小学4年生の女児が下敷きになり、犠牲になってしまったプール脇のブロック塀6月18日午前7時58分に発生した、大阪府北部を震源とする震度6弱(Mマグニチユード6.1)の「大阪北部地震」は、23年前の阪神・淡路大震災以来の大都市直下型地震だった。

当時とは社会環境が大きく変わった現在、この地震で見えた"教訓"とは―。

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「ものすごい地鳴りが遠くから聞こえてきたんです。50人の相撲取りが一斉に走ってくるような。そして、その音が私の上を通り過ぎると思った瞬間、ドーンと突き上げるような激しい揺れが来ました」(大阪府茨木市に住む女性)

「テレビを見ながら食事をしていたら、ドーンと強く突き上げられ、続けて激しい上下の揺れが起きました。テレビがひっくり返りそうなのを必死で押さえていました」(大阪府高槻市に住む男性)

死者5人、負傷者408人(6月20日現在)。大きな被害を出した大阪北部地震の犠牲者のひとりは、登校途中の小学4年生の少女だった。学校のプール沿いのブロック塀が倒れ、その下敷きになったのだ。

高槻市は、このブロック塀が違法建築であったと発表。当初は1.9mの基礎部分の上にフェンスがあったのだが、その後、プールが外から見えないように1.6mのブロック塀を積み上げていた。このとき、本来なら必要な基礎と塀を固定する補強設備などが設置されなかったのだ。

「家でタンスの下敷きになって死んだのとは訳が違う。単なる事故ではないですよ」

近所に住む男性はそう話し、行政の防災感覚の鈍さに怒りを露(あらわ)にした。

また、人口密度が高く、観光客や訪日外国人も多い大都市の地震では、こうした建造物の倒壊や津波、火事といった直接的な被害以外にも、さまざまな危険が潜んでいる。

地震当日、公共交通機関はまひし、道路も大渋滞に見舞われた。そんななか、大阪駅前でひとりのベトナム人男性が流しのタクシーを探していた。

ビジネスで訪日し、日本語が多少話せる彼は、ちょうど遠方から乗せてきた客を降ろしたタクシーを見つけ、乗ろうとした。ところがドライバーの返事は「指定地 域外なので乗せられません」。ルール上仕方のないことだが、訪日客にはこうした日本の細かい事情はわからず、「なんで乗せない!」と激怒していた。

大阪を訪れる外国人観光客は年間1000万人以上。1日当たり約2万7000人という計算だ。仮にもっと規模の大きい地震が起きた場合、彼らは行き場もなく なり、さまざまな不安のなか、ちょっとしたことでパニックを起こしてしまうかもしれない。外国人被災者に対する救済マニュアルの確立は急務だ。

SNSなどによるデマや誤情報の拡散も大問題だ。地震当日、ツイッター上には「大阪駅北側に帰宅困難者のための『防災パーゴラ』という施設があり、無料で仮眠したり携帯の充電ができる」という情報が流れていた。

これはデマというより善意による情報拡散だが、記者が実際に防災パーゴラに行ってみると、数十人も入ればいっぱいになってしまうような小規模施設で、携帯の充電口もひとつだけ。大勢の被災者がここに殺到していたら、大騒動になったかもしれない。

「京セラドームの屋根に亀裂が入った」とのデマも流れた。実際に見に行ってみるとそんな事実はない。あたかも亀裂ができたかのように画像が加工されていたよう だが、愉快犯による悪質なフェイクニュースだった。2011年の東日本大震災時の教訓でもあるが、SNSには貴重な情報がある一方、デマもある。信頼でき る発信元を選ぶなどのリテラシーが必要なのだ。

◆専門家の目に今回の地震はどう映ったのか? この続きは『週刊プレイボーイ』28号(6月25日発売)「大阪北部地震現場ルポ『大都市型地震』生かすべき教訓」にてお読みいただきたい。