強豪ウルグアイに勝利した意味は大きいと語るセルジオ越後氏

注目を集めていた若手が期待以上の活躍。試合を見に来たファンも満足して帰ったんじゃないかな。

日本代表がウルグアイに4-3で勝利した。両チーム合計で7得点が生まれた大味の試合で課題も残ったけど、W杯決勝トーナメント常連の強豪ウルグアイに勝利した意味は大きい。

森保監督になって初めての強豪相手ということで、選手のモチベーションは明らかに高かった。ボールを奪われても守備への切り替えが早く、常に数人で相手を囲む。ボール際でも競り負けず、最後までよく走った。

特によかったのは南野、中島、堂安のアタッカー3人。ボールを持ったら臆せずに仕掛け、ウルグアイの守備陣を何度も混乱させていた。イケイケのプレーだったね。

2得点を挙げた南野は以前よりもゴールへの意識が高くなり、なおかつシュートの場面で落ち着いていた。文句なしでこの試合のマン・オブ・ザ・マッチ。スポーツ紙の1面を飾るのにふさわしい活躍だった。

中島は左サイドで相手を引きつけ、そこからパスも出せるし、シュートも打てる。ファウルをもらうのもうまい。彼にボールを回せば何かが起こる。そんな雰囲気を出していた。

そして、代表初ゴールを決めた堂安は右サイドに開いてチャンスをつくったかと思えば、中に切れ込んでの左足のシュートも見せた。ボールも収まるし、プレーに幅がある。まだまだ伸びる可能性があると思う。

以前の代表ではムダな横パスが続き、ストレスのたまる展開になることもよくあった。その点、この3人の常にゴールに向かう姿勢は新鮮だし、彼らのスピード感は間違いなくチーム全体に好影響をもたらした。代表のレギュラーになりたい、代表の主役になりたいというチャレンジ精神がプレーから伝わってきたよね。何より決定的な仕事をしたことは評価すべきだ。

ただし、彼らにとって本当に大事なのはこれから。確かに今回のプレーは大きなアピールになった。でも、これで不動のメンバーになったわけではない。求められるのは継続性だ。

過去、代表で一時的に好プレーを見せたものの、定着できずにメンバーから外れた選手はたくさんいる。3人には今回のようなプレーを所属クラブに戻ってからも、また再び代表に呼ばれたときにも見せてほしい。そうして評価を高めれば、もっと大きなクラブへのステップアップも実現できるだろう。

継続という意味では、代表チーム全体も同じ。森保監督になってからこれまで3試合を消化。いろいろメンバーを試すだけでなく、結果も出してきた。これを当面の目標である来年1月開幕のアジア杯まで継続して、アジア杯もしっかり勝ち切ること。それが4年後のW杯につながる。

今回のウルグアイ戦では攻撃陣の活躍の陰に隠れて、守備陣はミスが多くて安定感を欠いていたことを忘れてはいけない。自陣でパスを奪われて何度も危ない場面をつくられたし、セットプレーでも後手に回っていた。東口の頑張りがなければ負けていたかもしれない。また、所属クラブで出場機会を得られていない柴崎の低調なプレーも気になった。

11月にはベネズエラ、キルギスとの強化試合を控えている。期待値が上がっているからこそ、しっかりとした内容での連勝を続けてほしいね。

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