Jリーグ全体の盛り上がりを考えれば、なんとかここから巻き返してほしいと語るセルジオ越後氏

人気のある浦和、話題性のある神戸、本来なら両チームともいいサッカーを見せ、Jリーグを盛り上げてほしい。こういう形で注目を集めるのは残念だね。

Jリーグで上位候補と目されていた2チームが低迷している。

まず、昨季天皇杯王者の浦和は、ここにきて9戦連続未勝利(8分け1敗)。16節終了時点で14位に沈んでいる。スコアレスの引き分けが多いことからもわかるように、ショルツを中心とした守備は全然悪くない。

問題は攻撃だ。とにかく点が取れないね。ボール支配率はいつも相手を上回る。でも、それは横パスやバックパスなどセーフティにボールを回している時間が長いから。

肝心のゴール近くでは、仕掛けのバリエーションが少なく、引いて守る相手に対して決定機をつくれない。小柄な似たタイプの選手ばかりで高さのオプションがなく、セットプレーも生かせない。エースのユンカーはいいときはいいけど、故障が多くて計算しづらい。選手も感じていると思うけど、常に手詰まり感がある。

そもそも2季目を迎えたロドリゲス監督が、自分が欲しくて獲得したはずの選手をなかなか使わないのはなぜなのか。松尾にしても、シーズン途中で補強したモーベルグ、シャルクにしても、試合に出たり、出なかったり。シーズンはもうすぐ折り返しだというのに、いまだに選手の組み合わせを模索している。

個人的には、松尾のプレー時間が増えないのが不思議。故障で出遅れたとはいえ、彼のゴールに向かう姿勢は武器になると思うんだけどね。

意外なのは、今季は浦和のフロントとサポーターが我慢強いこと。優勝を目標に掲げている以上、この成績なら監督の進退が問われて当然。過去の浦和ならすでに監督を解任していたと思う。昨季の天皇杯優勝に加え、今季もアジアチャンピオンズリーグで勝ち残っているし、フロントにもサポーターにも迷いが生じているのだろう。

とはいえ、監督を代えないにしても、高さのあるストライカーを補強するなどなんらかの変化は必要だと思う。

一方、昨季3位の神戸は16節終了時点で最下位の18位。このチームの問題は守備だ。昨季限りで引退したフェルマーレンの穴は想像以上に大きかった。後ろからボールをうまくつなげず、カウンターを食らってばかり。

また、看板のイニエスタもフリーでボールを持てばさすがというプレーを見せるけど、高額年俸に見合うほどの活躍はできていない。故障も多いし、彼中心のチームづくりはもう難しい。

神戸といえば、毎年のように監督が代わることで知られる。昨季はクラブ史上最高の3位となり、そのあしき伝統が終わったかと思ったけど、すぐに元に戻ってしまったね。

今季はすでに監督だけでなく、強化責任者、社長も交代。補強もネームバリュー優先なのか、ピークを過ぎつつあるベテランが多い。いったい、3年後にどんなチームになっているのだろう。いろいろなことが場当たり的に見える。

チームに巨額の私財を投じる三木谷オーナーの存在は貴重。話題性という点で、Jリーグに好影響をもたらした。でも、本人にそのつもりがなくても、チーム内にモノを言える人がいない状況なのではと心配だ。

選手の顔ぶれを見れば、浦和も神戸もJ2降格はないと思う。ただ、Jリーグ全体の盛り上がりを考えれば、なんとかここから巻き返してほしいね。

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