森保監督もここまでは順調に来ていると思っているんじゃないかと語るセルジオ越後氏

日本代表の年内最終戦となったキルギス戦は4-0で勝利。これまであまりチャンスのなかった選手がスタメンの大半を占めた日本は、前半早々に2点を奪う好スタート。

ところが、その後は実力差の大きいキルギス相手に悪いクセが出た。ボールを回すだけでなかなかチャンスをつくれない。森保監督もしびれを切らしたのか、後半途中から大迫、中島、南野、堂安らを投入してようやく追加点を奪った。結果だけ見ればポジティブだけど、相手のレベルを考えればもっと点は取れたはずだし、内容的に収穫は乏しかったね。

その4日前に行なわれたベネズエラ戦は1-1の引き分け。ベネズエラはキルギスよりも力があり、アジア杯に出ればベスト8以上を狙えると思う。そんな相手に日本の課題が出た。1対1の局面や球際で激しくこられるとバタバタしてしまうし、攻撃にもこれまでの試合のような厚みがなかった。中島、堂安頼みの状態。そういう意味で、今回の2連戦には物足りなさを感じた。

ただ、7月に森保体制になって以降、日本は5試合を行なって4勝1分けと結果も出しているし、5試合トータルで見れば内容的にもポジティブな要素が多い。世代交代という喫緊の課題をクリアすべく、森保監督は思い切って若手を起用している。そのなかで攻撃陣の中島、堂安、南野がある程度の結果を出したのは大きいよ。

また、Jリーグで結果を出している選手を積極的に招集し、追加招集の選手でも試合に使うことで、いい意味での競争意識を植えつけている。

そうした試行錯誤をするなかで格上のウルグアイに勝ったこと(10月16日、4-3で勝利)も自信につながったはず。森保監督もここまでは順調に来ていると思っているんじゃないかな。

次の目標は来年1月開幕のアジア杯(UAE)。現時点でスタメンを予想すると、GKは東口、最終ラインは右が酒井宏で左が長友、中央は吉田が決まりでパートナーが誰になるか。実績のある槙野、20歳の冨安もいいけど、個人的には今回招集されなかった昌子を推したい。ロシアW杯でも安定していたし、故障から復帰以降の鹿島でのプレーも素晴らしいからね。

ボランチはこれまでの起用法を見れば遠藤、柴崎が軸になるとは思う。ただ、ほかにも青山、三竿、守田と多くの候補がいるだけに、どんな組み合わせになるのか予想は難しい。

特に柴崎に関しては、前線に上がって攻撃に絡むという部分に関しての期待があるのだろうけど、所属クラブで出場機会を得られておらず、ロシアW杯時と比べて状態はかなり落ちる。パスをさばくだけで、前の選手を追い越すプレーも少なくなっている。森保監督としても悩んでいるはずだ。

前線はワントップに大迫、その後ろに右から堂安、南野、中島が並ぶ形で決まり。新しい日本代表の顔として注目を集める彼らがアジアの舞台でどれだけ力を見せられるかは注目だ。ただ、気になるのは、彼らが止められて苦しいときにどうやって流れを変えるのか、ベンチに切り札がいないこと。原口も好調時のプレーには程遠く、現状は選手層が薄く見える。

日本の力を考えれば、ベスト8までは問題なく勝ち上がれる。問題はそこから。アジアの舞台では常に優勝を狙ってほしいけど、オフ明けで臨む国内組のコンディション調整の問題もあるし、今は期待と不安が半々だね。

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