普段はインバウンドツアーバスが鈴なりの日本橋も閑散

昨年、大阪府を訪れた外国人は中国、韓国、台湾などアジアからの訪日観光客を中心に1000万人以上。その大阪を中心とする関西圏を9月4日に襲った台風21号によって、"空の玄関口"である関西国際空港第1ターミナルが高潮で浸水するなど、インバウンド経済にも大ダメージが生じた。

この台風の爪痕は、性風俗を中心とする関西の"夜のインバウンド"にも色濃く残っていた。まずは大阪・西成(にしなり)区の超有名遊郭街、飛田(とびた)新地へ行ってみたが、記者が小一時間ほど歩いて、すれ違った外国人客はたったふた組。客の呼び込みをする"手招きばあさん"のひとりに聞いてみると......。

「多いときは、店の前を歩いている人の半分くらいが外国人観光客。中国と韓国のお客さんが中心です。外国人観光客の受け入れがOKかどうかは店それぞれの判断だけど、なかには指名が10本あったら5本が外国人観光客みたいな、中国や韓国のお客さんにものすごく好かれるタイプの女のコもいて。そういうコはかわいそうやねえ」

また、繁華街には「韓国式」「台湾式」「タイ式」などの名目で、表向きはリラクゼーションをうたう"アジア流マッサージ店"が多い。大阪・淀川(よどがわ)区で、アジア流マッサージ店が複数入居する雑居ビルの前を通ると、若い女性からカタコトの日本語で「お兄さん、マッサージどうですか。5000円だけ」と声をかけられた。どんなマッサージ?

「5000円で、マッサージして最後にヌキね」

関空が浸水した影響は?

「台風から2週間ぐらいの間に入ってた予約はみんなキャンセル。売り上げは半分もなくて、いつもの2、3割ぐらい。だから、お兄さんウチの店に行きますか。今ならすぐに入れるよマッサージ......」

かなり影響を受けているようだ。しかし、訪日観光客はわざわざ日本に来てまで本当に"アジア流"の店に行くのか? 近くの案内所のスタッフに聞いてみると......。

「もちろん日本人も行きますけど、その国の人(韓国式なら韓国からの訪日観光客)もよく行きますよ。旅先でムラムラして、お姉ちゃんと羽を伸ばしたくなると、やっぱり言葉が通じる母国系の店に行く人が多いみたいです」

確かに、わが身に置き換えてみても、言葉が通じない外国だと「日本人のいる店」のほうが何かと安心な感じがするかもなあ......。

関西風俗を長年取材する、あるベテラン風俗記者はこう説明する。

「ちゃんと性風俗営業の届け出をして、新聞や雑誌に広告を出しているような性風俗店の多くは、言葉の通じない外国人客お断り。そのため、関空浸水の影響もそれほどないでしょう。逆に、外国人キャストのいる風俗店や、グレー営業のマッサージ店、それに15分単位のサービスで会話なんてしている余裕のない飛田新地は外国人客の割合が高く、大きな影響を受けてしまったわけです」

14日には第1ターミナルで航空機の発着が再開され、タンカーが衝突した連絡橋を通る鉄道も18日にようやく復活。徐々に機能が回復しつつある関空とともに、"夜のおもてなし"も元気を取り戻せるだろうか?