『週刊プレイボーイ39・40合併号』では、48歳でプロ野球界復帰を目指す新庄剛志に密着する不定期連載『直撃! 楽しんじょう』の第1回を掲載

「もう一回、プロ野球選手になろうと思います」――。衝撃の現役復帰宣言から約10ヵ月、"球界のエンターテイナー"がついに日本に帰ってきた。

2週間の自主隔離生活を経て、12月のトライアウトへ向けて始動した新庄剛志(しんじょう・つよし)。『週刊プレイボーイ39・40合併号』(9月14日発売)では、不定期連載『直撃! 楽(たの)しんじょう』がスタート。インドネシア・バリから帰国後の生活、肉体の仕上がり具合、12月に予定されているトライアウトへの思いなども明かしている。

48歳でプロ野球復帰を目指す男が見た、現在の日本プロ野球とは? "番記者"インタビューマン山下が直撃! 

■柳田悠岐と山本由伸、そして......

――帰国後、プロ野球は見ていますか?

新庄 もちろん。いや、素晴らしいね。昔とレベルが違う。ピッチャーの球のスピードも違うし、変化球の曲がり方も変わってるね。

12月に予定されているトライアウトでは今まで見たことがない軌道の球を打たないといけないから、それをイメージしてバッティング練習をしないと。現役時代の軌道を脳が覚えているから、それが違うとものすごく不利なのよ。

――印象に残った選手は誰でしょう?

新庄 バッターでは福岡ソフトバンクホークスの柳田(悠岐)君、ピッチャーではオリックス・バファローズの山本(由伸)君がいいなと思った。

あとは東京ヤクルトスワローズの石川(雅規)君。「この子、まだ投げてるんだ」と思って。変化球の使い方のうまさとコントロールであそこまで投げられているんだよね。

■元同僚に語った「理想のコーチ像」

――現役の選手やコーチと話すことはありますか?

新庄 横浜DeNAベイスターズの坪井(智哉)コーチとは連絡を取ったりしてるよ。「今、チームは盛り上がってるの?」とか。

――坪井さんは阪神タイガース、北海道日本ハムファイターズ時代の同僚ですね。

新庄 そう。ツボにはコーチを長くしてもらいたいから、「俺が思ういいコーチ」の話をしたりしてる。コーチは技術を教えるんじゃなくて、メンタルの指導が大事。野球選手って選ばれて入ってくるんやから技術は基本みんなうまいやん。

――野球は競技人口が多いですけど、プロ野球選手はその巨大ピラミッドの頂点の人たちですからね。

新庄 結局は気持ちだから。「背中で見せなさい」ってよく言ってる。例えば、選手がケガをしないように練習前にコーチ自らグラウンド整備するとか。それを選手は見てるから。そうすると選手と信頼関係ができて、コーチのひと言が重くなる。

あとは「太らないように昼間にジョギングした方がいいよ」って言ったりしてる。自分を厳しく管理してると、選手に対する発言に説得力が生まれるから。

――確かに太ってる人に「体を絞れ」と言われてもね。

新庄 ツボはもう5年もコーチを続けているから、指導者としての姿勢がいいんじゃないの。

現役復帰宣言から約10ヵ月。日々のトレーニングの成果があり、動体視力や肩、スイングスピードなどは徐々に現役時代の状態に戻ってきているという

■"同級生"の元木大介がプロで曲者になったワケ

――新庄さんと同い年の元木大介さんも、現在は巨人のヘッドコーチをされてます。

新庄 大介は現役の時にレギュラーじゃなかったこともあったから、控えの選手の気持ちもわかるし、今まで苦労してきたことを選手に教えてると思う。去年の巨人の優勝は、大介のおかげだと俺は思ってるから。それくらい選手とコミュニケーションを取ってたんじゃないかな。

――バラエティ番組に出ていた時のイメージがあったので、元木さんがそんな名コーチだったとは驚きです(笑)。

新庄 いやいや、(元木)大介は俺の高校時代のスーパースターやからね。尊敬しかなかった。福岡ダイエーホークス(当時)の指名を断って、大学に行かずにハワイに1年間野球留学して巨人に入ったのもカッコいいなと思ったの。

俺にとってはものすごいホームランバッターなのに、プロに入ったら曲者とか言われ始めて。「え! 俺のイメージはどこにいったの?」って(笑)。

阪神タイガース時代から付き合いのあるインタビューマン山下(左)。新庄さんにはいつも「しげちゃん」と呼ばれている

――確かに高校時代とはガラッと変わりましたね。

新庄 それで大介に「なんで右打ちとかするようになったの?」って聞いたことがあったの。そしたら、ハワイでの1年間のブランクがすごく大きかったみたいで。

巨人に入団して練習してる選手たちを見たら、「全員4番バッターやん」と感じて、「俺が生き残るには曲者的な働きをすることだ」と決めたらしいのよ。

あれだけのスーパースターの大介でさえ、1年間のブランクでスタイルを変えたんやから。俺は何年ブランクあんねん!(笑)

――そこはあんまり考えないでおきましょう。(笑)。

新庄 そうやね。考えたらいかんね(笑)。

●新庄剛志(しんじょう・つよし)
1972年生まれ、長崎県対馬市出身(福岡県福岡市育ち)。1990年に阪神タイガース入団。2000年12月、日本人初の野手FA選手としてメジャーリーグに挑戦。ニューヨーク・メッツ、 サンフランシスコ・ジャイアンツで活躍。日本人初のメジャー4番、満塁本塁打、ワールドシリーズ出場の記録を持つ。現在は移住先のバリから帰国し、14年ぶりの現役復帰を目指している。最新刊『もう一度、プロ野球選手になる。』、公認応援歌『%1』が絶賛発売中。

■『週刊プレイボーイ39・40合併号』(9月14日発売)では、不定期連載『直撃! 楽しんじょう』の第1回を掲載!