なんとか巻き返してほしいと語るセルジオ越後氏

年明け早々、残念なニュースだ。U-23アジア選手権兼東京五輪アジア最終予選(タイ)に臨んだU-23日本代表(五輪代表)が早々とグループリーグで敗退した。初戦のサウジアラビア戦の敗戦(1-2)を見て、これでは次のシリア戦も危ないなと思っていたけど、この結果はショックだし、情けない。

日本はパスをよくつなぎ、ボール支配率も高かった。でも、ドリブルやワンツーなど思い切った仕掛けがないから攻撃の形をつくれない。相手が引いて守っているのに、遠めからシュートを打つなどの工夫もなく、やみくもに突っ込むばかり。どうやって点を取るのか、意図や狙いが見えなかった。

そして、相手がボール際で激しく当たってくると、途端にバタバタとして落ち着きを失う。軽率なプレーでPKを与えたり、試合終盤に勝ち越し点を許したりと、同じミスを繰り返した。

オーバーエイジ(OA)、さらに大半の海外組が不在だった今大会は、招集された選手にとって、五輪本番に向けての貴重なアピールの場。でも、合格点をあげられるのは右サイドの橋岡(浦和)くらい。スタミナもスピードも高さも激しさもあって、苦しい試合のなかでもしっかり自分の役割を果たしていた。ポスト酒井宏樹といっていい。

でも、残念ながら、そのほかの選手は厳しい。はつらつとしたプレーもなければ、表情にも余裕がなかった。なぜあんなにプレッシャーを感じていたのか。理解に苦しむよ。

そして、そんな選手たちをほぐすのは監督の仕事だけど、森保監督の表情もさえなかった。シリアに負けた直後のインタビューで「勝負強さが足りない」と言っていたのも余裕のない証拠。選手に責任転嫁しているように聞こえた。選手交代を含めて、なるほどという采配も見られなかった。

もちろん、堂安(PSV)、久保(マジョルカ)、冨安(ボローニャ)らの海外組、さらにオーバーエイジが加われば、ガラッと変わるかもしれないという期待はある。でも、五輪本番まで半年しかないのに、まだチームの形が何も見えていないのは苦しい。このままではメダル獲得など夢物語だ。

打開策があるとすれば、3月の強化試合(27日・南アフリカ戦、30日・コートジボワール戦)だ。国際Aマッチデー期間に行なわれるので、選手の招集に制限がない。ここでオーバーエイジも含めた、本番を想定したメンバーを呼ぶしかない。相手は両国とも東京五輪出場を決めている。そういう相手にどういうサッカーができるか。

同期間には、A代表もW杯アジア2次予選(26日・ミャンマー戦、31日・モンゴル戦)があるけど、相手との力関係を考えれば、すでに最終予選進出は決まったようなもの。五輪代表優先の人選でなんら問題はない。

日本人はオリンピックが大好き。そしてせっかくの地元開催だというのに、今回の敗退について世間からは怒りの声があまり聞こえてこないし、メディアも冷めているように感じる。ほかの競技・種目と比べ、サッカーが期待されていない今の状況は本当に残念。なんとか巻き返してほしいね。

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