日本代表について語った宮澤ミシェル
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第２４３回。
現役時代、Ｊリーグ創設期にジェフ市原（現在のジェフ千葉）でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したことや、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。
今回のテーマは、日本代表について。いよいよ大一番、オーストラリア戦が迫ってきた日本代表。「リードを許した状態で終盤を迎える」ということも想定した中で、宮澤ミシェルが招集を推す選手を挙げた。
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さあ、いよいよ日本代表のＷ杯カタール大会に向けた大勝負が近づいてきたよ。
Ｗ杯アジア最終予選は、３月２４日（木）に敵地でオーストラリア戦、３月２９日（火）に埼玉スタジアム２００２でベトナム戦が行われる。この２試合に向けての日本代表メンバーが発表されるのは、３月１６日（水）。冨安健洋（アーセナル）が招集できるのかは気がかりだよな。それ以外のメンバーは誰が選ばれるのか。まあ、いつもと顔ぶれは変わらない気はするんだけどさ（笑）。
でも、それは当然なんだよな。もしオーストラリア戦に負けることがあれば、勝ち点で並ばれてしまう。そうなったら、得失点差で順位はオーストラリア代表が上に行かれちゃうからね。
そのうえで、最終戦での勝負になるんだけど、オーストラリア代表の最終戦の相手はアウェイでサウジアラビア代表。普通にやればオーストラリア代表にとって簡単な試合じゃない。
だけど、サウジアラビア代表がその１試合前の中国戦で出場権獲得を決めちゃうと、どうなるかわからないんだよな。サウジアラビア代表のホームでやるから、有終の美を飾るためにベストメンバーで臨むと思うけど、本大会に向けて若手を登用するってこともありえるからね。
そうなると日本代表が最終戦でベトナム戦に勝利しても、オーストラリア代表が最終戦で勝てば、日本代表はグループ３位。それでＷ杯の道が途絶えるわけではないんだけど、アジアのプレーオフに勝って、さらに大陸間プレーオフを勝つっていうのは、Ｗ杯最終予選よりも厳しくなるのは間違いないからね。それは避けたいよな。
メンバー選考で新たな選手を加えるのはロマンがあるけど、計算が立たないリスクはあるからね。この土俵際での大一番にそれをやるべきかと言えば、やっぱりリスクは回避するべきだと思うよ。
それでもスクランブルに備えたメンバーを入れておくのは必要だよな。オーストラリア代表に１点リードされたまま試合終盤になったときに、どうやって点を獲るか。最悪、引き分けに持ち込めば、最終戦勝負になるからね。
パワープレーとなればコンビネーションは必要ないから、ゴールを決めることにアグレッシブな選手を呼びたい。そうなると鈴木優磨（鹿島アントラーズ）はうってつけだぞ。１８５ｃｍあるから高さでオーストラリア代表に引けは取らないし、シュートへの貪欲さは日本選手で屈指だからね。森保（一）監督が視察した３月１１日のヴィッセル神戸戦でも地を這うような弾丸シュートを叩き込んでいるから、きっと森保監督のメモには名前が記されたんじゃないか？
上田綺世（鹿島）もいいよな。今季は鈴木優磨とふたり揃って鹿島で出ているけど、スケールの大きなプレーは相変わらず。簡単なシュートを外す印象だけど、とんでもなく難しいゴールは決める。そういう選手は厳しい相手とやると、いい仕事をしたりするんだよ。
パワープレーというと高さで前線に起点をつくる攻撃の形が思い浮かぶけど、相手は高さがあるチームだから、それが通じない可能性もある。鈴木優磨にしろ、上田綺世にしろ、高さだけではなく、足元もうまい選手だからその点で不安はないよな。
ただ、オーストラリア代表の弱点を突くと考えれば、スピードや個人技で揺さぶるのも手だよな。オーストラリア代表はＤＦラインの足が止まったときに失点するケースがあるからね。
その点で言えば、本当は古橋亨梧（セルティック）なんだけど、故障中で呼べないんだよな。それは痛いんだけど、奥川雅也（ビューレフェルト）を呼ぶのはおもしろいだろうね。
今季はブンデスリーガで８得点。ＤＦライン間でボールを受けてドリブルで仕掛けられて、左右の足からシュートが打てるし、大柄な選手に囲まれても持ち味を発揮できる。スペースに走り込むだけの選手だとコンビネーションが求められるけど、個人技で行けちゃう選手だから、初招集でも何とかなるタイプじゃないか。ただ、気がかりなのは右太ももの負傷の状態だよな。軽度なら代表に呼ばれても不思議はないよ。
誰が選ばれるのかは興味深いけど、泣いても笑ってもＷ杯アジア最終予選はこの２試合で最後。日本代表には精一杯やってもらうしかないし、我々は勝利を信じて必死に応援しましょうよ！
