人気YouTuberとなった、元プロ野球選手の里崎智也

元プロ野球選手にして、人気YouTuberとなった里崎智也(さとざき・ともや)さん。

配信を始めたきっかけ、トークのネタ選び、今後のYouTube制覇!? などなど本人に直撃です!

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■ネット検索にはないものをネタにします!

チャンネルを増やして食レポや愛車自慢もスタート!!『里崎チャンネル』

――今や大人気の『里崎チャンネル』ですが、YouTubeを始められたそもそものきっかけというのは?

里崎 「ビックリマン」です。

――あのお菓子の?

里崎 はい。僕はビックリマンの"終身名誉PR大使"を務めてまして、日本記念日協会にも認定されてる4月1日の「ビックリマンの日」のPR企画で、「2019年はYouTuberになりましょうか」と言ってみたら、すんなり「そうしましょう」となったんです。

で、チャンネルを作ったんですけど、休眠させちゃって、高木豊さんに誘われて再始動させたのが去年の夏です。現在は先駆者である高木さん、片岡篤史さんのチャンネルとチームを組んで動いてます。

――当初から、「イケる」という手応えはありました?

里崎 ある程度は回るだろう、というのは最初からありましたね。ただ、すべてが想像以上で、「えっ、そんなに?」っていう驚きはありました。

これまで最もよく回った動画は、一軍と二軍の待遇差(78万回)なんですけど、配信するまでは「コレ、面白いんかな?」って僕の中でも半信半疑で(笑)。自分が嫌いだった球場を挙げていくみたいな動画(70万回)も意外によく回ってて、「わからんもんやなぁ」と思いながらやってます。

――「想像以上」の反響に、ご自身はどんな分析を?

里崎 やっぱり独自の見解で本音をしゃべるってところが今の時代に合ってたんじゃないですかね。有吉(弘行)さんやマツコ(・デラックス)さん、坂上(忍)さんあたりが人気なのも物事をハッキリ言われるから。

それに、なんでもスマホで調べられる時代だからこそ、検索にかからない野球ネタをみんなが欲してたのかなって気はします。球場のデータはすぐ出るけど、選手自身がそこでどんなことを感じていたかまでは載ってない。そういう部分を面白がってもらえたのかな、と。

――現在、プロ野球界からも続々OBが参戦しライバル急増中。危機感を抱いたりは?

里崎 それはまったくないですね。YouTube全体を見渡しても、うまくいってる配信は、ほとんどがそのジャンルの先駆者たち。目先の利益だけで後追いしてもあんまり長続きはしないと思うんです。

その点、僕はOBの中では豊さんに次ぐ「第2世代」ですし、登録者も現役のダルビッシュ(有)を除けば、一番多い。ネタもまだまだストックはありますから、自然に淘汰(とうた)されることはないんじゃないかな。

ただ、許諾の必要な映像素材を豊富に持ってるテレビ局が本格参入してきたら、さすがに脅威だとは思いますけど(笑)。

■動画配信は"枝"。仕事の一線は明確に

――聞けば、配信される動画は、構成もすべてご自身で手がけられているとか。

里崎 編集に関してはノータッチですけど、それ以外は全部僕がやってます。ネタのストックに関してはグループLINEの「ノート」機能でスタッフと共有してるんですけど、メモ書きレベルだから、僕にしかわからない。

なので、アシスタントの袴田(彩会)さんはいつも大変だと思います。「次、これしゃべるわ」って感じで、毎回ほぼノー打ち合わせでやってるので(笑)。

――構成作家のような技術はどこで学んだのですか?

里崎 「構成や動画をどうストレスなく見せられるか」ってとこは、テレビやラジオ出演の影響が大きいですし、「結論は最初に言う」みたいな話し方は、専属契約をしているニッカンスポーツの記者さんから教わったスキルが役立ってる。引退後にあらゆるメディアで仕事した経験が生かされていると思います。

あと、YouTubeの場合は、結果が明確な数字で見えるし、発言の責任も全部自分が負えばいい。そういうところも僕の性には合ってたんでしょうね。

――すべての責任が自分に来るとなると、普通だったら発言に躊躇(ちゅうちょ)もしそうですが。

里崎 あんまり気にしたことはないですね(笑)。「いつかは監督やコーチとして現場に戻りたい」みたいな願望があったら、そりゃ少しは気を使うかもしれませんけど、こっちからお願いしてまで戻るつもりはサラサラない。そもそもユニフォームを着るつもりがないから、誰に対しても忖度(そんたく)する必要がないんです。

もちろんこれがほかのメディアだったら、僕の言動ひとつで迷惑を被る人も出てきますから、守るべき一線はわきまえますけどね(笑)。

登録者数26万人オーバーの里崎さんの公式YouTubeチャンネル。プロ野球選手の「金銭感覚」や「プロ野球あるある」などなど。アシスタントの元東北放送アナウンサー、袴田彩会さんと共にバラエティ色強めのトーク動画を配信中。さらにサブチャンネルでは「食レポ」や、里崎さんが過去に乗り継いだ「愛車自慢」もあり、どちらも野球ファンがサクッと楽しめる内容ですよ!

――YouTubeでも不動の地位を築きつつある今、里崎さん自身が活動の軸足を、今後はネットにシフトするということも?

里崎 それはこの先も100パーセントないと断言できます。僕にとっては、あくまで野球評論家、解説者としての活動が仕事の"幹"。それ以外は、言ってしまえば、いずれ枯れる可能性もある"枝"なんです。今はその枝に偶然大きな花が咲いてるだけですから。

僕が動画で絶対に技術指導をしないのも、それが"幹"のひとつだって思いがあるからです。そもそも野球教室での技術指導はお金をもらってやるもの。それをタダのYouTubeで見せるのは、僕の野球教室に来た方に失礼ですよ。プロ野球で得た技術は、そんなに安くありません。

――まだまだ無限の可能性を秘めるYouTube。ご自身ではどんな野望を?

里崎 期待感を適度に持続してもらいたいので、配信は今後も変えずに「週5」ペース。その上で、サブチャンネルの実験的な企画や、埋もれてしまった"出し逃し"のネタを、空いた2日に随時挟み込んでいけたらいいかな、と。

視聴者からのコメントには全部目を通しているので、双方向性をうまく活用しながら、僕自身ももっと楽しみたいと思っています。

●里崎智也(さとざき・ともや) 
1976年5月20日生まれ 徳島県出身。
1998年に千葉ロッテマリーンズ入団。以降、千葉ロッテひと筋に活躍し、2014年に引退。19年に『里崎チャンネル』でまさかのYouTuberデビュー

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