そろそろ南野や久保などほかの攻撃陣の選手の奮起にも期待したいと語るセルジオ越後

昨年9月にスタートしたカタールW杯アジア最終予選もいよいよ残り2節、現在B組2位の日本は、同3位のオーストラリアとアウェーで対戦する。日本にとっては勝てば本大会出場が決まる大一番だ。

攻撃力、決定力が急にアップすることはないし、日本はこれまでどおりに守り重視のサッカーで臨むはず。一方、この試合に勝たないといけないオーストラリアは是が非でも先制点が欲しい。前半早々から前がかりになって攻めてくるだろう。

日本は冨安の不在が痛いけど、それでもアジアの戦いにおいては守備がストロングポイントであることは変わりない。吉田を中心に粘り強く守れるかにかかってくる。

日本が一番怖いのは、やっぱりオーストラリアの体の大きさとフィジカルの強さ。古い話になるけど、2006年ドイツW杯で対戦したときもドカンドカンとロングボールを放り込まれて派手な逆転負けを喫した。

試合後、ジーコ監督(当時)が「日本には高さがない」と嘆いて、「今それを言う?」と思った人もいただろう。その後の対戦でも、毎回のようにパワープレーを仕掛けられ、ケイヒルにいいようにゴールを決められたものだ。

でも、最近のオーストラリアは、昔と違ってパスをつなぐサッカーをやろうとする。昨年10月の対戦でもそうだったよね。

リードした日本が引いて守っていても、パワープレーを仕掛けてくることなく、最後までパスで崩そうとした。あれは日本からすれば守りやすい。今回もそうしてくれるとありがたいけど、どうなるかな。

以前のオーストラリアは欧州の四大リーグでレギュラーとして活躍するようなスター選手がゴロゴロいた。でも、今は選手たちの所属するリーグ、チームのレベル、格はずいぶん小粒になった。率直に言って、昔ほど怖くない。日本がW杯本大会での勝利を目標にするのであれば、たとえアウェーでも負けてはいけない相手だろう。

日本のキーマンはなんといっても4戦連続ゴール中の伊東だね。まあ、僕に限らず、どの解説者に聞いてもそう答えるんじゃないかな。

彼はここまでの最終予選でそれだけ素晴らしい活躍を見せている。スピードばかり注目されるけど、クロスもシュートも精度が高い。得点への意識もある。彼がいなければどうなっていたかわからないし、メディアももっと高く評価すべきだ。

今回の試合も、前がかりでくる相手の最終ラインの裏を伊東がうまく突ければチャンスが生まれる。そこはチームとして狙いたい。

ただ、逆に言えば、オーストラリアも「伊東さえ抑えれば日本の攻撃は怖くない」と徹底マークをしてくるはず。当然だよね。だからこそ、そろそろ南野や久保などほかの攻撃陣の選手の奮起にも期待したい。

残念ながら、この試合は地上波でのテレビ中継がない。事前の露出も少なく、大一番の割に世間の注目度はいまいち。また、それ以前に最近は代表戦の視聴率が低迷するなど、サッカー人気の低下も指摘されている。僕自身もそれは実感するし、なんとも寂しい状況だ。

今年11月開幕の本大会は地上波でも中継をやるそうなので、ぜひオーストラリアにすっきり勝ってW杯出場を決め、「本大会でも期待できそうだな」と思わせてほしいね。

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