決制 (3)同一労働同一賃金制

このうち、国会に持ち込まれたのは(1)のみ。(2)(3)はまだ上程されていない。では、それぞれの法案が成立する可能性はどのくらいなのか?

まずは(1)。労働問題に詳しい佐々木亮弁護士はこう解説する。

「一部の職種を“高度なプロフェッショナル”と規定し、年収1000万超の労働者を残業代ゼロで働かせ放題にできるという法案ですが、今後の中・低所得者への適用拡大が懸念されています。

法案はすでに上程されており、秋の臨時国会での審議、可決もありうる。ただ、野党が『過労死促進法だ』と強く反対しており、与野党のドンパチは確実です」

(2)は、裁判で不当と判断された解雇を、労使双方が了承すればお金で解決できる制度だ。成立の見込みは?

「こちらは厚労省の検討会で6、7回論議されただけです。国会に上程されるとしても、労働政策審議会での論議を経た後、最速で来年1月からの通常国会になるでしょう。しかも(1)の『残業代ゼロ法案』の審議が紛糾し、年内に可決されない場合は上程先送りになる可能性が大きい。よほど強引な国会運営をしない限り、(1)(2)を同じ国会で審議、成立させるのは難しいと思います」(佐々木氏)

選挙が終わった今、国民ウケの悪い法案、政策が再び動き出す。

(3)は、正社員や非正規社員といった区分けに関係なく、同じ仕事なら同じ水準の給与を払うことを企業に義務づける制度だ。首相が掲げる「一億総活躍社会」の目玉のひとつだが……。

「検討会で方向性が論議されたくらいで、中身はまだ何も決まっていません。ただ、昨年9月に『同一労働同一賃金推進法』が成立したものの、実施までの期間が『1年以内』から『3年以内』になったり、『職務に応じた待遇の均等』という文言が、『業務の内容とそれに伴う責任、そのほかの事情に応じた均等な待遇。もしくは均衡のとれた待遇』といった、経営側が主導権を握れるモノに変わった。この先、『同一労働同一賃金法案』ができても、法律名に内容が伴わない可能性があります」(佐々木氏)

安倍政権が選挙で触れなかったのは「憲法改正」だけじゃない。選挙という人気取りが終わった今、このような国民ウケの悪い法案、政策が再び動き出す。

本日7月11日(月)発売の『週刊プレイボーイ』30号では、「選挙が終わった後、安倍政権が再び動かす法案・政策12」を掲載。TPP関連法案からカジノ法案まで、今後の展開を含めてリストアップしたので、ぜひご覧いただきたい。

(取材・文/姜 誠 興山英雄)

■週刊プレイボーイ30号(7月11日発売)「選挙が終わった後、安倍政権が再び動かす法案・政策12」より