「不動のメンバー」に戻すようなら苦戦するだろうと語るセルジオ越後氏

ノルマは2連勝で勝ち点6を獲得すること。それしか考えられないね。

カタールW杯アジア最終予選のアウェー2連戦、ベトナム戦(11日)、オマーン戦(16日)が迫ってきた。日本はここまで4試合を戦って2勝2敗と苦戦中。本大会出場のためにはもう1試合も落とせない。森保監督もいつ解任されてもおかしくない状況だ。

最初に対戦するベトナムは4連敗で最下位に沈んでいる。試合を見ると、よく走るけどプレーの精度が低く、荒っぽいファウルも多い。自分たちよりもレベルの高い相手に守ってカウンターを狙うのではなく、真っ向勝負を挑んでいる。だから、失点も多いけど(10失点)、得点も多い(4得点)。

彼らにとっては初めての最終予選の舞台ということで、自分たちのサッカーがどこまで通用するのかを試している感じがするね。

ただし、B組の中では一番弱いと断言していい。日本にとっては、普通に戦えば勝ち点3を計算できる相手だ。得失点差を考えると、大量得点を奪っておきたい。

続くオマーン戦は、初戦で負けたリベンジはもちろん、直接対決で勝って順位を上げるためにも重要だ。オマーンは11日の中国戦が隣国UAEでの開催となり移動の負担が少ない。前回同様にカウンター狙いで、暑さのなか、日本の運動量が徐々に落ちることを想定して、後半勝負を仕掛けてくるんじゃないかな。

とはいえ、日本も初戦当時より選手個々のコンディションは上がっている。あのときは東京五輪組、海外組、国内組、それぞれの状態がバラバラで、なおかつ十分な準備期間がないまま試合に臨んだ感じだったからね。ベトナムに気持ちよく勝てれば、疲れもあまり感じないはずだ。

注目したいのは森保監督の采配。10月のオーストラリア戦では、システムをそれまでの4-2-3-1から4-3-3に変え、中盤に田中碧、守田を起用した。結果は最終予選初出場の田中碧が攻守に貢献し、先制点まで決めた。途中交代で決勝点となるオウンゴールを誘発した浅野もそうだけど、森保監督が抜擢(ばってき)した選手が活躍したわけだ。

迎えた今回、どういう選手を先発に起用するのか。当然ながら、所属クラブで点を取っている選手、調子がよくて試合に出続けている選手、そういう選手を積極的に使ってほしい。そうした状況を無視して再び"不動のメンバー"に戻すようなら苦戦するだろう。

彼らの経験や実績はリスペクトすべきだけど、代表戦はコンディションや試合勘を整える場所じゃない。また、チーム内に競争がなければ、選手層は厚くならない。最終予選は来年3月まで続く。故障や出場停止の可能性もあるし、来年の本大会を考えても、特定の選手に頼らないチームづくりが求められるのは言うまでもない。

例えば、森保監督はオーストラリア戦の後半40分に守田に代え、前の試合でミスをした柴崎を投入した。あれは「競争だから先発から外したけど、まだチャンスはあるよ」というメッセージ。柴崎も意気に感じたはずだ。いい采配だったと思う。

2連勝すれば、年末年始を気持ちよく過ごせる。一方、勝ち点6を取れなければ、森保監督が解任され、次の監督は誰になるのかと落ち着かない状況になりかねない。まさに天国と地獄。本当に頑張ってほしいよ。

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