こんな大会のためにJリーグの選手を消耗させたくないし、Jリーグ全体のスケジュールにも無理が生じている現状は残念と語るセルジオ越後氏

なんのためにやっているのか、よくわからない大会になってしまった。それが率直な感想だ。

Jリーグの4チーム(川崎、横浜Fマ、神戸、浦和)が出場しているアジアチャンピオンズリーグ(ACL)のグループステージが終わった。今回はJリーグ勢のプレーや結果どうこうよりも、大会の存在意義ばかり考えさせられたね。

まず一番気になったのはセントラル方式での開催。Jリーグ勢の入る東地区は高温多湿の東南アジアを舞台に、中2日で最大6試合をこなす超過密日程。事前にわかっていたこととはいえ、完全ターンオーバーできるような選手層を持つチームなんてないし、どのチームもかなりキツそうだった。川崎などは省エネなのか、プレーのテンポを明らかに落としていた。

今年はW杯イヤー。日本代表入りを目指す選手たちが疲労をため、故障しなければいいなとヒヤヒヤしながら見ていたよ。とにかく選手の負担が大きすぎた。

コロナ対策を理由にしたセントラル方式自体は昨年に続いて2季連続。でも、昨年と今年ではコロナの状況はだいぶ違う。しかも、スタジアムには普通にお客さんが入り、声出しもOK。地元の東南アジアのチームはたくさんの声援を受けていた。

全然中立地じゃないよね。サッカーの基本はあくまでホームアンドアウェー。セントラルでは面白さが半減してしまう。

また、出場チームのレベルのばらつきも目についた。Jリーグ勢が東南アジアや中国のチームに大差で勝っても素直に喜べない。特に中国勢はヒドかったね。コロナ対策ということでトップチームの選手は帯同せず、プレーしていたのは20歳以下の若手ばかり。相手にならなかった。

アジアサッカー連盟としては、競技の普及面や放映権料などを考えると、出場チーム数は多いほうがいい。でも、現状は国ごとの差が大きすぎて、大味な試合が多く、強化にもつながりにくい。

日本、韓国以外のチームはグループステージに参加するための予選をやったらいいんじゃないかな。チーム数を絞れば、見応えのある試合も増えるし、セントラル方式でももう少し余裕のある日程を組めると思うけどね。

ACLといえば、かつて浦和(2007年、17年)、G大阪(08年)、鹿島(18年)が優勝したときには日本でも大きく盛り上がった。そして、クラブW杯出場という、素晴らしいご褒美があった。

でも、今はどうだろう。優勝してもクラブW杯にはつながっていない。お金にモノをいわせて大型補強を行なう、かつての中国勢のような倒しがいのある相手も減った。

また、グループステージはセントラル方式、決勝トーナメントは一発勝負と、出場チームにとっては興行面の魅力も乏しい。そもそも東地区の準決勝が8月、決勝が来年2月という日程がダメ。シーズンをまたげば選手はもちろん、監督も代わっている可能性がある。たとえ決勝に勝ち上がっても、別モノのチームで戦うことになるかもしれない。

もうメチャクチャだよね。こんな大会のためにJリーグの選手を消耗させたくないし、Jリーグ全体のスケジュールにも無理が生じている現状は残念。来季以降も大会方式、運営の改善が見込めないようなら、参加を見送るべきでは。そんなことまで考えてしまったよ。

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