サッカー選手にとって大事なことは、所属クラブで継続的にプレーできるかどうかだと語るセルジオ越後氏

今季のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)が開幕した。Jリーグからは川崎、浦和、広島、鹿島の4チームが出場。各チームとも今季のJリーグのスタートでもたついているけど、アジアの舞台ではどんな戦いを見せてくれるか。一昨季の浦和、昨季の鹿島と、ACLでは日本勢の優勝が続いているだけに、今季も大いに期待したい。

また、今季のACLは、海外クラブに所属する新旧の日本代表選手たちの存在も気になるね。東地区ではオーストラリアの本田(メルボルン)、タイの細貝(ブリーラム)。西地区ではカタールの中島(アル・ドゥハイル)、UAEの塩谷(アル・アイン)。なかでも僕が注目するのは、森保ジャパンのレギュラー格である中島だ。

中島はこの冬、ポルトガル(ポルティモネンセ)からカタールに日本人史上最高の移籍金(約44億円)で移籍。そして、その決断について賛否両論がある。

カタールリーグのレベルは未知な部分が多いけど、ポルトやベンフィカなど欧州チャンピオンズリーグの常連がいるポルトガルよりも下だろう。今後のキャリア形成という点でも、欧州のトップクラブへの移籍は、ポルトガルにいたときよりも難しくなった。それをもって今回の移籍を"都落ち"だと残念がる声は多い。

また、すでに新天地で試合に出て、ゴールも決めているのに、テレビや新聞などで取り上げられる機会は以前よりも減った。カタールまで取材に行くメディアが少ないこともあり、世間の注目度は明らかに低下した。

でも、個人的な意見を言えば、継続的に試合に出て、結果を残しているのであれば、中東だからダメだとは思わない。サッカーは看板でするものじゃないからね。欧州の有名クラブでベンチにくすぶっているよりもはるかにいい。地元開催の2022年W杯に向けて、モチベーションがどんどん高まっている国でプレーするのも悪くないんじゃないかな。

かつてJリーグにも、強豪国の現役バリバリの代表選手がたくさんいた。ストイコビッチやドゥンガはJリーグでプレーしながら、代表チームで主将を務めていた。中島だってカタールにいても、プレーのレベルを保つことは可能だろう。

繰り返しになるけど、サッカー選手にとって大事なことは、所属クラブで継続的にプレーできるかどうか。逆に言えば、たとえ欧州にいても、ベンチ暮らしを続けている選手は代表に呼ばれる資格はない。

中島は年明けのアジア杯を故障で欠場したものの、それまで森保ジャパンではレギュラーだった選手。カタールで試合に出ているのであれば、今月末に行なわれる日本代表の親善試合(22日vsコロンビア、26日vsボリビア)には呼ぶべきだし、たぶん森保監督もそう考えているはず。そこで彼のパフォーマンスをチェックすればいい。

カタールリーグのスタジアムがガラガラなことには僕も驚いたけど、ポジティブに考えれば、満員のお客さんの中でプレーできる日本代表の試合は、中島にとって今まで以上に楽しみなものになるんじゃないかな。

6月のコパ・アメリカ(南米選手権)にはカタール代表も出場するので、欧州組と違って中島はスムーズに招集できるはず。そこで彼がどういうプレーを見せられるかに注目したい。

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