クオリティの高い首位攻防戦を見られるのではという期待も大きいと語るセルジオ越後氏

GWの目玉だね。4月29日と5月4日に首位の川崎と2位の名古屋が中4日で2連戦を行なう。

本来、Jリーグで同一カードを続けて開催することはないし、シーズン後半に楽しみを残しておく意味ではちょっともったいない。アジア・チャンピオンズリーグの日程変更に伴うやむをえない判断ということだけど、なんとかできなかったのかなとは思う。

ただ、その一方で、好調な両チームがシーズン終盤の満身創痍(そうい)の状態ではなく、まだまだフレッシュな状態で対戦するわけで、クオリティの高い首位攻防戦を見られるのではという期待も大きいね。

昨季、独走で優勝を決めた川崎は、今季も相変わらずの強さ。「1試合3得点以上」という目標を掲げ、実際、圧倒的な攻撃力を見せて無敗をキープしている。

一方、昨季リーグ最少失点だった名古屋はその堅い守備にさらに磨きがかかった。Jリーグ新記録となる9試合連続無失点をマークするなど、着実に勝ち点を積み重ねている。「ウノゼロ(1-0の勝利)」は流行語になりそうな勢いだ。

高い個人技と流れるようなパスワークで攻めまくる川崎と、堅い守りから鋭いカウンターを仕掛ける名古屋、見応えという点では、両チームのサッカーは噛み合うと思う。

昨季のリーグ戦での対戦成績は1勝1敗。名古屋ホームでの1試合目は名古屋が1-0で守り勝ち、川崎ホームでの2試合目は川崎が3-0で攻め勝ち、ともにホーム戦で持ち味を発揮した。また、ルヴァン杯では2-2で引き分けとまったくの互角だった。

今回の2連戦も勝敗予想は難しい。ただ、川崎が2連勝すると5月上旬にして早々と優勝が決まるようなもの。川崎のファンには申し訳ないけど、シーズン全体の盛り上がりを考えるとそれは避けたい。名古屋からすれば1勝1敗では差が縮まらない。2連勝が理想だ。

フィッカデンティ監督就任3年目の名古屋は、ボール際の当たりが激しくなり、稲垣や中谷などA代表に呼ばれる選手も出てくるなど、着実にチーム力が上がっている。プレーや表情からも選手が自信をつけているのがよくわかるよね。

第10節の鳥栖戦で今季初黒星を喫したのは痛かったけど、川崎との直接対決を前にむしろ気を引き締め直せたんじゃないかな。

川崎相手には自慢の守備で粘るのはもちろん、攻撃の軸となるマテウス、ワントップに入るだろう長身の山﨑がどれだけ頑張れるかがカギを握ると思う。とにかくホームでの初戦をモノにして勢いに乗りたい。

一方の川崎は今季も変わらない。安定感抜群の後ろの3人(GKチョン・ソンリョン、DF谷口、ジェジエウ)、見ていて楽しいボール回し、そして、5人交代制をフル活用できるキャスティング。本当にいいチームだと思う。

その川崎のキーマンを挙げるならやっぱり右サイドの家長。彼は別格。川崎は特定の選手に頼るようなサッカーをやっているわけではないんだけど、それでも家長がいないと微妙にサッカーの質が変わる。あとは今季絶好調のレアンドロ・ダミアンだね。川崎も初戦をモノにしてさらに優位に立ちたいところだろう。

GWにふさわしい首位攻防戦を堪能しよう。

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