野球少年が招待されるドリームシートを中心にバックネット裏の約5000席が指定化。すでに高額転売が問題になっている

今夏で100回大会となる全国高校野球選手権大会。歴史的な節目に、スタンドにも「新時代」の波が押し寄せている。今大会から甲子園球場のバックネット裏のおよそ5000席が「中央特別自由席」から、「中央特別指定席」に変更。この区分のみ、ネットでの前売り指定化されたのだ。

なぜ指定席になったのか。背景にあるのは近年高まりを見せている高校野球人気だ。ある高校野球ファンはこう証言する。

「早稲田実業の清宮幸太郎(現・日本ハム)が3年前に初めて甲子園に出た日は、阪神電車の始発が超満員のすし詰め状態。甲子園の入場券売り場は見たこともないような長蛇の列でとんでもない大混雑になりました」

また、「席取り」が過熱したのも理由のひとつ。前列を確保しようと泊まり込みで並ぶファンの間でトラブルが勃発。席を確保するためタオルで座席を覆うファンのマナーも問題視された。

さらに今大会では入場料の大幅な値上げも実施。中央特別指定席は従来の2000円から2800円へ。その他の区分も軒並み値上げし、これまで無料だった外野席も500円(子供は100円)を徴収することに。主催の日本高等学校野球連盟は値上げの理由を「警備費用の増加と収益を野球振興やケガ予防策に充てるため」と公表している。

このような改革に悲鳴を上げているのが甲子園の常連ファンだ。ラガーシャツに蛍光色のキャップスタイルで観戦する"ラガーさん"こと善養寺隆一さんはこう漏らす。

「確かに常連ファンが席取りをやりすぎた面はありましたし、散々ネットで叩かれました。でも、年配のファンには『インターネットができないからチケットを買えない』『クレジット決済ができない』という理由から今年の観戦を断念した人もいます。僕は今年も甲子園に行きますが、前列の席は取れませんでした。来年どうするかはまだわかりません......」

さらに大きな問題となっているのはチケットのネット転売。6月に販売開始された大会全日程の一日通し指定券は即完売。ネット上でバラ売りされて、開会式のある大会初日は5倍以上の価格がついているのだ。善養寺さんによると「売り切れのため、泣く泣く高い金額でチケットを押さえた友人もいる」という。

また、チケットは一日有効(準々決勝まで試合は一日3、4試合ある)のため、「目当ての試合を見たら帰る」という人が続出することも。そうなるとバックネット裏の指定席だけ空席が目立つ......という現象も考えられる。

実際、甲子園のバックネット裏は過去に指定席になった期間はあったのだが、空席が目立ったことから自由席に戻っている。だが、主催者によると「昨夏の甲子園で来場者にアンケート調査し、8割以上が『3試合以上見た』と回答しました。空席が目立つことはないと考えています」と回答。果たしてどうなる!?

18日には指定席の単日券の販売が開始される。100回記念という華々しい大会をみんなが楽しめるよう、これ以上の問題や不満が生まれないことを祈るばかりだ。