静岡県では給食当番に『お茶係』が!

インフルエンザが全国的に大流行している。巷にはさまざまな予防法があふれているが、静岡県人にとってなじみ深いのが「お茶うがい」だ。

本当に効果はあるのか? 生まれも育ちも静岡の編集オギは太鼓判を押すが、果たして......?

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■静岡県の給食にはお茶が出てくる!

静岡で生まれ育った生粋の静岡県人、編集オギが自身の"お茶体験"を熱く語る。

「『静岡の人って毎日お茶飲んでるの?』ってよく半笑いで聞かれますが、本当に毎日飲んでるんですよ。小学校の給食では、緑茶の入った大きなやかんが各クラスに用意されていました。ひとり1杯ずつ飲めるように給食当番の『お茶係』が配分を考えながら注(つ)いでいくんです。

冬場になると、お茶係はふたりに増員され、やかんも各クラスふたつに。給食を食べる前にみんな一斉に流し台へ行き、そのお茶でうがいをするんです。インフルエンザが流行しだすと、緑茶入りの水筒を持参するように学校から言われていました。だから、お茶うがいは絶対に効果があると思うんです」

さすが、お茶どころ静岡。やはり毎日浴びるようにお茶を飲んでいるらしい。インフルエンザが流行する冬場にはその予防としてお茶うがいが行なわれているようだが、本当に効果があるのだろうか。

半信半疑ながら、静岡県立大学薬学部の山田浩教授に尋ねたところ......。「緑茶うがいはインフルエンザ感染の抑制に効果がある」とのこと! 伊藤園と静岡県立大学薬学部の共同研究で明らかになったという。

「緑茶には、インフルエンザ感染抑制作用があるさまざまな成分が含まれていることが明らかになりつつあります。特に研究が進んでいるのは、ポリフェノールの一種で、緑茶カテキン。緑茶でうがいをすることで、インフルエンザウイルスが宿主細胞へ吸着するのを阻止し、体内にウイルスが入るのをブロックする効果、感染した細胞内での増殖を抑制する効果があるんです」(山田教授)

インフルエンザウイルスの表面には「スパイク」と呼ばれる突起状のタンパク質がある。このスパイクを通して、ウイルスが喉などの細胞に吸着するのだが、緑茶のカテキンがスパイクに取りつくことで、ウイルスの感染や増殖を抑える。これが緑茶うがいによるインフルエンザ予防の基本的な仕組みだ。

「緑茶のカテキンによるウイルス吸着阻止作用は、インフルエンザウイルスの型を問いません。そのため、新型インフルエンザ感染の抑制にも有効なことが、静岡県立大学の鈴木隆教授のグループによって確認されています」(山田教授)

インフルエンザ予防接種は3種混合ワクチン。既存の型に対しては有効だが、新型には対応していない。しかし、緑茶でうがいをすることにより、新型でも予防できる可能性が高まる。

ちなみに、カテキンの濃度が濃ければ予防効果が高い、というわけでもないようだ。

「私たちが行なった臨床研究では、ペットボトル緑茶の半分のカテキン濃度でインフルエンザの発症が抑えられています。ですから、ペットボトルでも同じ効果が期待できます」(山田教授)

予防効果が期待できるのはうがいだけではない。

「緑茶を飲むことで、肺での作用に加え、感染細胞からのウイルスの放出を抑えて拡散を防ぐことも期待できます。さらに緑茶に含まれるテアニン、ビタミンC、サポニンは、上気道感染に対する抵抗力を高める。つまり、免疫力を増強する作用があります。

また、最近では緑茶成分のストリクチニンにも、インフルエンザウイルスの増殖抑制作用が報告されています。いずれにしても、インフルエンザウイルスの感染を防ぐにはこまめに摂取することを心がけましょう」(山田教授)

科学的にインフルエンザに効果的ということが明らかになった緑茶うがい。『週刊プレイボーイ』5号(1月21日発売)では、緑茶より効く?と新たな見解が示されている紅茶についても掲載している。