Jリーグがいきなり最初の山場を迎えていると語るセルジオ越後氏

川崎、横浜Fマ、神戸、浦和のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)出場組は開幕から週2試合ペースで直接対決を含む5連戦。Jリーグがいきなり最初の山場を迎えている。

今回は開幕節で目についたチームを挙げよう。まず3連覇を目指す川崎。前線から積極的にプレスをかけるFC東京に押し込まれるも、GKチョン・ソンリョンがナイスセーブを連発。そしてエースのレアンドロ・ダミアンが技ありの見事な決勝点。王者らしい、さすがの試合運びだった。

昨季海外移籍した三笘(みとま)、田中 碧、旗手(はたて)の穴はまだ埋められていない。谷口とコンビを組むCBジェジエウの故障不在も痛い。今季は昨季、一昨季のような独走優勝は難しいと思う。ただ、選手層は若干薄くなったものの、各ポジションに軸となる選手がいるので、大崩れすることはなさそうだ。

川崎以外のACL出場組3チームはいずれも勝ち点3を逃した。なかでも僕が気になったのは神戸。扇原(おうぎはら)、山口、サンペールと3人並べたボランチがうまく役割分担できておらず、中盤が機能していなかった。2トップの大迫、武藤はほぼノーチャンス。名古屋に0-2と完敗した。

昨季、横浜Fマで素晴らしいプレーを見せた扇原が加わり、どんなサッカーを見せてくれるかと注目していたんだけど、ちょっと期待外れだったね。イニエスタが戻ってどう変わるか。個人的にはもっと扇原に自由にやらせてみたいけど、中盤のベストな組み合わせを見つけるまで少し時間がかかりそうな印象。フェルマーレンの抜けた最終ラインの層の薄さも不安材料だ。

一方、最高のスタートを切ったのは昨季4位の鹿島。G大阪相手に3-1で快勝した。前半38分に相手のFWパトリックが退場になったのが大きかったね。あれは審判の判定ミスでパトリックが気の毒だったけど、鹿島にとってはラッキーだった。

ただ、それでも、2トップを組む上田と鈴木がそれぞれ2得点、1得点と、結果を出してほしい選手がしっかりと結果を出したのはよかった。

特に上田の1点目はパスを呼び込む動きも、シュートの精度も威力も素晴らしかった。1月の日本代表候補合宿でもいいプレーを見せていたようだし、オフに結婚したことで精神的にもいい状態にあるんじゃないかな。今後もコンスタントに活躍できれば、日本代表の不動のメンバーを脅かす存在になる。鈴木と共に注目したい選手だ。

チームとしては、攻撃陣が早くも期待どおりのプレーを見せてくれたので、あとは課題の守備陣がどこまで頑張れるかだね。

最後に、注目を集めている高卒ルーキーのMF松木(FC東京)にも触れておきたい。開幕節の川崎戦ではスタメン出場を果たし、惜しいミドルシュートを放つなど、後半途中に交代するまで攻撃面で存在感を発揮。物怖じしていない感じもよかった。こういう話題性のある若手が出てくるのは、Jリーグ全体にとってプラスだ。

ただ、僕に言わせれば、彼はもっとやれると思う。そのためには、まずチームとして松木がボールに触る機会を増やしたい。

FC東京の攻撃はディエゴ・オリヴェイラとレアンドロのふたりを経由して始まることが多く、川崎戦でも松木にボールがなかなか回っていなかった。そこが課題。その上で彼がどれだけできるか見たいね。

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