バルセロナの新戦力について語る宮澤ミシェル氏
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第66回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、リーガ2連覇を狙うバルセロナについて。メッシやスアレスの活躍はもちろんだが、彼らがリーガ2連覇、そしてチャンピオンズリーグ優勝を果たすためには新戦力の活躍が必要になってくると宮澤ミシェルは解説する。

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まさかが起きたね。リーガ2連覇を狙うバルセロナが、第6節で最下位のレガネスに敗れるなんて思わなかったから驚いたよ。バルサは1点リードで迎えた後半に連続失点して大金星を与え、次のビルバオ戦も引き分け。チャンピオンズリーグのグループリーグも始まって、試合間隔が詰まってきたことで、今シーズンは戦力補強が思うように進まなかった影響が出始めているのかもしれないな。

バルサが今季開幕前に獲得した選手は6選手いるけれど、そのうち2選手が復帰組で、新規の獲得は4選手。DFにセビージャから獲得したクレマン・ラングレ(フランス/23歳)、前線にはボルドーからブラジルの新鋭・マウコム(21歳)を獲り、中盤にはグレミオからブラジル人のアルトゥール(22歳)と、バイエルンからチリ代表のアルトゥーロ・ビダル(31歳)を加えた。

彼らのうちバルサの命運を握っているのが中盤のふたりだろうな。アルトゥールはすでにリーグ戦4試合に出場し、そのうち2試合に先発したけれど、問題なくチームにフィットしそうな雰囲気を出しているよ。

問題はビダルだ。彼が中盤のどこのポジションにハマるかで、試合が立て込んで疲労が溜まったときのチーム状態がまったく変わってくる。だけど、現状ではビダルはまだバルサのスタイルに適応できていないね。

その要因は去年までのバイエルンがスペースに走り込むサッカーだったけれど、バルサはスペースに走らないサッカーだからとうのがあるよ。速いテンポでパスをつなぎながら、相手ゴールに押し込んでいくのだけど、ビダルだけは蚊帳の外という感じ。

ビダルの持ち味はタイミングを見計らって前線のスペースに走り込むことだけど、スペースに走らないスタイルで攻撃を組み立てるバルサでは、それを生かす機会がほとんどないんだ。

ビダルは開幕してから途中出場での起用が多いけれど、ピッチに立てば一生懸命やっているよ。ただ、空回りしているんだよな。テクニシャンではないけど、決して技術が低いわけじゃない。それでもパスを出した後にどこに動くかのローテーションにまだ馴染めていないから、攻撃のときも彼のところでボールがもたついちゃう。

でも、これは仕方のないことなんだよ。バルサのサッカーにフィットするのは簡単なことではないからね。あのズラタン・イブラヒモビッチでさえもバルサのスタイルにはフィットできなかったし、スアレスだって最初は苦しんだから。

今季は素晴らしいパフォーマンスを見せているデンベレだって、昨年まではチームに適応できなくて、ひとり浮きまくっていたからね。それが、ジョルディ・アルバとの連携の呼吸が抜群に良くなって、今季は開幕から攻撃の大きな起点になっている。すごいことだよ。

去年獲得したブラジル代表のパウリーニョだって、当初はブスケツがつとめる中盤のアンカーで期待されての獲得だったけど、そのポジションではハマらなかった。ただ、彼の場合はブスケツの一列前に起用されたこで、高い技術力を生かして順応できたのはツキがあったよな。

同じようにビダルにもハマるポジションが他にあるかもしれないし、ビダルが戦い方にフィットするかもしれない。いずれにしろ、ビダルがバルサの戦力として実力を存分に発揮できるには、もう少し時間がかかるだろうね。

ユベントスでもバイエルンでもチリ代表でもバリバリに働いてきた選手だから、バルサの戦い方のポイントさえ体に馴染めればチームを助ける存在になるはずだよ。彼が中盤で持ち前の守備力と当たりの強さを発揮するようになれば、リーガ2連覇はもちろん、昨年は守備陣が崩れてベスト8で散ったチャンピオンズリーグでも優勝にぐっと近づくはずだよ。

今季のバルサはメッシやスアレス、ラキティッチといった選手たちの活躍はもちろんだけど、新たに加わったビダルがチームにどうフィットしていくかに注目していくと、もっと楽しいシーズンになると思うよ。

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