今季はフレッシュな若手の活躍に期待したいと語るセルジオ越後氏

アジア杯の熱戦が続くなか、Jリーグ各クラブが続々とキャンプをスタート。

今オフの移籍市場は例年以上に動きが多く、主力選手の引き抜きも相次いだ。なかでも台風の目は神戸。元スペイン代表FWビジャを獲得したのに続き、C大阪からMF山口、鹿島からDF西、G大阪からDF初瀬と、日本人の実力者を獲得した。

イニエスタとポドルスキ、ふたりのスターを抱える神戸の課題は、周囲の日本人選手のレベルアップ。以前から僕はそう指摘してきたけど、昨季のリーグ10位という低調な結果を受け、ようやくチーム全体の底上げに動いた格好だ。

特に、昨季52失点(リーグ13位)と課題を残した守備の改善には、新加入の日本人選手たちに大きな期待がかかる。イニエスタをはじめ神戸の助っ人たちは、運動量の多さで勝負するタイプではない。そもそも守備が得意というわけでもない。彼らの高い技術、攻撃力を生かすために周りがどこまで汗をかけるか。山口などはここで活躍すれば、日本代表復帰も見えてくる。ぜひそこを目指して頑張ってほしい。

神戸の不安材料を挙げるなら、監督、スタッフを含めて日本人と外国人が一体になれるかどうか。いくらスター選手だからといって特別扱いをしすぎ、さらに結果が出なかったら、どうしてもチームの雰囲気はぎくしゃくするからね。

そういう意味で、昨季途中から指揮を執るスペイン人のリージョ監督の手腕に注目だ。材料は集まった。あとはシェフがどう調理するか。メンバーの顔触れを見れば、少なくとも優勝争いに絡むことがノルマになる。

大型補強といえば、今季も浦和が多くの選手を獲得した。C大阪からFW杉本、横浜FマからDF山中、柏からDF鈴木、さらにブラジル人のMFエヴェルトン。でも、彼らのうちレギュラーポジションを奪える選手がどれだけいるだろうか。

浦和は毎年多くの選手を獲(と)るけど、ほとんど出番を得られないままチームを去る選手も多い。フロントやスカウティングに問題があるように見える。いずれにしても、全タイトルを狙うべきビッグクラブの補強としては物足りなさを感じるね。

また、昨季アジア王者の鹿島も気がかり。DF昌子、西が移籍し、MF小笠原が引退。クラブの顔ともいうべき3人がチームを去った。それなのに、補強は地味で戦力ダウンは否めない。特に、守備の要である昌子の抜けた穴は大きく、心配だ。若返りを図るにしても、さらなる補強がなければ、Jリーグとアジアチャンピオンズリーグの両方のタイトルを狙うのは難しい。

その点、昨季王者の川崎はC大阪からMF山村、さらにブラジル人選手を3人と堅実な補強をしている。なかでもロンドン五輪得点王でブラジル代表歴もあるFWレアンドロ・ダミアンには注目。昨季得点王のジョー(名古屋)くらいの活躍を見せるかもしれない。

さて、Jリーグでは昨季、川口、楢崎、中澤、小笠原ら、誰でも顔と名前を知っている大物が相次いで引退した。それだけに今季はフレッシュな若手の活躍に期待したい。

例えば、今季から鹿島で背番号10をつけるFW安部はスピード、体の強さ、技術があり、気持ちも強い。早く日本代表で見たい選手のひとりだ。すでに代表で活躍している中島や堂安と比べても、そんなに見劣りするとも思わない。同僚のFW鈴木と共に、もっともっとアピールして、Jリーグを盛り上げてほしいね。

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