すでに日本のグループ1位通過は決まったようなものだと語るセルジオ越後氏

カタールW杯アジア2次予選で日本代表がモンゴル、タジキスタンに連勝した。

ホームでのモンゴル戦は一方的な展開で6-0の快勝。相手にシュートを1本も打たせなかった。予想はしていたけど、レベルの差が大きすぎてチームとしての課題は何も見えなかったね。

続くアウェーでのタジキスタン戦は2連勝同士で迎えた首位攻防戦。試合に備えて2週間に及ぶ合宿を行なった相手に対し、日本は10時間以上の長距離移動を強いられ、時差も4時間。さらにモンゴル戦から中4日の厳しい日程、ピッチは慣れない人工芝と、厳しい条件が揃った。

そのせいもあってか、前半の日本はなかなかギアが入らず、重たい試合展開になった。ただ、それでも後半はペースを握り、南野の2点で勝負は決した。最後の浅野のゴールはおまけみたいなものだ。

タジキスタンの選手は線が細く、高さもない。日本が2点を奪っても前がかりになることはなく、失点を最小限にしようという守備的な戦い方をしていた。その意味で日本は前半からもっと積極的にプレーしてもよかった。アウェーで少し慎重になりすぎたかもしれない。

次は11月にキルギスタンと対戦するけど、レベル的にタジキスタンと大差ないはず。すでに日本のグループ1位通過は決まったようなものだ。

選手個々を見れば、柴崎のプレーに目がいった。自分の持ち味を出し、つねにゲームをコントロールしていた。モンゴル戦は相手が前に出てこないと見るや、高い位置にポジションを取って、攻撃でも守備でも効果的なプレーを披露。

タジキスタン戦では少し下がった位置でボールによく絡み、大事な場面ではしっかりとラストパスを出していた。本人にすれば、このレベルの相手なら当たり前と思っているかもしれないけど、格の違いを見せつけた。

逆にちょっと気になったのが中島。タジキスタン戦ではまったくキレがなかった。今までのようにドリブルで2人、3人と強引に抜いていくような場面は少なく、なんとかファウルをもらうだけ。シュートも1本も打ってないし、彼らしくなかった。

森保監督の采配については、勝って当然の相手だけに評価が難しい。ただ、不動のメンバーでチームの完成度を高めたい気持ちはわかるけど、もう少し新戦力の発掘をしたり、新しい組合せを探るなどして、全体の底上げを図ってもよかった。

例えば、この2試合に長友、吉田、柴崎はフル出場している。長友は33歳、吉田は31歳、ふたりともまだまだ元気で替えの利かない存在だけど、でも、だからこそ2次予選から彼らに頼り切りというのはどうなのだろう。

また、柴崎に替わってゲームをコントロールできそうな選手も見当たらない。ケガも怖いし、今の時期はもっと多くの選手にチャンスを与えるべきだ。

森保監督の慎重な性格を考えると、11月のアウェーのキルギスタン戦も今回とほぼ同じメンバーを招集すると思う。それは仕方ない。

でも、少なくとも来年行なわれる2次予選に関しては、ホームが3試合、アウェーの1試合もグループで最も力の落ちるモンゴル戦なので、この3人を無理にスタメンで使わなくていいし、ベストメンバーを呼ぶ必要もない。厳しい最終予選をにらんで、国内組や東京五輪を控えた五輪世代(現U-22代表)の抜擢もアリだと思う。

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