急浮上した長崎・佐世保市の予定地は、HISの澤田CEOがトップを務めるハウステンボス。※写真はイメージです。

カジノ整備法案が4月27日に閣議決定され、国会に提出されたことで成立は確実となった。そこで気になるのが、全国で3ヵ所の開設予定地をめぐる誘致レース。カジノができれば巨額の収入が転がり込むことになるが、いったいどの都市が区域認定を勝ち取るのか?

カジノを推進するIR議連関係者がこう明かす。

「当確は大阪市。府・市の首長、議会がカジノ推進で一致し、目立つ反対運動もない。意外なのは菅義偉(すが・よしひで)官房長官の地元で、大阪と並ぶ鉄板候補とされていた神奈川県横浜市の大失速。招致レースから脱落したとみるべきでしょう」

全国紙経済部記者が横浜失速の理由をこう話す。

「林文子市長がメイン支持層の主婦らの反対を気にして、カジノ誘致について明言を避けていることに加え、地元財界のドン、横浜港湾協会の藤木幸夫会長が真っ向から反対を主張しているんです。予定地である山下ふ頭にIR施設を建設するには藤木会長のゴーサインが不可欠ですが、反対の意志は固く、菅官房長官でも説得しきれずにいると聞いています」

となると、残る枠はふたつ。有力なのは東京や沖縄ではなく、意外にも長崎県佐世保市(させぼし)と千葉県千葉市なのだという。

「佐世保は中村法道(ほうどう)県知事、朝長則男市長が誘致に向けてガッチリとスクラムを組んでいる。また、立地予定地のハウステンボスのトップは商売上手で政界にも顔が利くHISの澤田秀雄CEO。経済産業省OBの早坂昌彦氏をハウステンボスの重役に登用するなど、着々とカジノ開業に備えています。

千葉も昨年、熊谷俊人(よしひと)市長がカジノ実現を公約に3選を果たし、市議会、県議会も誘致を決議している。予定地の幕張新都心の近くにはディズニーランドもあり、インバウンド客も期待できる。横浜に代わる首都圏の有力候補です」(前出・IR議連関係者)

では、このまますんなりと大阪、長崎、千葉がカジノをゲットするのか?

「IR整備法案では『カジノは最大3ヵ所まで』とされていますから、実際には2ヵ所、あるいは1ヵ所になることも考えられる。長崎はほかの候補地と比べてマーケットが小さいですし、千葉は森田健作県知事の姿勢がいまいち明確でなく、県庁のバックアップが期待薄。場合によっては条件が十分でないとして長崎、千葉も落選し、大阪だけがカジノ認定を受けるという事態もありえます」(国際カジノ研究所・木曽崇所長)

区域認定は2021年前後になる予定。カジノ招致レースは長丁場だけに、まだまだ波乱がありそうだ。