『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が、立憲民主党は連合に対して労組本来のあり方に戻り、野党共闘に水を差すようなまねはするなと主張すべきと指摘する。

(この記事は、5月2日発売の『週刊プレイボーイ20・21号』に掲載されたものです)

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労働組合の全国中央組織である「連合」は、野党第1党・立憲民主党の最大の支持母体だ。選挙では足腰の弱い立憲の組織に代わり、連合傘下の労組がポスター張りや演説会の動員などで、彼らの選挙を支える。そのため、立憲は連合に頭が上がらず、数々の〝注文〟を唯々諾々(いいだくだく)と受け入れる傾向があった。

近年、その象徴になっていたのが「共産外し」だ。共産党へアレルギーが強い芳野友子氏が新会長になってからは、連合は立憲に共産と距離を置くよう露骨に干渉してきた。

その一方で、芳野会長は自民党本部の会合に出席して男女の賃金格差の是正を「お願い」するなど、歴代会長としては異例といえる自民党へのすり寄りの姿勢を強めている。

自民党も乗り気だ。3月の党大会では運動方針に「連合など労働組合との政策懇談を積極的に進める」と明記し、4月17日には麻生太郎副総裁が「(連合幹部が)われわれとも食事をして酒を飲もうというところまできた」と関係強化に前向きな党内の様子を上機嫌に語っている。

連合は生き残りに必死なのだろう。何十年にもわたって賃上げにほとんど貢献できず、労働者からも見離されて組織率低下が著しい。国内最大の労働組合として、なりふり構わず存在感をアピールしたい思いがにじむ。

しかし、これまでの連合の基本路線は労働者本位の政策を実現するため、財界寄りの自民と距離を置き、野党による政権交代を目指すものであった。その路線からの逸脱をにおわせ続ける芳野・連合は、立憲にとって「最大の後ろ盾」というよりも、もはや自民党に都合よく利用されるだけの「がん細胞」である。

立憲は連合に対して労組本来のあり方に戻り、野党共闘に水を差すようなまねはするな、とハッキリ主張すべきだ。幸いにして、連合に〝大ゲンカ〟を売る絶好のチャンスが巡ってきた。5月29日投開票の新潟県知事選だ。

先の衆院選で野党が県内6議席中4議席を占めるなど、新潟は伝統的にリベラルの牙城。当然、今回の県知事選も野党第1党の立憲が候補を擁立すると思われたが、それは見送られた。

なぜか? それは連合新潟が自公に加え国民民主までが推す現職、花角英世知事の支持を決めたためだ。独自候補を立てれば連合との関係にひびが入ることを恐れた立憲が自主投票という苦渋の選択をしてしまった。

ただ、その後に県の経済同友会副代表幹事という新潟財界の重鎮で、しかも脱原発で柏崎刈羽原発廃止を訴える片桐奈保美氏が出馬を表明。森ゆうこ参院議員ら、立憲新潟県連の一部が支持に回る展開となった。

泉 健太代表はこれに同調し、片桐氏を推すべきだ。それにより、自公国・連合の「原子力ムラ」と戦う立憲が脱原発に本気であることが鮮明になり、県知事選は単なる一地方選を超え、国のエネルギー政策をめぐる選挙として全国の注目を集める。

今、立憲の政党支持率は3.3%(4月14日・時事通信調べ)と低空飛行が続く。参院選の前哨戦となる参院石川選挙区補欠選挙(4月24日)も、自公候補に13万票差のトリプルスコアで惨敗した。このままでは7月の参院選でも大敗するに違いない。

この不振を挽回するには、連合への依存を絶つ「捨て身」の行動が必要だ。新潟でその一歩を踏み出せるのか。今、泉・立憲の覚悟が問われている。

●古賀茂明(こが・しげあき) 
1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して11年に退官。『日本中枢の狂謀』(講談社)など著書多数。ウェブサイト『DMMオンラインサロン』にて動画「古賀茂明の時事・政策リテラシー向上ゼミ」を配信中。最新刊『日本を壊した霞が関の弱い人たち 新・官僚の責任』(集英社)が発売中

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