期待するJ2リーグの選手たちについて語った宮澤ミシェル
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第245回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したことや、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、J2リーグで注目の選手たちについて。J2からステップアップし、J1で活躍する選手が増えている中で、今後が期待されるJ2の選手たちを宮澤ミシェルがピックアップして紹介する。

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最後の最後で魅せてくれたよな! 日本代表が7大会連続でのW杯出場を決めたけど、ここまでの道中を振り返ればシンドい試合が多かったけどさ、ここからはもう11月のW杯本大会に向けて一直線で突き進めるからね。

その第一歩がこの記事が公開される夜に行われるベトナム戦だよ。プレッシャーから解き放たれた日本代表が、縦横無尽にピッチを駆け回ることを楽しみにしているよ。

その日本サッカーがもっと盛んになっていくためには、やっぱり国内リーグの盛り上がりは不可欠。だから、今回はJリーグ、しかもJ2リーグで気になっている選手を紹介しようと思う。

なぜJ2かといえば、J2からJ1へとステップアップする選手が増えていて、今季もJ1で多くのJ2経験者が活躍しているわけですよ。『個人昇格』という言葉も定着しつつあるくらい。それにさ、この層の選手たちがレベルアップしていくことが、Jリーグをより魅力的なものにするのは間違いないからね。

最初に取り上げるのはアルビレックス新潟の背番号10を背負う本間至恩(ほんま・しおん)。新潟のアカデミー育ちで、2000年生まれの21歳は毎年のように個人昇格が噂されているけど、今年もクラブに残ってくれた。移籍するのと同じように、クラブ一筋を貫くのも大切なことで、そこを選手たちがどう判断するか。そこを含めて選手を追いかけると興味深いんだよ。

本間は去年は怪我などもあって苦戦したけど、今年は間違いなくいいよ。それだけにチームとしてJ1昇格が理想だけれど、それができないときはもうJ2での本間は卒業でいいんじゃないか? そろそろJ1の舞台で見たい選手だよ。

あのドリブルは間違いなくJ1でも通用するよね。細かくボールタッチしながら相手DFの重心の反対側にスルスルっと出ていく。止められないんだよ、ああいうドリブルって。FC東京あたりは狙っているんじゃないか? FC東京の監督は、去年まで新潟で指揮をとったアルベルト・プッチ・オルトネダ監督で、本間のプレースタイルを理解しているからね。

本間が移籍を決断するかどうかはチームの成績次第だろうな。今季は開幕直後に引き分けが続いたけれど、第5節・第6節に2連勝。これで本来の調子をつかんで順位をグッと押し上げていければ、クラブを昇格させようっていうモチベーションが高まるだろうからね。クラブやサポーターは本間と一緒にJ1へって想いがあるだろうから、それが実現するシーズンになるといいなと思っているよ。

町田ゼルビアにもおもしろい選手が、両サイドにいるんだよ。それが主に右サイドのアタッカーで使われる太田修介と、背番号10を背負う平戸太貴。

太田は突破力もあるし、決定力もある。第6節までに4試合でスタメン出場してシュート4本で2得点だからね。ドリブルで仕掛けてサイドからチャンスメイクするだけのタイプではないから、相手にしたら怖い存在だよ。

平戸はパスがさばいて前に出て行けるだけじゃなく、ドリブルもできるし、スピードもJ1で十分にやっていけるだけのものがある。なによりゲームを読む力がある気がするね。流れのなかでプレーもできるし、自分でゲームの流れもつくれる。こういう特性を持った選手は多くないから貴重だよ。

26歳の太田は日体大から2018年にヴァンフォーレ甲府に進んで、2021年から町田だけど、まだ1度もJ1は経験していないんだよ。24歳の平戸は鹿島ユース育ちで2019年途中から町田でプレーしているんだけど、J1経験は鹿島時代にあるにはあるけど、リーグ戦1試合とカップ戦2試合だから、まあ、ないって言っていいよな。両選手とも町田を昇格させて、来年はレギュラーとしてJ1でプレーする姿を見せてもらいたいね。

個人昇格というとFC琉球っていうイメージもあるんだけど、だいぶ選手が出ていったから、今季はどうだろうね。今季から期限付きで加入したFW草野侑己は、横浜FC時代にJ1でリーグ戦12試合に出たことがある選手だけど、どういう成長曲線を描いてくれるのか注目したいなと思っているよ。

草野の保有元である横浜FCはというと、個人昇格どうのっていうレベルじゃないメンバーが揃っているんだよな。今季から齋藤学(前名古屋)、長谷川竜也(前川崎)、小川航基(前磐田)が加わっているけど、去年からプレーする渡邉千真や伊藤翔もいるからね。少し前までJ1でバリバリプレーしていた選手たちが集結しているんだよ。

これだけ攻撃的なポジションに選手を揃えているだけあって、今季の横浜FCの試合はよくゴールを決めるね。その分だけ失点も多いんだけどさ(笑)。でも、アグレッシブにゴールを狙いにいくスタイルは、見ていて楽しいからね。J1復帰を目指してこの戦い方を最後まで貫き通してほしいよ。

まだちゃんとチェックできてないチームもたくさんあるんだけど、日本代表がW杯出場権を獲得したので落ち着いてJリーグを観られるようになるから、ここからしっかり見て、また気になる選手が現れたら報告しますね。ここで取り上げた選手がそのことでさらに奮起してもっといいプレーを見せてくれたら、それが私にとって最高の喜びでもあるからね。

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