日本がグループリーグ突破を目指すなら、やはり守備を固めるしかないと語るセルジオ越後氏

カタールW杯本大会の組み合わせが決まった。E組に入った日本は初戦でドイツ、2戦目にコスタリカかニュージーランドの大陸間プレーオフ勝者、3戦目にスペインと対戦することになった。

W杯優勝経験のあるドイツ、スペインと同じ組に入ったことで「死の組」と評する声もある。日本の立場からすればそのとおりだ。でも、ドイツ、スペインにとっては死の組でもなんでもない。むしろラッキーな組み合わせだ。

ほかのアジア勢を見ると、イランはイングランドと欧州予選プレーオフの勝者、サウジアラビアはアルゼンチンとメキシコ、韓国はポルトガルとウルグアイと戦う。地元のカタールもくじ運に恵まれた感じはしない。どこも強い相手ばかりで大変だよね。

日本は今回で7大会連続のW杯出場。海外でプレーする選手も増え、レベルは上がっていると思うけど、世界も同様にレベルアップしているんだ。結局、W杯ではどんな組み合わせになっても、日本を含むアジア勢にとっては死の組になるということ。だから、そんなにガッカリする必要はない。

実際、過去のW杯でも「ラク」と言い切れる組み合わせなどなかったけど、2002年、10年、18年とグループリーグを突破しているのだから。前回ロシア大会の初戦のコロンビア戦のように、相手がいきなり退場者を出すこともある。何が起こるかわからないのがサッカーの魅力だよ。

とはいえ、今回は波乱が起きにくい大会になりそうだね。通常、W杯は6、7月に開催される。それが今回はカタールの暑さを考慮に入れた11月、12月開催。欧州や大半の選手が欧州でプレーする南米の強豪国にとっては大きなプラスだ。

6月開幕だと欧州各国のリーグが5月に終わるのでコンディション調整が難しい。長いシーズンを終えたばかりで、ボロボロの状態で大会に臨む選手も多かった。でも、11月開幕ならその心配はない。リフレッシュする期間もしっかり取れるし、シーズン真っただ中で体もキレている。

また、カタールは欧州との時差も少なく、今大会は選手交代枠が最大3人から5人に、登録メンバーも従来の23人から26人に増える方向だという。そうなると選手層の厚さがモノをいう。強豪国が有利になる条件がそろっているんだ。

初戦で対戦するドイツは前回大会でグループリーグ敗退。その後に進めた世代交代がうまくいっている印象だ。日本にはドイツでプレーしている選手も多いけど、代表選手の所属クラブを見れば、個の能力の差は歴然。また、昨夏の東京五輪で対戦したスペインも世代交代が順調で、ペドリをはじめ有望な若手が育っている。どちらも間違いなく手ごわい相手だ。

そうしたなかで、日本がグループリーグ突破を目指すなら、やはり守備を固めるしかない。日本のストロングポイントは守備。粘り強く守って、カウンターから数少ないチャンスを狙う。

最終予選で対戦したベトナムのようなサッカーだね。勝つのが当たり前だと思っている相手を、どこまでじらすことができるか。変に欲を出すことなく、引き分けに持ち込めれば十分。そして、コスタリカもしくはニュージーランドから勝ち点3を奪いたい。

森保監督は目標を「ベスト8以上」と掲げているけど、冷静に現状を分析すれば、僕はグループリーグを突破できれば上出来だと思う。

★『セルジオ越後の一蹴両断!』は毎週木曜日更新!★