1月14日未明、セガサミーホールディングス会長の里見治(はじめ)氏の自宅に、一発の銃弾が撃ち込まれた。里見氏は近年、カジノへの進出を公言しており、その利権絡みの発砲事件とも報じられた。

パチンコ・パチスロ業界関係者によると、里見氏は業界団体の新年会で「世間を騒がせてしまって申し訳ございません。このようなことが起きるなんて、身に覚えもございません」とユーモアをまじえて語ったという。

今年73歳になった里見氏は、日本最大のパチスロ・パチンコメーカー、サミーの創業者であり、2004年にゲーム会社のセガと経営統合し、巨大エンタメ企業を一代で築き上げた。政治家やスポーツ選手のタニマチとしても知られており、先日の楽天・デーブ大久保新監督の就任パーティでも発起人として意気軒昂な姿を見せている。

某週刊誌によると、その総資産は約500億円に上り、株式配当金と役員報酬を合わせると年収は約20億円。そして、銃弾が撃ち込まれた東京・板橋区の自宅は地上3階地下1階、延べ床面積は1000平米を超える豪邸で、超一流の美術品で飾り立てられ、地下にはレジャー施設ばりの娯楽機器が取り揃えられているなど、その富豪ぶりが披露された。

業界関係者の間では、「プライベートジェットを保有し、車には防弾が施されている」というのは有名な話だ。

防弾仕様のロールスロイス、競走馬に50億円…

パチスロ業界に詳しい人物もこう語る。

「今もパチンコ・パチスロの発表会には顔を出していて、そのときは必ずロールスロイス・ファントムで登場します。一度見れば絶対に覚えられる車なので、業界関係者も『あぁ、里見さん今日もいるね』となるそうです」

ロールスロイス・ファントムは、一台5千万円前後の超高級車。その防弾仕様ともなれば、一体どれほど値が張るのだろう…。

また、セガサミーは「セガサミーカップゴルフトーナメント」を2005年より毎年主催している。長嶋茂雄氏を大会名誉会長に迎え、昨年は石川遼が優勝した。

この大会は北海道千歳市で毎年7月に開催されているが、同じ頃、近隣の苫小牧市では、日本競走馬協会が主催する日本最大のサラブレッド競(せ)り市「セレクトセール」が開かれる。里見会長は馬主としても有名だが、ある競馬ライターは言う。

「移動が楽なように、セガサミーカップの日程をセレクトセールに合わせているらしいです。セガサミーカップの期間中も馬のカタログを手放さず、そこには付箋(ふせん)がたっぷり貼られているそう。

初めて競争馬を購入したのは24年前。以来、これまで費やした金額は50億円以上とも言われています。2012年のセレクトセールでは、ディープインパクトを父に持つ馬を2億5千万円で落札。高額すぎて、わずか1分40秒での決着でした」

購入した馬は名門厩舎(きゅうしゃ)に預けることが多いが、G1勝利はまだなく、これまでの獲得賞金は35億円あまりだという。競馬で儲けようという腹は毛頭ないのだろう。

「厩舎関係者に聞いた話によると、里見会長は記憶力がすごく、自分の馬をいつ、いくらで買ってどんなレースをしたのか、全部覚えている。一方で、まったく偉ぶらず、調教師や厩舎のスタッフとも真摯に同じ目線で話をしてくれる理想的なオーナーだそうです」

とにかくオーラがスゴい

大金を持て余した富豪の単なる暇潰し…というわけではなさそうだ。前出のパチスロ業界関係者も同意する。

「料亭で豪遊しているとか、そういう話は聞こえてこないですね。東日本大震災のとき、すぐに支援金を送ったことは有名ですし、ゴルフもセガサミーカップのほか女子ゴルファーの支援も相当やっているそうです。プロといっても食べていけるのは上位のみですからね」

そんな里見氏の人柄は、業界内ではどのように評されているのか? 前出のパチスロ業界関係者が言う。

「とにかくカリスマ性がすごいという話です。サミー内では里見派とパチスロ・パチンコ派の2派も分かれているという話もありますが、里見派には会長のために仕事を頑張るという人が多いのが特徴。会った人は口を揃えて『オーラがすごい』と言います。

一見、コワモテに思われがちですが、実はすごく人に好かれる方なんだそう。だから、政治家やいろんな人たちから頼られる。以前、サミーの業績が悪いときにセガの大川功さん(故人・元セガ会長)に助けてもらったことを恩義に感じていて、逆にセガの業績が悪くなったときにすぐに助けてあげたという話は有名です」

その素顔は義理人情に厚く、遊技人口が減っているパチスロ・パチンコはもとより競馬、ゴルフのタニマチまで奔走する、豪気な熱い人物であるようだ。

(取材・文/週プレNEWS編集部)