ごく少数の女性にあたかも全女性の代表みたいな顔をされたくありません

10月2日、第4次安倍改造内閣が発足した。任命された19人の閣僚のうち、女性閣僚は片山さつき地方創生担当大臣ただひとり。副大臣に女性を5人起用することで「バランスを取った」という向きもあるが......。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に思うあんなこと、こんなこと。

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第4次安倍改造内閣の閣僚19人中、女性は片山さつき地方創生担当大臣たったひとり。改造前もふたりしかいなかったのに、もはや絶滅寸前です。「女性活躍」っていうかけ声はなんなんだ。

安倍さんは片山さんに「ふたり分も3人分もある持ち前の存在感で女性活躍の旗を高く掲げてもらいたい」と言ってるけど、女性がひとりで3人分って、それ単純計算で男性が1に対して女性は0.5とか0.3でカウントしてることになりますよ。

女性活躍推進って、女性をシンボリックに扱って持ち上げることじゃないはずです。女性が当たり前のように職場や意思決定の場に一定数いるようにするってことです。希少種じゃなくて、見慣れた存在になるっていうこと。女性が女性であることを理由に評価されなくなるようにするってことですよ。

男性が男性であることを理由に「男性ならではの視点で」「男性の感性でぜひ」とか言われないのと同じように、女性も「あなたの視点で」「あなたの感性で」って言われるようにするってことです。そのためには女性が特別な存在であってはいけないのです。

男性がただ男性であるというだけで全員同じ考えの持ち主ではないのと同じように、女性も考え方はさまざま。クローンじゃないしね。だからごく少数の女性にあたかも全女性の代表みたいな顔をされたくありません。

私は女性ですけど片山さんが自分の意見を代弁してくれているとはまるで思いません。そう思っている女性はいっぱいいるだろうに、彼女ひとりに代表役を振るなあ!と思うのですよ。

大事なのは、女性の多様性を反映した議会にすること。ところが現在女性議員は衆院では全体数の1割、参院でも2割しかいません。これは先進国では最低レベル。女性議員の母数が少ない上に、入閣する人なんてもっと少ないのですから、多様性どころじゃありません。

この同じ時代に、ニュージーランドでは30代の女性首相が在任中に産休を取って出産し、復帰後に子連れで国連総会の会合に出席。スペインでは男性首相の下、閣僚の半数以上が女性を占める内閣も誕生しました。なんだなんだこの国は。女が滅びたのか。

何度も言いますけど、女性を特別扱いしろと言っているのではないのです。女性がその性別ゆえに特別な存在にならないように、男性並みにありふれた存在にしてくれと言っているの。女性も多種多様であることが目に見えるように、いろんな意思決定の場所に、まとまった人数を起用してほしいのです。

忘れちゃいけないのは、女性だからって全員が平和的で理知的で先進的な人物とは限らないということ。優秀な人もいれば、悪い人もひどい人もいますからね。それがちゃんとわかるくらいに、女性議員の数を増やしてほしいものです。

●小島慶子(こじま・けいこ) 
タレント、エッセイスト。テレビ・ラジオ出演や執筆、講演とマルチに活動中。現在、日豪往復生活を送る。近著に『幸せな結婚』(新潮社)、『絶対☆女子』(講談社)など

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