1月上旬、「過去20年で最強」の大寒波に襲われたアメリカだが、今年の冬は、日本も大豪雪に見舞われる可能性があるという。
東京大学名誉教授の山形俊男氏が、その理由を説明する。
「日本海の海水温が高いところに寒気が入り込むとポーラーロウ(極域低気圧)が発生しやすいのですが、今年はポーラーロウが発生する条件がそろっているのです」
ポーラーロウとはベーリング海や北海など緯度の高い地域の海上で発生する「寒気の渦」のこと。普通の低気圧は勢力範囲が数千kmと大きいが、ポーラーロウはせいぜい数百kmの規模。中心部に雲のない台風の「目」のような部分があることから、“冬のミニ台風”とも呼ばれ、局地的に豪雪や突風などの被害をもたらす原因となる。
山形氏が指摘するように、昨年夏、日本列島は記録的な猛暑に見舞われ、その影響で今も日本周辺の海水温は高い状態が続いている。日本海北部や北海道東方の海水温は平年より1~3度も高くなっているのだ。
そして寒気だが、気象研究家の幣洋明氏によると、「特に今年は1月初旬よりアメリカ大陸と極東方面に偏西風が蛇行した状態が続き、北極の寒気が南下しやすくなっているのです」とのこと。
つまり、通常は経度の高い地域で発生するポーラーロウが、今年は日本海上で発生しやすくなっているということだ。
日本列島の過去の豪雪被害としては、1963(昭和38)年の「サンパチ豪雪」や、2006(平成18)年の「平成18年豪雪」が有名だが、いずれもポーラーロウが原因だといわれている。
例えば、サンパチ豪雪では、道路の除雪が間に合わず、日本海側では孤立する集落が続出。雪の重みによる家屋の倒壊が相次ぎ、228人が死亡した。また、平成18年豪雪では、新潟県津南町で、それまでの最大記録を超える416cmの積雪を観測。屋根の雪おろしの事故や落雪、倒壊家屋の下敷きになるなどで152人が死亡する被害が出た。
すでに1月10日、927地点ある全国の観測点の8割近く、721地点で最低気温が氷点下となる「冬日」となるなど、日本列島に寒気が流れ込んできている。日本海側は十分な注意が必要だ。
(取材/西島博之)
■週刊プレイボーイ5号「ポーラーロウ×太平洋振動“掛け算豪雪”が日本を直撃!!」より