4チームがJ2に降格する今季は、例年以上に残留争いが注目を集めると思うと語るセルジオ越後氏

Jリーグもいよいよ終盤戦。首位の川崎は今夏に主力の三笘(みとま)、田中 碧(たなか・あお)が移籍し、さらに守備陣にケガ人も続出。過密日程が続くなか福岡に黒星を喫するなど、一時期、"らしくない"戦いぶりが続いた。でも、さすがは王者だね。昨季や今季序盤ほどの圧倒的な強さはないけど、再び着実に勝ち点を積み重ねている。

2位の横浜Fマは、7月、8月と一気に勝ち点を稼いで川崎に迫ったものの、こちらも守備陣にケガ人が相次いでペースダウン。現時点で首位・川崎との勝ち点差は12。いくらJリーグは何が起こるかわからないリーグとはいえ、さすがに逆転は難しそうだ。最終節の両チームによる直接対決を楽しみにしていたけど、それより前に優勝が決まるかもしれないね。

その意味で、優勝争いより面白そうなのは、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)への出場権を得られる3位の座をかけた争いだ。神戸(勝ち点57)、名古屋(同57)、浦和(同54)、鹿島(同53)、鳥栖(同51)の5チームが勝ち点差6の中にひしめき合っている。まだ直接対決も残っているし、最後までもつれると思うけど、有力なのはやはり神戸と名古屋かな。

今夏にエースの古橋が移籍した神戸は、代わりに加入した選手たちがしっかりと結果を出している。特に、ネームバリューありきの獲得だと思っていたボージャンにはいい意味で驚かされた。動きにキレがあり、さすが元バルセロナというプレーを見せている。武藤も3試合連続ゴールと好調だし、あとは大迫(おおさこ)の爆発待ちという感じだ。

補強にお金を使ったチームが結果を出すのはいいこと。話題性という意味でもJリーグ全体にとってプラス。来季のACL出場が決まれば、オーナーの三木谷さんはさらなる大型補強に動くかもしれない。個人的には、ダニエウ・アウベス(元バルセロナ、現在フリー)を獲(と)ればハマると思うんだけど、どうかな。今の神戸にはそういった、ほかのチームにはない楽しみがある。 

一方の名古屋も、ACLをはじめカップ戦もしっかり勝ち上がりながら、Jリーグでも手堅いサッカーを見せている。悪くないシーズンだね。GKランゲラックを中心とした堅い守備は大崩れしないので、あとは課題の攻撃陣次第。

7月に加入した現役ポーランド代表FWのシュヴィルツォクが額面どおりに活躍できるか。カップ戦も含めた過密日程は気になるけど、フィッカデンティ監督の腕の見せどころだ。

シーズン中盤から徐々に調子を上げてきた浦和は、31節の神戸戦の大敗(1-5)が痛かった。懸案だった世代交代を進め、若い選手たちが頑張っているけど、まだまだ発展途上。試合運びが不安定で、攻撃もパンチ力不足。勝負は来季以降じゃないかな。

鹿島は、エースのエヴェラウドの不調が大きく響いている。ゴールを量産した昨季の面影がまるでない。また、中盤のレオ・シルバも以前ほど目立たなくなっている。勝ち方を知る、粘り強さが身上のチームとはいえ、さすがに今季は苦しい。鳥栖もここまで健闘しているけど、これ以上は厳しそう。

優勝争いの行方もほぼ見えているし、4チームがJ2に降格する今季は、例年以上に残留争いが注目を集めると思う。でも、リーグ終盤の見どころがそれだけではちょっと寂しい。各チームとも頑張って、3位争いも最後まで盛り上げてほしいね。

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